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脊髄損傷の急性期リハビリテーション(保護・合併症予防・段階的離床)せきずいそんしょうのきゅうせいきりはびり

脊髄損傷の急性期リハビリテーションは、①脊髄の保護(再損傷の防止)②長期臥床による合併症の予防という2本柱で進みます。ベッドサイドから始まる他動的ROM訓練・呼吸訓練・良肢位保持・体位変換が中心で、離床は循環動態を確認しながら段階的に行います。国家試験では「体位変換は2時間ごと」「ギャッチアップ30度前後から」「起立性低血圧に注意」といった具体的な数値と注意点が繰り返し問われます。

脊髄損傷の急性期リハビリ|脊髄損傷の急性期リハビリ 1
読み方せきずいそんしょうのきゅうせいきりはびり
急性期リハの目的脊髄の保護(再損傷防止)+廃用症候群・二次的合併症の予防
脊髄を守る3点頸椎を安定させる/過度な動きを避ける/適切な固定と体位管理
主な合併症褥瘡、沈下性肺炎、深部静脈血栓症(DVT)、関節拘縮、起立性低血圧
ベッドサイドの内容関節可動域練習(ROM)、体位変換、呼吸介助・排痰援助、清拭・整容
体位変換の頻度急性期・初期は約2時間ごと(仰臥位→右側臥位→左側臥位→背上げ)
離床の進め方ギャッチアップ30度前後 → 端座位 → 車椅子移乗と段階的に拡大
禁忌・注意点体をひねる/腕や足を引っ張る/脇の下を持ち上げる介助は禁忌。脊柱は一直線(log roll)に保つ

急性期リハの最優先は「脊髄の保護」+「合併症予防」

脊髄損傷の急性期でまず考えるべきことは、これ以上脊髄を傷つけないことです。そのうえで、動けない状態が続くことで起こる褥瘡や肺炎などの二次的合併症を防ぎます。この「保護+予防」の2本柱が急性期リハビリの土台になります。

急性期リハは「機能を伸ばす訓練」よりも、まず守りのリハビリだと理解しておくと国試でも迷いません。

急性期リハの最優先は「保護+予防」
急性期リハの最優先は「保護+予防」

体位変換・移乗は愛護的に(再損傷を防ぐ介助法)

脊椎・脊髄が不安定な急性期は、体のねじれ・引っ張り・持ち上げによる衝撃で再損傷を起こす危険があります。一度の強い力で脊髄を傷つけると麻痺が悪化する可能性があるため、介助は必ず愛護的に行います。

体位変換では頭・首・体幹を一直線に保ったまま、全身を一体として回転(ログロール)させるのが原則です。移乗ではスライディングボードを活用し、持ち上げずに滑らせて移動します。

場面正しい方法やってはいけない動かし方
体位変換頭・首・体幹を一直線に保つ/声をかけ合いゆっくり連携/体幹を一緒に回転させる体をひねる
移乗スライディングボードを活用/持ち上げずに滑らせる/頭頸部と体幹を一直線に腕や足を引っ張る
起き上がり介助複数人で全身を一体として支える脇の下を持ち上げる
ねじらず、全身を一体として動かす
ねじらず、全身を一体として動かす

脊椎固定・手術と合併損傷のチェック

不安定な骨折や脱臼があると神経を圧迫して症状が悪化するため、早期リハビリを安全に進める前提として固定が必要になることがあります。

また、脊髄損傷は高エネルギー外傷で起こることが多く、合併損傷の見落としが問題になります。

合併損傷注意すべき点
頭部外傷意識障害や脳出血に注意
長骨骨折大腿骨・骨盤などの骨折を確認
内臓損傷出血や臓器損傷に注意
安全な固定が早期リハにつながる
安全な固定が早期リハにつながる

ベッドサイド訓練と良肢位保持(ポジショニング)

脊髄損傷のリハビリは急性期のベッドサイドから始まります。循環・呼吸・意識の安定を確認しながら、できることを安全に積み重ねるのが基本です。無理な離床よりも安全管理を優先します。

あわせて重要なのが良肢位保持(ポジショニング)です。枕やタオルを使い、関節に負担の少ない姿勢を保って拘縮・変形を予防します。

部位良肢位のポイント
外転しすぎず、枕で支える
軽く屈曲させ、タオルで支える
開いた状態でタオルなどで支える
股関節軽く開き、外旋を防ぐ
膝の下に枕やタオルを入れて支える
足関節直角(90度)にタオルやクッションで支える(尖足予防)
上肢・下肢の良肢位保持の例
上肢・下肢の良肢位保持の例

体位変換・他動的ROM訓練・呼吸訓練

合併症予防の具体的な3本柱です。体位変換は初期は約2時間ごとに行い、褥瘡と沈下性肺炎を予防します(仰臥位→右側臥位→左側臥位→背上げ=セミファウラー位)。このとき頸椎・胸椎・腰椎をまっすぐに保ち、ねじれを防ぎます。

他動的ROM訓練は関節拘縮と静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の予防が目的です。痛みや抵抗のない許可範囲でゆっくり丁寧に行い、可能な部分は自動運動・自動介助運動も取り入れます。

呼吸訓練では、深呼吸で胸郭拘縮を防ぎ、痰のうっ滞による肺炎を防ぎます。

訓練主なねらい具体的な方法
体位変換褥瘡予防・沈下性肺炎予防初期2時間ごと/仰臥位・側臥位・背上げをローテーション
他動的ROM訓練関節拘縮予防・DVT(静脈血栓症)予防許可範囲でやさしく動かす/下腿の筋ポンプ作用を促す/弾性ストッキング併用
呼吸訓練肺炎予防・胸郭柔軟性の維持深呼吸(鼻から吸って口からゆっくり吐く)、呼吸介助、咳嗽介助、体位排痰法、必要時は吸引
体位変換は初期2時間ごとが目安
体位変換は初期2時間ごとが目安

段階的離床と起立性低血圧・ADLアプローチ

離床は一気に進めず段階的に行います。ギャッチアップ30度前後から始め、脈拍・血圧・症状を観察しながら端座位、車椅子移乗へと拡大します。

脊髄損傷では交感神経の障害により起立性低血圧(体を起こしたときに血圧が急に下がり、めまい・ふらつきが起こる状態)が起こりやすいため、以下の対策が必要です。

ADL支援は安静度と機能レベルに合わせて行い、ベッド上での部分介助 → 座位での介助・見守り → 自分でできることを増やす、と段階的に拡大します。ナースコールを手の届く位置に設置する、嚥下・姿勢・疲労に配慮した食事介助、自尊心を大切にした整容支援なども重要です。

段階内容確認すること
① ギャッチアップベッドの背上げ30度前後で体を慣らす血圧低下・めまいの有無
② 端座位足を下ろして座り、ふらつきや症状を確認脈拍・血圧・冷や汗
③ 車椅子へ移乗体調をみながら車椅子で離床耐久性・疲労・皮膚の圧迫
離床は段階的に、起立性低血圧に注意
離床は段階的に、起立性低血圧に注意
国試ポイント
① 急性期リハの二大目的は「脊髄の保護(再損傷防止)」と「合併症・廃用症候群の予防」。機能訓練より安全管理が優先。
② 体位変換は急性期・初期は約2時間ごと。目的は褥瘡予防と沈下性肺炎(沈下性=背側に痰がたまる)の予防。
③ 移動・体位変換は頭・首・体幹を一直線に保つログロールが原則。体をひねる/腕や足を引っ張る/脇の下を持ち上げる介助は禁忌。
④ 良肢位保持で足関節は直角(90度)に保持し尖足を予防。股関節は外旋を防ぐ。
⑤ 他動的ROM訓練の目的は関節拘縮予防+深部静脈血栓症(DVT・エコノミークラス症候群)予防。痛みや抵抗のない許可範囲で行う。
⑥ 離床はギャッチアップ30度前後から段階的に。起立性低血圧に注意し、弾性ストッキング・バンデージ・水分/塩分管理で予防する。
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