骨軟化症とくる病は、ビタミンD不足などにより骨の石灰化(骨へのカルシウム・リンの沈着)がうまくいかなくなる病気です。骨の土台となる骨基質(類骨)は作られるのに、そこにミネラルが十分沈着しないため、骨がやわらかくもろくなります。成長板が閉じた成人では「骨軟化症」、成長期の子どもでは「くる病」と呼び分けます。
| 読み方 | こつなんかしょう・くるびょう |
|---|---|
| 分類 | 代謝性骨疾患(骨の石灰化障害) |
| 本態 | 骨基質はあるが石灰化されない(類骨の増加) |
| 呼び分け | 成人=骨軟化症/成長期の子ども=くる病 |
| 主な原因 | ビタミンD不足(摂取・日光不足・吸収障害・活性化障害) |
| 主な症状 | 骨痛・筋力低下・骨折しやすい・円背・O脚などの骨変形 |
| 血液検査 | 血清Ca低下・P低下・ALP上昇・25(OH)D低下 |
| 治療 | ビタミンD(活性型ビタミンD3)とカルシウムの補充 |
骨は、コラーゲンなどからなる骨基質(類骨)という土台に、カルシウムやリンなどのミネラルが沈着(石灰化)してかたくなることで強度を保っています。骨軟化症・くる病では、この石灰化がうまく進まないため、骨基質はあってもやわらかくもろい骨になります。
ポイントは「骨の基質は十分にあるのに石灰化されない状態」であること。原因や本態が同じで、起こる年齢によって呼び名が変わります。
国試で頻出の鑑別が骨粗鬆症との違いです。同じ「骨がもろくなる」病気ですが、本態がまったく異なります。
ひとことで言うと「骨粗鬆症=量の不足」「骨軟化症=石灰化(ミネラル)の不足」と整理すると覚えやすいです。
| 骨粗鬆症 | 骨軟化症 | |
|---|---|---|
| 骨量 | 減少 | 正常 |
| 石灰化 | 保たれる | 低下(不足) |
| 本態 | 骨の量が足りない | 量はあるがミネラル不足 |
最大の原因はビタミンDの不足・作用不全です。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の石灰化を進める働きをもちます。ビタミンDが足りないと石灰化が進まず、骨が弱くなります。
近年は栄養状態の改善で発症は減少傾向ですが、低栄養・慢性腎臓病・消化吸収障害のある人では今でも注意が必要です。
骨と筋肉の不調が中心です。
「骨痛+筋力低下」がそろうのが特徴で、国試でも症状の組み合わせで問われます。
診断は症状+X線所見+血液検査で行います。
X線検査では、骨皮質の菲薄化(骨の外側の壁がうすくもろくなる)や、骨をとかす帯状の病変(Looser帯・偽骨折線/スライドの『念珠腫』様の変化)、骨折所見などがみられます。
血液検査では特徴的なパターンが診断のカギになります。
「Ca↓・P↓・ALP↑」の組み合わせは国試頻出です。ALPが上がる点に注意しましょう。
治療は不足しているものを補うのが基本です。
ビタミンDとカルシウムをしっかり補い、骨の石灰化を助けて骨を強くします。日光浴や栄養改善も予防・治療に役立ちます。
経過・予後としては、進行すると骨折や臥床がちになり、骨粗鬆症を合併することもあります。しかし早期発見・早期治療を行えば改善が見込め、元気に過ごせます。早めの対応が重要です。