糖質は炭素・酸素・水素からなる炭水化物の一種で、生命活動の主なエネルギー源です。食物中のデンプン・ショ糖・乳糖はグルコース・ガラクトース・フルクトースまで分解されて吸収され、細胞内で解糖系→クエン酸回路→電子伝達系を経てATPになります。余ればグリコーゲンとして貯蔵され、不足すれば糖新生でつくられ、さらにアミノ酸・脂質・核酸の材料にもなります。
| 読み方 | とうしつのたいしゃ |
|---|---|
| 定義 | 糖質(炭素・酸素・水素からなる炭水化物の一種)を分解してATPを得たり、貯蔵・合成に回したりする一連の過程 |
| 経路・過程 | 解糖系 → ピルビン酸 → アセチルCoA → クエン酸回路(TCA回路) → 電子伝達系 → ATP産生 |
| おこる場所 | 解糖系=細胞質、アセチルCoA以降(クエン酸回路・電子伝達系)=ミトコンドリア内 |
| 生成物・ATP量 | 好気呼吸:1モルのグルコースから約38モルのATP+水+二酸化炭素/嫌気呼吸(解糖):約2モルのATP |
| 貯蔵のしくみ | 余ったグルコースは肝臓・骨格筋にグリコーゲンとして貯蔵。血糖値低下時に肝臓のグリコーゲンが分解されグルコースとなり血液中へ放出される |
| 不足時の対応 | 糖新生=糖質以外(グリセロール・アミノ酸・乳酸)からグルコースをつくる |
| 合成への利用 | 糖脂質(細胞膜)・核酸(DNA・RNA)・アミノ酸・脂質(脂肪やホルモン)の材料になる |
| 国試での狙われ方 | 好気呼吸約38ATP/嫌気呼吸約2ATPの数値、単糖・二糖・多糖の分類、糖新生の材料3つ、貯蔵臓器(肝臓・骨格筋) |
糖質は炭素・酸素・水素からなる栄養素で、炭水化物の一種です。体や脳を動かすエネルギーのもとになります。構造の違いによって大きく3つに分類され、この分類がそのまま国試の頻出項目です。
「グリコーゲン=多糖類」「乳糖(ラクトース)=二糖類」のような対応を問う出題が定番です。
| 分類 | 定義 | 代表例 |
|---|---|---|
| 単糖類 | これ以上分解できない糖 | グルコース、ガラクトース、フルクトース |
| 二糖類 | 単糖が2個結合したもの | スクロース、ラクトース、マルトース |
| 多糖類 | 単糖が多数結合したもの | デンプン、グリコーゲン、セルロース、ヒアルロン酸 |
食物に含まれる糖質は、主にデンプン(多糖類)・ショ糖(二糖類)・乳糖(二糖類)です。これらは消化されてグルコース・ガラクトース・フルクトースという単糖にまで分解されてから吸収されます。
吸収された糖質は主に生命活動のエネルギー源として働きます。とくにグルコースは血液中に多く存在し、細胞に取り込まれてATP産生に使われます。さらに一部の糖質は、体をつくるさまざまな成分の合成にも使われます。
グルコースは細胞内で段階的に分解され、最終的にATP(エネルギー)をつくります。解糖系までは細胞質で、アセチルCoA以降はミトコンドリア内で進むのがポイントです。
酸素(O₂)を使ってエネルギーをつくるので、これを内呼吸/好気呼吸といいます。
| 順序 | 段階 | 場所・内容 |
|---|---|---|
| 1 | グルコース | 細胞質に取り込まれる |
| 2 | 解糖系 | 細胞質。グルコースをピルビン酸に分解 |
| 3 | ピルビン酸 | ミトコンドリア内へ移動 |
| 4 | アセチルCoA | ミトコンドリア内。ピルビン酸からアセチルCoAがつくられる |
| 5 | クエン酸回路(TCA回路) | アセチルCoAをさらに分解してCO₂を放出 |
| 6 | 電子伝達系 | 電子を受け渡ししてエネルギーを放出 |
| 7 | ATP産生 | エネルギーを使ってATPを合成 |
好気呼吸では酸素を使ってグルコースを分解し、結果としてATP・水・二酸化炭素ができます。得られるATPは1モルのグルコースから約38モルです。
一方、激しい運動などで酸素供給が間に合わないと、グルコースは酸素なしで分解されます。これを嫌気呼吸(解糖)といい、得られるATPは1モルのグルコースから約2モルと少量です。短時間でエネルギーを得られるのが利点です。
| 項目 | 好気呼吸(内呼吸) | 嫌気呼吸(解糖) |
|---|---|---|
| 酸素 | 使う | 使わない |
| 場所 | ミトコンドリア(解糖系は細胞質) | 細胞質 |
| 生成物 | ATP・水(H₂O)・二酸化炭素(CO₂) | 少量のATP |
| ATP量 | 1モルのグルコースから約38モル | 1モルのグルコースから約2モル |
| 状況 | 通常時 | 激しい運動などで酸素供給が不足したとき |
余ったグルコースは肝臓・骨格筋に取り込まれ、グリコーゲンとして貯蔵されます。血糖値が低下すると肝臓のグリコーゲンが分解されてグルコースとなり、血液中に放出されます。これに対し骨格筋のグリコーゲンは、主に筋収縮時のエネルギー源として使われます(血糖維持には回されない点が引っかけ)。
それでも足りないときに働くのが糖新生=糖質以外の物質からグルコースをつくるしくみです。
| 貯蔵部位 | 貯蔵形 | 分解されたときの使われ方 |
|---|---|---|
| 肝臓 | グリコーゲン | グルコースになって血液中へ放出(血糖維持) |
| 骨格筋 | グリコーゲン | 主に筋収縮時のエネルギー源として利用 |
糖質代謝はエネルギーをつくるだけでなく、体の成分をつくる材料にもなります。
①アミノ酸の合成:クエン酸回路(TCA回路)の中間代謝産物が、それぞれのアミノ酸の材料になります。
②脂質(脂肪酸)の合成:アセチルCoAを材料とし、クエン酸回路から供給されるNADPH・ATPを使って脂肪酸合成酵素系が働き、脂肪酸、さらに中性脂肪(トリグリセリド)がつくられます。
| クエン酸回路の中間代謝産物 | 材料になる主なアミノ酸の例 |
|---|---|
| クエン酸 | グルタミン、アスパラギン など |
| イソクエン酸 | グルタミン、プロリン など |
| α-ケトグルタル酸 | グルタミン酸、アルギニン など |
| スクシニルCoA | バリン、イソロイシン、メチオニン など |
| コハク酸 | フェニルアラニン、チロシン など |
| リンゴ酸・オキサロ酢酸 | アスパラギン酸、アスパラギン など |