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悪心・嘔吐の定義・病態生理・分類・随伴症状・検査・治療おしん・おうと

悪心とは「吐きそう」「気持ち悪い」と感じる状態、嘔吐とは胃の内容物が食道・口腔を通って体外へ排出される現象をいいます。嘔吐は延髄網様体の嘔吐中枢第4脳室底のCTZ(化学受容器引金帯)への刺激で起こり、大きく反射性嘔吐中枢性嘔吐に分けられます。国試では中枢の場所、分類と原因疾患、誤嚥・脱水・電解質異常への注意が繰り返し問われます。

悪心・嘔吐|悪心・嘔吐 1
読み方おしん・おうと
悪心とは「吐きそう」「気持ち悪い」と感じる状態(自覚的な不快感)
嘔吐とは胃の内容物が食道・口腔を通って体外へ排出される現象
関係する中枢嘔吐中枢=延髄網様体/CTZ(化学受容器引金帯)=第4脳室底
分類反射性嘔吐(消化管経由・前庭器経由・その他)と中枢性嘔吐(脳圧亢進・薬物・代謝内分泌中毒性・精神性)
主な随伴症状神経性(頭痛・めまい・意識障害・麻痺)、心因性(不定愁訴)、代謝内分泌性、薬物性、消化器性(腹痛・便通異常・発熱・黄疸)
主な検査尿検査・血液検査・腹部X線・エコー・CT・内視鏡・頭部CT・MRI
治療・注意側臥位で誤嚥予防、補液(脱水・電解質異常)、制吐薬(内服/筋注・静注・坐薬)、原因疾患の治療

悪心・嘔吐とは(定義と違い)

悪心と嘔吐は「セット」で語られますが、国試では両者の違いそのものが問われます。

つまり悪心=吐きそうな感じ/嘔吐=実際に胃内容物を出すと整理しておけば、選択肢で迷いません。悪心は嘔吐の前駆症状として現れることが多い一方、悪心を伴わない嘔吐(脳圧亢進による噴出性嘔吐など)もあります。

悪心=吐きそうな感じ、嘔吐=実際に胃内容物を出す現象
悪心=吐きそうな感じ、嘔吐=実際に胃内容物を出す現象

病態生理 ― 嘔吐中枢とCTZ

嘔吐は、さまざまな刺激が嘔吐中枢CTZ(化学受容器引金帯)に伝わることで起こります。この2つの場所と役割は国試最頻出です。

CTZは第4脳室底にあり、血液脳関門の外側に位置するため薬物・毒素に反応しやすいのが特徴です。抗がん剤(シスプラチン)やジギタリス、モルヒネによる嘔吐はこの経路で理解できます。

名称場所役割
嘔吐中枢延髄網様体嘔吐運動を起こす中心
CTZ(化学受容器引金帯)第4脳室底薬物・毒素などの刺激を受ける
嘔吐中枢は延髄網様体、CTZは第4脳室底。薬物・毒素はCTZを刺激する
嘔吐中枢は延髄網様体、CTZは第4脳室底。薬物・毒素はCTZを刺激する

嘔吐が起こるしくみ(一連の流れ)

嘔吐は単純な「逆流」ではなく、順序立てた反射運動です。流れで覚えると得点しやすくなります。

同時に、誤嚥を防ぐための反応も起こります。軟口蓋の上昇(鼻腔への逆流を防ぐ)、喉頭蓋の閉塞(気道への侵入を防ぐ)、呼吸抑制(一時的に呼吸を止める)の3つはセットで暗記しましょう。

嘔吐の流れと、誤嚥防止=軟口蓋上昇・喉頭蓋閉鎖・呼吸抑制
嘔吐の流れと、誤嚥防止=軟口蓋上昇・喉頭蓋閉鎖・呼吸抑制

分類と主な原因疾患(反射性嘔吐/中枢性嘔吐)

悪心・嘔吐は大きく反射性嘔吐中枢性嘔吐に分けられます。反射性=消化管・前庭器、中枢性=脳・薬物・代謝・精神という対比で覚えるのがコツです。

反射性嘔吐のうち消化管経由では、咽頭刺激のほか胃・十二指腸疾患(胃炎・胃潰瘍・胃癌・幽門狭窄・十二指腸潰瘍・腸閉塞)、腹膜炎、虫垂炎、肝・胆道疾患(急性肝炎・肝硬変・胆石症・胆嚢炎)、膵疾患(急性膵炎・慢性膵炎)、腹腔疾患(腹膜炎・腹腔内出血・尿路結石)、婦人科疾患(子宮付属器炎)が原因となります。前庭器経由ではメニエール病・中耳炎・動揺病が代表です。その他として片頭痛・心不全・心筋梗塞も忘れてはいけません。

大分類経路・カテゴリ主な原因疾患
反射性嘔吐A. 消化管経由咽頭刺激/胃炎・胃潰瘍・胃癌・幽門狭窄・十二指腸潰瘍・腸閉塞/腹膜炎・虫垂炎/急性肝炎・肝硬変・胆石症・胆嚢炎/急性膵炎・慢性膵炎/腹腔内出血・尿路結石/子宮付属器炎
反射性嘔吐B. 前庭器経由メニエール病・中耳炎・動揺病
反射性嘔吐C. その他片頭痛・心不全・心筋梗塞
中枢性嘔吐A. 脳圧亢進・脳循環障害脳腫瘍・脳出血・くも膜下出血・髄膜炎・緑内障
中枢性嘔吐B. 薬物シスプラチン・ジギタリス製剤・モルヒネ など
中枢性嘔吐C. 代謝性・内分泌性・中毒性疾患腎不全・尿毒症・糖尿病性ケトアシドーシス・アジソン病・妊娠悪阻・アルコール中毒・周期性嘔吐症
中枢性嘔吐D. 精神性嘔吐心因性・神経性食欲不振症・うつ状態・視覚/聴覚/味覚刺激
反射性=消化管・前庭器、中枢性=脳・薬物・代謝・精神
反射性=消化管・前庭器、中枢性=脳・薬物・代謝・精神

臨床症状(随伴症状から原因を推理する)

悪心・嘔吐そのものに加えて、原因疾患により随伴症状が異なるのが鑑別の要です。「何と一緒に吐いているか」を必ずチェックします。

とくに激しい頭痛+嘔吐意識障害+嘔吐は緊急性が高く、直ちに医療機関へつなぐべきサインです。

随伴症状は神経・心因・代謝・薬物・消化器の5系統でチェックする
随伴症状は神経・心因・代謝・薬物・消化器の5系統でチェックする

検査・鑑別診断

原因疾患を鑑別するために、消化器だけでなく頭部病変まで視野に入れて検査を組みます。

覚え方は「尿・血液・腹部画像・内視鏡・頭部画像」。嘔吐=消化器と決めつけない姿勢が国試でも臨床でも重要です。

尿・血液・腹部X線・エコー・CT・内視鏡・頭部CT・MRIで鑑別する
尿・血液・腹部X線・エコー・CT・内視鏡・頭部CT・MRIで鑑別する

治療と嘔吐時の対応

治療は①合併症への対応 → ②対症療法 → ③原因疾患の治療の3段構えです。

施術現場でも、嘔吐した患者を仰向けのままにしない(側臥位にする)ことは安全管理の基本です。治療=側臥位+補液+制吐薬+原因治療と一括で暗記しましょう。

誤嚥予防(側臥位)・補液・制吐薬・原因疾患の治療
誤嚥予防(側臥位)・補液・制吐薬・原因疾患の治療
国試ポイント
① 悪心=吐きそうな不快感、嘔吐=胃内容物が口から体外へ排出される現象。定義の違いがそのまま問われる。
② 嘔吐中枢は延髄網様体、CTZ(化学受容器引金帯)は第4脳室底。CTZは薬物・毒素に反応しやすい。
③ 嘔吐は反射性嘔吐(消化管・前庭器など)と中枢性嘔吐(脳圧亢進・薬物・代謝内分泌中毒性・精神性)に分類される。
④ 前庭器経由の反射性嘔吐=メニエール病・中耳炎・動揺病。脳圧亢進による中枢性嘔吐=脳腫瘍・脳出血・くも膜下出血・髄膜炎・緑内障。
⑤ 嘔吐時の誤嚥防止反応は軟口蓋の上昇・喉頭蓋の閉塞・呼吸抑制の3つ。
⑥ 頭痛・めまい・意識障害・麻痺を伴う嘔吐は頭蓋内病変を疑う危険なサイン。検査は消化器だけでなく頭部CT・MRIまで考える。
・ 嘔吐時は誤嚥・脱水・電解質異常に注意。治療=側臥位+補液+制吐薬+原因疾患の治療。
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