アフロの手アフロの手

切断リハビリテーション(評価・断端管理・義肢装着訓練)せつだんりはびりてーしょん

切断リハビリテーションとは、四肢切断後に断端(stump)を管理し、義肢装着と生活復帰につなげる一連のリハビリのことです。国試では断端圧迫による浮腫軽減と断端成熟股関節伸展位を保つ良肢位(拘縮予防)早期義肢装着の流れ仮義肢によるチェックアウト(適合・アライメント)が繰り返し問われます。感染や血行障害がある場合は早期装着の適応外である点も要注意です。

切断リハビリテーション|切断リハビリテーション 1
読み方せつだんりはびりてーしょん
目的断端の成熟と拘縮予防を図り、義肢装着・車椅子等で移動能力とADLを再建する
対象上肢・下肢切断(外傷・糖尿病性壊疽・閉塞性動脈疾患・悪性腫瘍など)の術後患者
主な評価項目断端長・断端周径、断端の皮膚・圧痛・疼痛・神経腫・瘢痕・骨突出・血流・浮腫・熱感・感染・幻肢/幻肢痛、関節可動域(ROM)、筋力、ADL、非切断肢の機能
断端管理の柱創の治癒・出血の早期発見・浮腫軽減・感染徴候(発赤/熱感/疼痛/発熱)・壊死(色調変化)の観察、良肢位保持、ベッドサイドリハ
断端圧迫法ソフトドレッシング(弾性包帯=観察しやすい)/リジッドドレッシング(ギプス・シェル=成熟が早い)
義肢装着の流れ①創の治癒 → ②仮義肢で慣らし適合を確認 → ③本義肢装着(早期装着が基本)
国試での狙われ方断端圧迫の目的(浮腫軽減・断端成熟)、良肢位=股関節伸展位、早期装着の適応外(感染・血行障害)、チェックアウトの静的/動的アライメント

切断リハビリテーションの基本方針 ― 義肢か車椅子か併用か

切断後の移動手段は「義肢」「車椅子」「両者の併用」から、その人の生活に合わせて選択します。どれか一つが正解ではなく、状況に応じて使い分ける(併用)ことも積極的に選ばれます。

選択にあたっては下表の因子を総合的に評価します。断端の状態だけでなく、非切断側の機能・全身状態・年齢・心理面・家族状況まで含めて判断する点が国試で問われます。

判断因子みるポイント
断端の状態痛み、皮膚の状態、断端長、成熟度
非切断側(健側)の機能関節可動域・筋力・バランス能力
全身状態持病(糖尿病・心疾患等)、体力、回復の見通し
年齢ライフステージ、将来の生活の見通し
心理面義肢装着への意欲、不安、障害受容の程度
家族・環境介助者などサポート体制、住環境・生活環境
切断リハビリの基本方針:義肢・車椅子・併用を生活に合わせて選ぶ
切断リハビリの基本方針:義肢・車椅子・併用を生活に合わせて選ぶ

断端の評価 ― 断端長・断端周径と断端の観察

切断の評価の基本は断端長と断端周径の計測です。いずれも経時的に繰り返し測定し、浮腫の消退・筋萎縮の進行・断端成熟の程度を追跡します。周径が安定してきたことが、本義肢作製へ進む一つの目安になります。

あわせて断端の状態を細かく観察し、小さな変化を見逃さないことが快適な義肢生活への第一歩です。

観察項目注目する所見
圧痛局所を押したときの痛み(骨断端部・瘢痕部)
疼痛安静時痛・荷重時痛の有無
神経腫(断端神経腫)切断端の神経断端が腫瘤化し、触れると放散痛
瘢痕癒着・引きつれ、ソケット内での刺激
骨突出骨断端の突出による皮膚トラブル・疼痛
血流色調・冷感・末梢循環(血行障害は特に注意)
浮腫むくみの程度。断端圧迫で軽減させる
熱感・感染発赤・熱感・疼痛・発熱=感染徴候
幻肢・幻肢痛失った肢が存在するように感じる/その部位の痛み
断端長と断端周径の測定は切断評価の基本
断端長と断端周径の測定は切断評価の基本

関節可動域・筋力・ADLの評価と拘縮予防

断端だけでなく全身の機能評価を行います。とくに非切断肢(健側)も必ず評価すること、切断前のADL能力も確認することが要点です。

切断直後の断端管理では良肢位=股関節伸展位を保つことで変形(屈曲拘縮)を予防します。「伸ばすこと」が将来の義肢歩行につながります。

関節可動域・筋力・ADLを評価し、早期から拘縮を予防する
関節可動域・筋力・ADLを評価し、早期から拘縮を予防する

切断直後の断端管理と断端圧迫(ドレッシング)

切断直後は断端管理が最優先です。創の治癒・出血・浮腫・感染・壊死の5点を観察し、記録してチームで共有します。

そのうえで行うのが断端圧迫です。目的は浮腫を減らして断端の成熟(円錐形への整形)を促すことで、これが国試の頻出ポイントです。

方法内容長所
ソフトドレッシング弾性包帯でやさしく圧迫する創部の観察がしやすい・簡便
リジッドドレッシングギプスやシェルでしっかり圧迫・固定する断端の成熟が早い・早期義肢装着に移行しやすい
断端圧迫で浮腫を減らし、断端の成熟を促す
断端圧迫で浮腫を減らし、断端の成熟を促す

断端訓練と早期義肢装着の流れ

断端訓練の目的は浮腫の軽減と可動域の維持です。圧迫包帯に加え、幻肢をイメージで動かす(脳の活性化)、可動域訓練、肩関節・股関節の運動、全身の筋力訓練を組み合わせます。

義肢は早期装着が基本で、早く始めるほどリハビリ効果が高まります。

段階内容ポイント
①創の治癒創が治り、断端が安定した状態へ感染徴候がないことを確認
②仮義肢(訓練用義肢)仮義肢で慣らし、適合を確認断端周径がまだ変化する時期に対応
③本義肢装着最適な義肢で生活の質を向上断端周径が安定してから作製
創の治癒→仮義肢→本義肢装着。義肢は早期装着が基本
創の治癒→仮義肢→本義肢装着。義肢は早期装着が基本

仮義肢の採型とチェックアウト(適合判定)

チェックアウトとは、完成した義肢が適切に適合し機能しているかを判定する作業です。流れは①仮義肢作製 → ②ソケット採型 → ③チェックアウト

最終段階では実用的リハビリと心理的支援を並行して行います。平行棒内歩行、ウェイトシフト(重心移動=バランス・転倒予防)、車椅子ADL、義足歩行、杖・歩行器の選定、家事などの生活動作、緊急時対応の指導、そして不安に寄り添う心理的サポートまで含めて、身体と心の両面から生活復帰を支えます。

仮義肢作製→ソケット採型→チェックアウト(適合・アライメント確認)
仮義肢作製→ソケット採型→チェックアウト(適合・アライメント確認)
国試ポイント
① 断端圧迫(弾性包帯・リジッドドレッシング)の目的は「浮腫の軽減」と「断端の成熟」。ソフト=観察しやすい/リジッド=成熟が早い。
② 切断直後の良肢位は股関節伸展位。下腿切断は膝屈曲拘縮、大腿切断は股関節屈曲・外転拘縮に注意。
③ 義肢は早期装着が基本だが、感染は適応外・血行障害は要注意。皮膚観察と専門技術が必須。
④ 評価の基本は断端長と断端周径。周径が安定してから本義肢を作製し、それまでは仮義肢を用いる。
⑤ チェックアウトでは静的アライメント(立位)と動的アライメント(歩行時)の両方を確認する。
⑥ 非切断側(健側)の機能と切断前のADLも必ず評価する。断端だけを見るのは引っかけ。
・ 断端の観察項目は圧痛・疼痛・神経腫・瘢痕・骨突出・血流・浮腫・熱感・感染・幻肢/幻肢痛。
📖 切断リハビリテーションをスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習