作業療法(OT:occupational therapy)は、身体や精神に障害のある人に対してさまざまな「作業活動」を治療手段として用いるリハビリテーションです。目的は単なる筋力アップではなく、応用的動作能力の向上と社会的適応能力の回復、そして「生きがいのある生活」につなげること。国試では理学療法(PT)との違い、作業療法の種類、進め方の順序が繰り返し問われます。
| 読み方 | さぎょうりょうほう(OT:occupational therapy) |
|---|---|
| 定義 | 身体または精神に障害のある人に対し、作業活動を用いて行う治療・訓練・指導 |
| 治療手段 | 手芸・木工・陶芸・革細工・園芸・足踏み機器などの作業活動、ADL訓練、自助具、スプリント |
| 主な目的 | 機能面の改善/心理面の改善/応用的動作能力の向上/社会的適応能力の回復 |
| 主な種類 | 機能的作業療法・(心理)支持的作業療法・ADL訓練・職業前評価訓練・精神医学的作業療法 |
| 進め方 | ①評価 → ②作業選択 → ③導入 → ④症例ごとの工夫 → ⑤継続 |
| 国試での狙われ方 | PTとの守備範囲の違い、応用的動作能力/社会的適応能力というキーワード、作業種目と効果の対応、進め方の順序 |
作業療法は、身体や精神に障害のある人に対して作業活動を用いながら機能面・心理面の改善を図り、応用動作能力の向上や社会適応能力の回復を目指す治療です。理学療法(PT)が主に基本的動作能力(起き上がり・立位・歩行など)を扱うのに対し、作業療法は応用的動作能力と社会的適応能力を扱う点が最大の違いで、国試の頻出比較ポイントです。
目的をさらに掘り下げると、①患者の意欲を引き出す、②目的を理解させる、③自分から行動する力を育てる、④必要なときに援助要請できる力を育てる、⑤生きがいのある生活につなげる、という5点に整理されます。
| 観点 | 理学療法(PT) | 作業療法(OT) |
|---|---|---|
| 主な対象能力 | 基本的動作能力(寝返り・起立・歩行など) | 応用的動作能力・社会的適応能力 |
| 主な手段 | 運動療法・物理療法 | 作業活動(手芸・木工・園芸など)・ADL訓練 |
| 代表的な内容 | 筋力増強、ROM訓練、歩行訓練 | ADL訓練、自助具、スプリント、職業前訓練、精神科作業療法 |
| 心理・社会面 | 副次的 | 目的の中核(意欲・障害受容・社会復帰) |
機能的作業療法は、作業を通して運動機能の回復を図る方法です。筋力・関節可動域・協調性・耐久力などを高め、機能回復と応用動作の獲得・改善を目指します。ペグボードや積み木といった作業が、そのまま上肢機能訓練になる点がポイントです。
| 高める要素 | 作業の例 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 筋力 | 重錘・ダンベルを用いた作業、木工 | 上肢・下肢の筋力増強 |
| 関節可動域 | 前腕回内外を伴う作業、リーチ動作 | 可動域の拡大・拘縮予防 |
| 協調性 | 積み木、ペグボード、手芸 | 両手の協調性・手指の巧緻性 |
| 耐久力 | 足踏み機器、歩行を伴う園芸 | 全身持久力の向上 |
作業療法では、上肢装具であるスプリント(副子)の作製・装着や義手訓練を行います。また高次脳機能障害に対しては、環境設定や介助方法の工夫を含めた支援が行われます。
ADL訓練(日常生活活動訓練)では、食事・更衣・移動・入浴などの日常生活動作を実際に練習します。さらに家屋改造などの生活環境調整、家事動作指導、片手動作訓練、車椅子訓練なども作業療法の範囲です。必要に応じて自助具の助言・作製も行います。
| 自助具 | 特徴 | 対象となる状態 |
|---|---|---|
| 柄つきコップ | 握りやすく安定して飲みやすい | 把持力低下・手の変形 |
| 太柄スプーン | 太くて握りやすく食事がスムーズ | 手指筋力低下・関節リウマチ |
| 到達補助具(リーチャー) | 手が届きにくい場所の物をつかめる | 可動域制限・座位保持者 |
| 片手用まな板 | 片手で食材を固定でき安全に調理できる | 片麻痺・上肢切断 |
(心理)支持的作業療法は、長期入院患者や障害によって意欲・精神活動が低下した患者に対し、心理的支援を目的として行う作業療法です。作業を通して意欲を高め、障害受容や環境適応、社会復帰への支援につなげます。
また職業前評価・訓練では、身体的・精神的能力、職業への興味・習慣・技能・職業適応力などを評価・訓練します。精神医学的作業療法では興味や関心を引き出し、自発性・創造性・社会適応の改善を図ります。
| 種類 | 対象 | 主なねらい |
|---|---|---|
| (心理)支持的作業療法 | 長期入院患者、意欲低下例 | 心理的支援、意欲向上、障害受容、社会復帰 |
| 職業前評価・訓練 | 復職・就労を目指す者 | 興味・能力・習慣・技能・職業適応力の評価と訓練 |
| 精神医学的作業療法 | 精神障害者 | 自発性・創造性・社会適応の改善 |
代表的な作業には手芸・木工・陶芸・革細工・足踏み機器・園芸などがあります。これらは手指の巧緻性、両手の協調性、上肢・下肢の筋力・持久力、体幹の安定性、歩行改善、対人関係の向上などに役立ちます。
進め方は決まった流れがあり、国試では順序がそのまま問われます。まず患者の機能的状態・心理的状態・病前の趣味や生活背景を評価することが大切で、そのうえで機能改善と動機づけを最大限に引き出せる作業を選びます。導入では患者との人間関係づくりが重要で、症例ごとに進め方を工夫し、本人に合った支援を継続します。
| 段階 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①評価 | 機能的状態・心理的状態・病前の趣味や生活背景 | 身体面だけでなく生活背景まで評価する |
| ②作業選択 | 機能改善と動機づけを引き出せる作業を選ぶ | 「その人に合う作業」を選ぶことが治療効果を決める |
| ③導入 | 患者との人間関係づくり | 安心して話せる関係が前提 |
| ④工夫 | 症例ごとに進め方を調整 | 画一的なプログラムにしない |
| ⑤継続 | 本人に合った支援を続ける | できることが増える喜びを共有する |