筋は収縮するときだけでなく弛緩するときにもATPを必要とします。ミオシン頭部の運動、筋小胞体へのCa²⁺回収、アクチン・ミオシン結合の解除、いずれもATPが不可欠だからです。ここではローマン反応・解糖・クエン酸回路と電子伝達系という3つのATP再合成機構と、死後硬直・初期熱と回復熱・骨格筋の熱産生まで、国試で狙われる形でまとめます。
| 読み方 | きんしゅうしゅくとえーてぃーぴー |
|---|---|
| 定義 | 筋の収縮・弛緩に必要なエネルギーをATPが供給するしくみ |
| ATPを使う場面 | ミオシン頭部の運動/Ca²⁺の回収/アクチン・ミオシン結合の解除(収縮時も弛緩時も必要) |
| ATP再合成の3機構 | ローマン反応・解糖・クエン酸回路+電子伝達系 |
| 数値 | グルコース1モルから約38モルのATP/運動時は骨格筋が全身の産熱の約90%に達することもある |
| ローマン反応の式 | ADP+クレアチンリン酸 ⇌ ATP+クレアチン(無酸素・すばやいが長続きしない) |
| ATP不足時 | 筋は硬直する(死後硬直)→時間経過でアクチン・ミオシンが壊れ融解し軟らかくなる |
| 熱の分類 | 初期熱(収縮~弛緩までに発生)と回復熱(弛緩後に発生)、熱量はほぼ等しい |
| 国試での狙われ方 | 弛緩にもATPが必要/ローマン反応は無酸素/解糖の最終産物は乳酸/約38モル/死後硬直の機序/初期熱と回復熱の定義と大小 |
筋のすべての動きにATPが使われます。収縮時だけでなく弛緩時にもATPが必要という点が国試の定番の引っかけです。
エネルギーがないと筋は動けず、しかも「ゆるむ」こともできません。
筋に蓄えられるATPは少量で、筋活動が続くとすぐ再合成が必要になります。ATPを作る主なしくみは次の3つです。
| 機構 | 材料 | 酸素 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ローマン反応 | クレアチンリン酸 | 不要(無酸素) | すばやいが長時間は続かない。短時間の強い運動で重要 |
| 解糖 | グルコース・グリコーゲン | 不要(無酸素的) | 短時間・強い運動で働く。最終的に乳酸が生じる |
| クエン酸回路・電子伝達系 | ピルビン酸(グルコース由来) | 必要(有酸素) | 大量のATPを産生。長時間の持久運動・有酸素運動で重要 |
ローマン反応はクレアチンリン酸を使ってATPをすばやく再合成する反応です。
解糖はグルコースやグリコーゲンを分解してATPを作る経路です。
酸素が十分あると、解糖でできたピルビン酸はクエン酸回路へ入り、電子伝達系を経て最終的にH₂O・CO₂になります。
ATPがなければアクチンとミオシンの結合を解除できないため、筋は硬くなります。
「ATP不足→硬直→時間経過→融解」の順序で覚えます。
筋収縮では化学反応でエネルギーが生じますが、そのすべてが収縮に使われるわけではなく、一部は熱エネルギーとして放出されます。筋収縮に伴う熱は2種類に分けられます。
| 項目 | 発生する時期 | 熱量 |
|---|---|---|
| 初期熱 | 収縮~弛緩までに発生 | 2つの熱量はほぼ等しい |
| 回復熱 | 弛緩後に発生 | 2つの熱量はほぼ等しい |