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身体機能の加齢変化のしくみ・低下する機能と保たれる機能と国試ポイントしんたいきのうのかれいへんか

身体機能の加齢変化とは、加齢にともなって高次神経機能・運動・感覚・循環・呼吸・排尿・内分泌などのはたらきが変化することをいいます。ポイントは「安静時は保てるが、変化(負荷)に弱くなる=ホメオスタシス(恒常性)の低下」であり、低下しやすい機能と保たれやすい機能をセットで覚えることが得点源になります。個人差が大きいことも国試で問われます。

身体機能の加齢変化(老化の生理)|身体機能の加齢変化(老化の生理) 1
読み方しんたいきのうのかれいへんか(老化の生理)
定義加齢にともない各器官系のはたらきが変化すること。生理的老化と病的老化に分けられる
最大の特徴安静時は保たれるが変化・負荷に弱い=ホメオスタシス(恒常性)の低下
低下しやすい機能短期記憶・新しい記憶、瞬発的動作、視覚・聴覚・味覚・平衡感覚・皮膚感覚、肺活量、消化吸収、免疫
保たれやすい機能一般的な知能(85歳頃まで)、意味記憶・技術の記憶・昔の経験の記憶、構文能力、歩行、安静時1回換気量
関与するホルモン性ホルモン↓、カテコールアミン↑、副甲状腺ホルモン↑、インスリン・甲状腺ホルモン・副腎皮質ホルモンは大きく変化しにくい
数値・年齢の目安一般的知能は85歳頃まで大きく低下しにくい/換語機能は80歳代から低下しやすい
高齢者で注意すべき事象転倒・大腿骨頸部骨折、廃用性萎縮、脱水、低栄養、貧血
国試での狙われ方「低下する/保たれる」の入れ替え、ホルモンの↑↓の逆転、歩行と瞬発動作の混同

① 高次神経機能の加齢変化(知能・記憶・言語)

高次神経機能では「保たれるもの」と「低下するもの」がはっきり分かれるのが特徴です。一般的な知能は85歳頃まで大きく低下しにくい一方、柔軟性や新しい課題への対応、正確さ・速度は低下しやすくなります。

区分低下しやすい保たれやすい
知能柔軟性・新しい課題への対応・正確さ・速度一般的な知能(85歳頃まで)
記憶短期記憶・新しい記憶意味記憶・技術の記憶・昔の経験の記憶
言語換語機能(80歳代から)構文能力
高次神経機能の加齢変化=知能・記憶・言語の3本柱
高次神経機能の加齢変化=知能・記憶・言語の3本柱

② 運動機能の加齢変化と転倒

運動機能はゆっくりした動作(歩行)は低下が少なく、瞬発的な動作の低下が大きいのが原則です。さらに重心動揺が増大するため、バランスを崩しやすく転倒リスクが高まります。

歩行は低下少・瞬発動作は低下大・重心動揺↑で転倒注意
歩行は低下少・瞬発動作は低下大・重心動揺↑で転倒注意

③ 感覚機能の加齢変化

感覚は全般に低下します。視覚・聴覚・味覚・平衡感覚・皮膚感覚が低下し、さらに空腹感・渇き感(口渇感)も低下するため、高齢者は脱水低栄養を起こしやすくなります。「のどが渇かないから水を飲まない」という流れは国試の頻出ストーリーです。

感覚加齢による変化臨床上の問題
視覚低下段差が見えず転倒
聴覚低下会話・警報に気づきにくい
味覚低下味付けが濃くなる・食欲低下
平衡感覚低下ふらつき・転倒
皮膚感覚低下低温熱傷・褥瘡に気づかない
空腹感低下低栄養
渇き感低下脱水
感覚機能の低下と、脱水・低栄養への注意
感覚機能の低下と、脱水・低栄養への注意

④ 循環・呼吸機能の加齢変化

血管の変化と肺の変化はセットで覚えます。血管の弾力性が低下→血管抵抗が上昇→安静時血圧が上昇という流れが基本です。呼吸では安静時の1回換気量は大差なし、しかし肺活量は低下し軽い運動でも息切れしやすいのがポイントで、「安静時は保てるが変化に弱い」という老化の原則そのものです。

項目加齢による変化
安静時血圧上昇(↑)
血管の弾力性低下(↓)→血管抵抗は上昇(↑)
ヘモグロビン濃度低下(↓)→貧血になりやすい
安静時の1回換気量大差なし
肺活量低下(↓・年齢とともに低下)
運動時軽い運動でも息切れしやすい
血液・循環機能:血圧↑・弾力性↓・ヘモグロビン濃度↓
血液・循環機能:血圧↑・弾力性↓・ヘモグロビン濃度↓

⑤ 排尿機能の加齢変化(男女差)

排尿の加齢変化は男女で症状が逆方向になるため、性別と結びつけて覚えます。

性別起こりやすい症状理由
女性尿失禁尿道が短い/閉経後に尿道閉鎖力が低下
男性排尿困難前立腺肥大で尿道が圧迫される
排尿機能:女性は尿失禁、男性は排尿困難
排尿機能:女性は尿失禁、男性は排尿困難

⑥ 内分泌機能とその他の機能・国試の総まとめ

内分泌は「下がるもの・上がるもの・変わりにくいもの」の3分類で押さえます。とくに性ホルモンは低下、カテコールアミンと副甲状腺ホルモンは上昇インスリン・甲状腺ホルモン・副腎皮質ホルモンは大きく変化しにくいという組み合わせが狙われます。その他、消化・吸収機能と免疫機能は低下し、高齢者では大腿骨頸部骨折・廃用性萎縮・脱水に注意します。

ホルモン加齢による変化
性ホルモン低下(↓)
カテコールアミン上昇(↑・ストレス反応)
副甲状腺ホルモン上昇(↑・Ca代謝/骨に影響)
インスリン大きく変化しにくい
甲状腺ホルモン大きく変化しにくい
副腎皮質ホルモン大きく変化しにくい
内分泌機能:性ホルモン↓/カテコールアミン↑/副甲状腺ホルモン↑
内分泌機能:性ホルモン↓/カテコールアミン↑/副甲状腺ホルモン↑
国試ポイント
① 一般的な知能は85歳頃まで大きく低下しにくい/換語機能は80歳代から低下しやすい、という年齢の数字が最頻出。
② 記憶は「短期記憶・新しい記憶=低下」「意味記憶・技術の記憶・昔の経験=保たれる」。言語は「構文能力=保たれる」「換語機能=低下」で入れ替えの引っかけに注意。
③ 運動は「歩行=低下少ない」「瞬発動作=低下大」「重心動揺=増大」。逆に書かれた選択肢はすべて誤り。
④ 呼吸は「安静時の1回換気量は大差なし・肺活量は低下」。循環は「安静時血圧↑・血管弾力性↓・血管抵抗↑・ヘモグロビン濃度↓」。
⑤ 内分泌は性ホルモン↓、カテコールアミン↑、副甲状腺ホルモン↑、インスリン・甲状腺・副腎皮質ホルモンは大きく変化しにくい。
⑥ 排尿は女性=尿失禁(尿道が短い・閉経後の閉鎖力低下)、男性=排尿困難(前立腺肥大)。
・ 老化の本質はホメオスタシス低下と個人差の大きさ。高齢者では大腿骨頸部骨折・廃用性萎縮・脱水・低栄養に注意。
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