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言語聴覚療法の進め方 ― 訓練の原則・患者への接し方・リスク管理げんごちょうかくりょうほう

言語聴覚療法(ST:Speech-Language-Hearing Therapy)は、「話す・聞く・理解する・食べる」という機能に障害をもつ人への専門的リハビリテーションです。失語症・構音障害・聴覚障害だけでなく、摂食嚥下障害も言語聴覚士(ST)の重要な担当領域である点が国家試験の頻出ポイント。訓練は易しい課題から段階的に、ゆっくり・くり返し行い、常にリスク管理と事故予防を伴います。

言語聴覚療法の進め方|言語聴覚療法の進め方 1
読み方げんごちょうかくりょうほう(ST:Speech-Language-Hearing Therapy)
目的話す・聞く・理解する・食べる機能の改善と、コミュニケーション参加・QOLの回復
対象失語症、構音障害、音声障害、言語発達遅滞、聴覚障害、高次脳機能障害、摂食嚥下障害
担当職種言語聴覚士(ST)。国家資格で、嚥下訓練・人工内耳の調整なども業務範囲
主な訓練言語刺激法(ゆっくり・くり返し)、単語/あいさつ課題、口腔機能訓練、発声練習、嚥下訓練
訓練の原則少量頻回・休憩をはさむ・過用症候群を防ぐ・時期(急性期/回復期/維持期)に合わせる
連携摂食嚥下は医師・看護師・管理栄養士・リハビリスタッフとの多職種チームで実施
国試での狙われ方STの業務範囲(嚥下が含まれる)、口腔期の役割、中止基準、少量頻回の意義、自尊心への配慮

言語聴覚療法とは(対象と目的)

言語聴覚療法は、ことばに関わる機能が障害された人に対して行う専門的リハビリテーションです。スライドでは、「ことばが出てこない」「うまく話せない」「聞き取りがむずかしい」という3つの困りごとが提示されています。これはそれぞれ、失語症(言語の理解・表出の障害)構音障害(発音・発声の運動障害)聴覚障害(入力の障害)に対応する整理として国試でもそのまま使えます。

目的は単なる発話の改善にとどまらず、その人らしい生活とコミュニケーション参加(QOL)の回復にあります。

言語聴覚療法=ことばの力を育てる専門的リハビリ
言語聴覚療法=ことばの力を育てる専門的リハビリ

言語訓練の進め方(ゆっくり・くり返し/易しい課題から)

言語訓練の基本は「わかりやすい言語刺激」です。落ち着いたペースでゆっくり話し、同じ内容を何度もくり返し、やさしい短い言葉でシンプルに伝えます。これにより理解が助けられ、「伝わる喜び」が意欲とことばの力を育てるという好循環をつくります。

課題の難易度は、取り組みやすいものから段階的に上げていきます。単語カード(りんご・いぬ・くるま・みず・ほん・はな)やあいさつ(こんにちは・ありがとう・さようなら)といった、日常で使用頻度が高く成功しやすい課題が出発点です。訓練は「きく → まねる → つたえる」の順で組み立てます。

段階内容ねらい
① きくSTの発話・音を聞く(聴覚的理解)入力の受容・注意の維持
② まねる復唱・模倣、口形の模倣運動プログラムの再学習
③ つたえる呼称、あいさつ、日常会話へ実用的コミュニケーションへの般化
ゆっくり・くり返しのわかりやすい言語刺激が大切
ゆっくり・くり返しのわかりやすい言語刺激が大切

口腔機能と嚥下(発声と飲みこみは深く関係する)

発声と嚥下は同じ器官(口唇・舌・頬・咽頭)を使うため、密接に関係します。口の動き(口腔期)で食べ物をまとめ、のどへ送り、そこから嚥下(咽頭期)へつながります。口腔期の機能が弱ると嚥下障害につながるのがポイントです。

そのため言語聴覚療法では、口腔機能の訓練が発声練習と一体で行われます。口腔機能の評価 → 嚥下の観察 → 安全な食事へ、という流れで記録・支援します。

訓練項目内容関わる機能
くちびるトレーニング口唇の閉鎖・突出/横引き食塊の取り込み・口唇からの漏れ防止、両唇音の構音
舌トレーニング舌の前後・左右・挙上、押しつぶし食塊形成と咽頭への送り込み、舌音の構音
頬ふくらまし頬をふくらませる/すぼめる口腔内圧の保持、食物残留の防止
かむ力(咀嚼)咀嚼運動の訓練食塊の粉砕・唾液との混和(準備期)
発声練習「あー」などの持続発声、発声発語器官の運動呼気調整・声門閉鎖(誤嚥防止にも関与)
口の動き(口腔期)から嚥下(飲みこみ)へ
口の動き(口腔期)から嚥下(飲みこみ)へ

摂食嚥下は多職種連携で支える

摂食嚥下障害への対応は、STだけでは完結しません。スライドでは摂食嚥下チームとして各職種の役割が示されています。情報共有・役割分担・目標の共有の3点がチーム医療の要です。

職種主な役割
医師医学的管理・方針決定(検査、リスク判断)
看護師全身管理・安全なケア、日常の観察と食事介助
言語聴覚士(ST)嚥下評価、嚥下訓練、摂食方法の指導
管理栄養士栄養評価、食形態・とろみなどの食事調整
リハビリスタッフ(PT・OT)姿勢調整、運動機能・ADL支援
摂食嚥下は多職種チームで支える
摂食嚥下は多職種チームで支える

患者への接し方(よく聞く・尊重する)

言語障害のある人は「伝わらないもどかしさ」を抱えています。スライドは対応の原則として「最後までしっかり聞く」「気持ちを受け止める」「否定せず寄り添う」を挙げています。

信頼関係が安心につながり、訓練効果を高めるという点は、国試の対応選択問題でも判断の軸になります。

よく聞く・尊重する。患者の気持ちに寄りそう
よく聞く・尊重する。患者の気持ちに寄りそう

訓練の実施原則とリスク管理・事故予防

言語聴覚療法を含むリハビリ全般に共通する実施上の原則です。症例の時期(急性期・回復期・維持期)に合わせ、評価に基づいて手技を選び、再評価で修正するのが基本の流れです。

また、少量頻回が原則です。1回の負担を軽くして回数を増やし、休憩をはさんで疲労をためないことで過用症候群(オーバーユース)を防ぎます。同じ動作のくり返しのやりすぎは過用症候群の原因になります。嚥下訓練では誤嚥・窒息、歩行訓練では転倒・骨折が代表的な事故で、痛みや違和感が出たらすぐ中止して相談します。

項目内容
時期別の考え方急性期=廃用予防と全身管理/回復期=機能訓練とADL拡大/維持期=機能維持と生活参加
評価項目痛み、可動域、筋力、ADL、歩行能力、生活環境 など
代表的な禁忌急性心筋梗塞発症後の早期、不安定狭心症・重篤な不整脈、重症の心不全・急性の肺炎、急性期の骨折・術後早期
中止基準(運動中のサイン)胸痛・圧迫感、強い息切れ、めまい・冷や汗、SpO2の低下、不整脈の出現 など
事故予防転倒しやすい場面を知る、骨折リスクを減らす、足元・環境を整える(すべらない・つまずかない靴と床)
訓練量の原則少量・頻回・休憩・継続。やりすぎはNG(過用症候群の原因)
リスク管理=禁忌・中止基準を守る
リスク管理=禁忌・中止基準を守る
国試ポイント
① 言語聴覚士(ST)の業務範囲には摂食嚥下障害の評価・訓練が含まれる。「STは話すことだけ」は誤り(頻出の引っかけ)。
② 失語症は言語の理解・表出の障害、構音障害は発声発語器官の運動障害で言語理解は保たれる。両者の区別は必出。
③ 口腔期の機能低下は嚥下障害につながる。発声と嚥下は同じ器官を使うため訓練は一体で行う。
④ 訓練は少量頻回・休憩をはさむのが原則。同じ動作のやりすぎは過用症候群(オーバーユース)を招く。
⑤ 運動中止基準は胸痛・圧迫感、強い息切れ、めまい・冷や汗、SpO2低下、不整脈の出現。ひとつでも当てはまれば中止する。
⑥ 禁忌の代表は急性心筋梗塞発症後の早期、不安定狭心症・重篤な不整脈、重症心不全・急性肺炎、急性期の骨折・術後早期。
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