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尿崩症の病態・原因・症状・検査・治療にょうほうしょう

尿崩症は、抗利尿ホルモン(ADH・バソプレシン)の分泌低下または作用不足により腎臓での水の再吸収がうまくできず、多飲・多尿が起こる病気です。1日の尿量が3L以上(ときに10L超)となり、尿は薄い低張尿、血液は高Na血症・高浸透圧血症を示します。治療はデスモプレシン(DDAVP)の点鼻投与が有効で、生命予後は良好です。

尿崩症|尿崩症 1
読み方にょうほうしょう
分類内分泌疾患(下垂体・視床下部系/ADH関連)
原因特発性 約39%、続発性 約60%(脳腫瘍・外傷・脳外科手術・脳出血)、家族性 約1%
主な症状多飲・多尿(1日尿量3L以上、ときに10L超)、口渇、夜間頻尿、脱水傾向
検査・診断低張尿、高Na血症・高浸透圧血症、水制限試験・高張食塩水試験で尿量減少や尿浸透圧上昇がみられない
治療デスモプレシン(DDAVP)の点鼻投与、基礎疾患の治療
予後適切な治療でコントロール可能、生命予後は良好

尿崩症とは(ADHと病態のしくみ)

尿崩症は、抗利尿ホルモン(ADH=バソプレシン)の分泌低下や作用不足によって、腎臓で水を十分に再吸収できなくなり、大量の薄い尿が出てしまう病気です。

ADHは下垂体後葉から分泌され、腎臓の遠位尿細管と集合管に作用して水の再吸収を促進し、体の水分量を保っています。このADHのはたらきが不足すると、次のような流れで多飲・多尿が起こります。

ADHは下垂体後葉から分泌され、腎臓の遠位尿細管・集合管で水の再吸収を促進する
ADHは下垂体後葉から分泌され、腎臓の遠位尿細管・集合管で水の再吸収を促進する

原因(特発性・続発性・家族性)

尿崩症は原因によって大きく3つに分けられます。原因を知ることが治療の第一歩になります。

原因の内訳。続発性(脳腫瘍・外傷・脳外科手術・脳出血)が最多
原因の内訳。続発性(脳腫瘍・外傷・脳外科手術・脳出血)が最多

主な症状

尿崩症の主な症状は多飲多尿です。

多飲・多尿が主症状。1日尿量が3L以上、ときに10Lを超える
多飲・多尿が主症状。1日尿量が3L以上、ときに10Lを超える

検査・診断

診断では、1日3L以上の尿量や、夜間に何度も起きてトイレに行く(夜間頻尿)ことが重要な手がかりになります。

検査所見としては次のような特徴がみられます。

検査所見:低張尿、血液検査で高Na血症・高浸透圧血症
検査所見:低張尿、血液検査で高Na血症・高浸透圧血症

負荷試験と心因性多飲症との鑑別

尿崩症では、高張食塩水試験水制限試験を行っても、尿量の減少や尿浸透圧の上昇がみられないのが特徴です。これは心因性多飲症との鑑別に役立ちます。

項目尿崩症(中枢性・腎性)心因性多飲症
尿量多いまま減少する
尿浸透圧低いまま上昇する
負荷試験の反応変化がみられない変化がみられる
負荷試験で反応がない=尿崩症の特徴。心因性多飲症との鑑別がカギ
負荷試験で反応がない=尿崩症の特徴。心因性多飲症との鑑別がカギ

治療と予後

治療はデスモプレシン(DDAVP)の点鼻投与が有効です。基礎疾患(脳腫瘍など)がある場合は、その治療も必要になります。

著しい多尿が長く続くと、尿路拡大(尿の通り道が広がる)や水腎症(腎臓に尿がたまり腫れる)を起こすことがあります。適切な治療でコントロールでき、生命予後は良好です。早期発見・早期治療で合併症を防ぐことが大切です。

治療はDDAVPの点鼻投与。予後は良好だが、多尿の持続で尿路拡大・水腎症に注意
治療はDDAVPの点鼻投与。予後は良好だが、多尿の持続で尿路拡大・水腎症に注意
国試ポイント
① 尿崩症はADH(バソプレシン)の分泌低下・作用不足により多飲・多尿をきたす
② ADHは下垂体後葉から分泌され、遠位尿細管・集合管で水の再吸収を促進する
③ 尿は低張尿(薄い)、血液は高Na血症・高浸透圧血症を示す
④ 1日尿量3L以上、ときに10L超。夜間頻尿も手がかり
⑤ 水制限試験・高張食塩水試験で尿量減少や尿浸透圧上昇がみられず、心因性多飲症と鑑別できる
⑥ 治療はデスモプレシン(DDAVP)の点鼻投与。生命予後は良好
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