巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12または葉酸の欠乏によってDNA合成がうまくいかず、赤芽球の核成熟が障害されて起こる貧血です。骨髄では大きくて未熟な「巨赤芽球」が増え、多くは血中に出る前に壊れる無効造血のため、大球性正色素性貧血をきたします。ビタミンB12欠乏では貧血症状に加えて神経症状が出るのが大きな特徴で、自己免疫でB12吸収ができなくなる型を悪性貧血と呼びます。
| 読み方 | きょせきがきゅうせいひんけつ(Megaloblastic Anemia) |
|---|---|
| 分類 | 大球性正色素性貧血(MCV高値) |
| 原因 | ビタミンB12欠乏または葉酸欠乏によるDNA合成障害 |
| 好発 | 高齢者(悪性貧血は発症年齢の中央値 約60歳・女性やや多い/男女比約2:1) |
| 主な症状 | 貧血症状(息切れ・動悸・めまい・易疲労感・舌炎)+B12欠乏では神経症状(しびれ・感覚障害) |
| 検査所見 | MCV上昇、過分葉好中球、LDH上昇・間接ビリルビン上昇・ハプトグロビン低下(無効造血/溶血所見)、骨髄で巨赤芽球増加 |
| 治療 | 原因に応じてビタミンB12補充(注射)・葉酸補充(内服)。予後はおおむね良好 |
巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12(コバラミン)または葉酸(ビタミンB9)の欠乏によって起こる貧血です。これらのビタミンはDNA合成・細胞の核の成熟に不可欠で、不足すると赤血球のもとになる細胞の成熟がうまくいかなくなります。
B12・葉酸が不足するとDNA合成が障害され、赤芽球の核の成熟が遅れます(成熟障害)。細胞質は育つのに核が追いつかないため、大きく未熟な巨赤芽球となります。
ビタミンB12の吸収には、胃で作られる内因子(イントリンシックファクター)が必要です。B12は内因子と結合し「内因子-B12複合体」となって、小腸の回腸から吸収されます。
そのため、胃の病気や胃切除では内因子が不足し、B12欠乏が起こりやすくなります。
ビタミンB12・葉酸が不足する原因は、大きく摂取不足・吸収不良・需要増大・利用障害の4つに分けられます。
| 区分 | ビタミンB12欠乏 | 葉酸欠乏 |
|---|---|---|
| 摂取不足 | 厳格な菜食(ビーガン)など動物性食品を摂らない | 野菜・果物が少ない偏食、アルコールの摂りすぎ |
| 吸収不良 | 内因子の欠乏、胃切除後や胃の病気 | 腸の病気や手術後などによる吸収障害 |
| 需要増大 | 妊娠・授乳期、悪性腫瘍など | 妊娠(赤ちゃんの成長のため需要が増える) |
| 利用障害 | 肝疾患・代謝の異常などで体内でうまく使えない | 薬剤(抗てんかん薬・メトトレキサートなど)や肝臓の病気 |
巨赤芽球性貧血の症状は、一般的な貧血症状に加えて、ビタミンB12欠乏では神経症状が出るのが最大のポイントです。
「B12欠乏では神経症状も出る」ことは国試頻出のため必ず押さえましょう(葉酸欠乏では神経症状は基本的に出ません)。
診断では血液検査・血液生化学検査・自己抗体検査・骨髄検査を組み合わせます。
悪性貧血は、自己免疫によって内因子や胃の壁細胞が自己抗体に攻撃され、内因子の働きが妨げられてビタミンB12を吸収できなくなるタイプの巨赤芽球性貧血です(巨赤芽球性貧血=悪性貧血ではなく、その一因)。
治療は原因となるビタミンを補充します。
原因に応じた補充で予後はおおむね良好です。