言語聴覚療法(ST)は、ことばの障害(失語症・構音障害・言語発達障害)と摂食嚥下障害の両方を担当するリハビリテーション領域です。国試では「失語症のタイプ別の特徴」「失語症と構音障害の鑑別」「嚥下の5期」「間接訓練と直接訓練の違い」が繰り返し問われます。ここでは10枚のスライドの内容を、分類表・時期別の表に展開して整理します。
| 読み方 | げんごちょうかくりょうほう(エスティー) |
|---|---|
| 担当する領域 | 失語症/構音障害/言語発達障害/聴覚(聞き取り)/摂食嚥下障害 |
| 対象 | 脳卒中・脳外傷などの成人、ことばの遅れのある小児、神経筋疾患・パーキンソン病などの嚥下障害患者 |
| 失語症の定義 | 大脳(言語野)の損傷により、聴く・読む・話す・書くの4側面が障害される |
| 代表的な検査 | SLTA(標準失語症検査)=聴く・話す・読む・書く・計算・復唱の6領域を評価 |
| 訓練の基本原理 | 刺激 → 反応 → 強化(フィードバック)を繰り返し、生活で使える会話へつなげる |
| 嚥下の過程 | 先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期の5期 |
| 国試での狙われ方 | 失語症のタイプ別特徴、失語症と構音障害の鑑別、嚥下5期の順序、間接訓練/直接訓練の区別、誤嚥性肺炎予防 |
言語聴覚療法は、コミュニケーション(ことばで伝える・理解する力)と摂食嚥下(安全に食べる・飲み込む力)の両方を支援するリハビリテーションです。成人の失語症・構音障害だけでなく、小児のことばの遅れ(言語発達障害)や聴覚理解の支援も守備範囲に含まれます。
いずれも多職種連携が前提で、その人らしい生活を「ことばと食」の面から支えるのが役割です。
失語症は脳の障害(多くは左半球の言語野)によって起こり、①聴く(言語理解)②読む③話す④書く、の4側面すべてが程度の差はあれ障害されます。単に「話せない」だけではない点が重要です。回復には根気強い長期訓練が必要になります。
タイプ分類は国試の頻出項目です。流暢か非流暢か/理解は保たれるか/復唱はできるかの3点で整理すると覚えやすくなります。
| 分類 | 発話 | 聴覚的理解 | 復唱 | 特徴的な所見 |
|---|---|---|---|---|
| ブローカ失語(運動性失語) | 非流暢 | 比較的良好 | 障害 | 「あの…えーっと…」と言葉が出てこない。努力性の発話 |
| ウェルニッケ失語(感覚性失語) | 流暢 | 低下 | 障害 | 「りんごがテレビをたべました」など錯語・ジャルゴン。理解が悪い |
| 伝導失語 | 比較的流暢 | 比較的良好 | 強く障害 | 理解できるのに復唱だけが著しく困難(「さくら」→「さ…あ…ら…」) |
| 健忘失語(失名詞失語) | 流暢 | 良好 | 良好 | 物の名前が出てこない(喚語困難)。迂遠な言い回しでごまかす |
| 全失語 | 非流暢(発話ほぼ消失) | 著しく低下 | 障害 | 発語・理解ともに重度障害。最も重症 |
失語症の代表的な評価法がSLTA(標準失語症検査)です。以下の6領域を評価し、どの側面がどの程度障害されているかを把握して訓練計画を立てます。
訓練の基本は「刺激 → 反応 → 強化」のサイクルです。絵カードなどで適切な刺激を与え、患者の反応を引き出し、正反応を強化(フィードバック)することを繰り返します。最終的な目標は検査点数の向上ではなく、挨拶や日常会話など生活で実際に使えるコミュニケーションの改善です。
構音障害は、舌・口唇・口(軟口蓋など)の運動障害によって発音が不明瞭になる障害です。音がゆがみ聞き取りにくくなりますが、言語理解そのものは保たれやすいのが最大のポイントで、失語症とは原因も対応も異なります。ここは国試の鑑別問題で頻出です。
| 比較項目 | 失語症 | 構音障害 |
|---|---|---|
| 障害部位 | 大脳の言語野(中枢) | 舌・口唇・口の運動器官と支配神経 |
| 言語理解 | 障害される | 保たれやすい(聞いて理解できる・指示に従える) |
| 読み書き | 障害される | 基本的に保たれる |
| 症状の中心 | ことばが出ない、錯語、理解不良 | 音のゆがみ・不明瞭な発音 |
| 主な対応 | 言語訓練(刺激―反応―強化) | 口腔器官の運動練習、明瞭に話す練習 |
小児領域ではことばの遅れが対象となります。原因は一つではなく、聴覚障害や脳の障害など多様であるため、まず原因の見きわめが必要です。
摂食嚥下障害は食べる力・飲み込む力の障害で、原因には脳卒中・神経筋疾患・パーキンソン病などがあります。最大のリスクは誤嚥および誤嚥性肺炎で、栄養・QOL・社会復帰の観点からも安全に食べられることが重要です。
摂食嚥下は口から胃まで、次の5期に分けて理解します。順序を問う問題が頻出です。
| 期 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 先行期(認知期) | 食べ物を目で見て認識する |
| ② | 準備期 | 口へ運び、咀嚼して食塊をつくる準備 |
| ③ | 口腔期 | 咀嚼した食塊を舌で咽頭へ送る |
| ④ | 咽頭期 | 嚥下反射により飲み込む(誤嚥が起こりやすい) |
| ⑤ | 食道期 | 蠕動運動で胃へ送る |
安全に食べるための工夫は、口腔ケア・食材の工夫・とろみ調整・姿勢調整が柱です。水分などサラサラした液体は気管に入りやすく誤嚥しやすい一方、まとまりのある半固形物は嚥下しやすいという原則を必ず押さえてください。
能力はグレード(重症・中等症・軽症・正常)で段階づけ、摂取方法も「経口不可(経管栄養)」「補助栄養併用」「経口のみ可能」と対応させます。訓練は次の2つに大別されます。
| 訓練 | 食物の使用 | 特徴・利点 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 間接訓練(基礎訓練) | 食物を使わない | 誤嚥リスクが低く、重症例や経口不可の段階から開始できる | 実際の摂食場面の評価はできない |
| 直接訓練(摂食訓練) | 実際の食物を使う | 食事状態を直接観察でき、実用的な摂食能力を高められる | 誤嚥・窒息のリスクがあり、姿勢・食形態の管理が必須 |