パーキンソン病は中脳黒質のドパミン神経細胞が変性・脱落することで起こる進行性の神経変性疾患で、振戦・筋固縮(強剛)・無動/寡動・姿勢反射障害の四大徴候を示します。国試ではホーエン&ヤール(Hoehn&Yahr)重症度分類I〜Vと、そのステージごとのリハビリ内容が繰り返し問われます。ここでは症状の特徴から合併症、薬物療法との関係、重症期のケアまでを10枚のスライドに沿って整理します。
| 読み方 | ぱーきんそんびょうのりはびりてーしょん |
|---|---|
| 主な原因・病態 | 中脳黒質緻密部のドパミン作動性神経細胞の変性・脱落(黒質線条体系の障害)。中年以降に好発する進行性疾患 |
| 四大徴候 | 振戦(安静時・ふるえ)/筋固縮(こわばり)/無動・寡動(動作の遅さ)/姿勢反射障害(転びやすい) |
| 障害の特徴 | 片側から発症し左右差あり。前傾前屈姿勢、小刻み歩行・すくみ足(フリーズ)、突進現象、仮面様顔貌、小声・小字症 |
| 重症度分類 | ホーエン&ヤール重症度分類 ステージI(片側のみ)〜V(車いす・寝たきり)の5段階 |
| ステージ別リハ | I〜II:ROM訓練・姿勢矯正・ホームプログラム/III:歩行訓練・基本動作/IV:補助具と住環境調整/V:拘縮・褥瘡・嚥下対策 |
| 主な合併症 | 自律神経障害(排尿障害・起立性低血圧)、認知症、嚥下障害による誤嚥性肺炎、うつ |
| 禁忌・注意点 | wearing off/on-off現象を考慮しon時に訓練。起立性低血圧による転倒、すくみ足での転倒、誤嚥に注意 |
パーキンソン病は、中脳黒質のドパミン作動性神経細胞が変性・脱落し、線条体でのドパミンが不足することで運動の調節がうまくいかなくなる進行性の神経変性疾患です。中年以降に多く発症し、ゆっくりと症状が進行します。
国試で最頻出なのが次の四大徴候です。
四大徴候のうち姿勢反射障害は比較的遅れて出現し、これが出現するとヤールIII以上となります。
症状は片側の上肢の振戦から始まることが多く、左右差があるのが特徴です。進行すると両側性となります。
歩行・姿勢の特徴は運動学的にもよく問われます。
| 症状名 | 内容 | 臨床でのポイント |
|---|---|---|
| 片側発症 | 片側の手や足のふるえから始まる | 左右差があるのが特徴。両側性になるとヤールII |
| 前傾前屈姿勢 | 体幹が前に曲がり、肘・膝も屈曲位 | 重心が前方に移動し突進現象の原因となる |
| 小刻み歩行 | 歩幅が狭くすり足になる | 腕振りの減少を伴う |
| すくみ足(フリーズ) | 歩き出しや方向転換時に足が出なくなる | 狭い場所・目標物の手前で出やすい |
| 加速歩行・突進現象 | 歩き出すと止まれず速くなる | 前方転倒のリスクが高い |
| 仮面様顔貌 | まばたきが減り表情が乏しくなる | 会話量の低下・小声(小声症)も伴う |
| 小字症 | 書く字がだんだん小さくなる | 上肢の巧緻動作低下の指標 |
運動症状だけでなく非運動症状(合併症)への注意が国試でも臨床でも重要です。
起立性低血圧がある場合は急な起き上がり・立ち上がりを避け、段階的に頭位を上げることが転倒予防の基本です。
重症度評価の代表がホーエン&ヤール(Hoehn&Yahr)重症度分類です。ステージIIIから姿勢反射障害が出現し、日常生活に制限が出るのが最大の分かれ目で、ここが国試の頻出ポイントです。
| ステージ | 症状 | 日常生活・介助 |
|---|---|---|
| I | 片側性のみの症状 | 機能障害はないか、あってもごく軽微。自立 |
| II | 両側性の症状。姿勢反射障害はない | バランスは保たれる。日常生活はほぼ自立 |
| III | 姿勢反射障害が出現。突進現象・小刻み歩行 | 歩行は可能だが不安定。介助なしで生活可能だが活動制限あり |
| IV | 起立・歩行が著しく困難 | 日常生活に部分介助が必要。かろうじて介助なしで起立・歩行 |
| V | 起立不能 | 車いす・寝たきり生活。全介助 |
治療は薬物療法とリハビリテーションの両輪で進めます。薬物療法(L-ドパ、ドパミンアゴニストなど)で症状をやわらげ、リハビリで動きやすさと生活機能を保ちます。
長期のL-ドパ療法では次の変動現象が出現します。
そのためリハビリは薬が効いている on の時間帯に実施するのが原則です。off の時間帯は転倒リスクが高く、無理な歩行訓練は避けます。
リハビリはヤールのステージに応じて目標と内容を変えるのが基本です。早期は予防と維持、中期は動作能力の再獲得、後期は廃用と合併症の予防が主眼になります。
| ステージ | 主な目標 | 具体的プログラム |
|---|---|---|
| I〜II | 二次的障害の予防・体力維持 | ROM(関節可動域)訓練、姿勢矯正(前傾の是正)、軽い有酸素運動、ホームプログラム、転倒予防の環境整備、顔面・口腔体操 |
| III | 歩行・基本動作の安定と転倒予防 | 寝返り・起き上がりなどベッド上動作、立ち上がり(重心を前方へ)、方向転換は小さくゆっくり確実に、腕を大きく振る歩行、床のラインや目印でのすくみ足対策、メトロノームなどリズム刺激 |
| IV | 残存能力の活用とADL自立支援 | 歩行器・杖などの歩行補助具、リーチャーやボタンエイドなどの自助具、着脱しやすい衣服、言語・呼吸訓練、手すり設置・段差解消などの住環境調整 |
| V | 合併症予防と苦痛の軽減 | 拘縮予防(他動ROM運動)、体位変換・スキンケアによる褥瘡予防、ポジショニング、嚥下評価と誤嚥予防、できることを一緒に行うADL支援 |
すくみ足や小刻み歩行には、外部からの手がかり(外的キュー)を用いた訓練が有効です。国試でも「視覚的・聴覚的手がかりを与える」という選択肢が正答になりやすい定番です。
狭い通路・ドアの手前・方向転換時にすくみが出やすいため、住環境では通路幅の確保と障害物の除去が重要です。
ステージVでは「快適・安全・安心」を目標に、痛みや苦痛の軽減、合併症予防、尊厳ある生活の継続を図ります。関節の他動運動で拘縮と変形を防ぎ、体位変換とスキンケアで褥瘡を予防し、嚥下状態を評価して誤嚥性肺炎を防ぎます。
パーキンソン病のリハビリは多職種チームアプローチで行います。
| 職種・要素 | 役割 |
|---|---|
| PT(理学療法士) | 運動機能の改善、ROM・歩行・バランス訓練、転倒予防 |
| OT(作業療法士) | ADL・生活動作の自立支援、自助具の選定、上肢巧緻動作訓練 |
| ST(言語聴覚士) | 構音・発声訓練、嚥下評価と摂食嚥下訓練 |
| 医師・薬剤師(薬剤管理) | 服薬による症状コントロール、wearing off/on-off の調整 |
| 看護・介護 | 体位変換、褥瘡・誤嚥予防、日常生活援助 |
| 環境調整 | 手すり設置、段差解消、滑りにくい靴、トイレ・浴室改修 |
| アフターケア | 継続的な在宅支援、家族指導、再発・悪化予防 |