筋収縮とは、筋に活動電位が発生し、それが最終的にアクチンとミオシンの結合を引き起こして筋が縮む現象です。この「活動電位から筋収縮までの流れ」を興奮収縮連関といい、鍵をにぎるのが筋小胞体から放出されるCa²⁺です。国試では、Ca²⁺の出入り・T管の役割・等張性/等尺性の違い・単収縮から完全強縮への移行・筋疲労の原因が繰り返し問われます。
| 読み方 | きんしゅうしゅく |
|---|---|
| 定義 | 活動電位をきっかけにアクチンとミオシンが結合し、筋が張力を発生する現象 |
| 興奮収縮連関 | 活動電位 → Ca²⁺放出 → アクチン・ミオシン結合 → 収縮 という一連の流れ |
| キーとなるイオン | Ca²⁺(カルシウムイオン)。筋小胞体に貯蔵される |
| 関与する構造 | 筋小胞体(Ca²⁺貯蔵)、T管(横行小管=活動電位を筋線維内部へ伝える)、アクチン・ミオシン |
| 弛緩のしくみ | 活動電位終了 → Ca²⁺が筋小胞体へ再取り込み → アクチン・ミオシンが結合しにくくなる |
| 収縮の様式 | 等張性収縮(長さが変わる)/等尺性収縮(長さは変わらない) |
| 刺激頻度による変化 | 単収縮 → 加重 → 不完全強縮 → 完全強縮 |
| 筋疲労の原因 | ATP減少、グリコーゲン枯渇、乳酸の蓄積、ADP・リン酸の蓄積、酸素供給不足 |
| 国試での狙われ方 | Ca²⁺の放出元・回収先、T管の働き、等張性と等尺性の区別、完全強縮の条件、白筋が疲労しやすい点 |
筋が収縮するときは、まず筋に活動電位が発生します。活動電位が筋細胞内へ伝わり、最終的にアクチンとミオシンが反応して筋収縮が起こります。この一連の流れが興奮収縮連関です。
逆に弛緩は、Ca²⁺を筋小胞体へ戻すことで起こります。「Ca²⁺が出れば縮む・戻れば緩む」と覚えるのが最短です。
骨格筋の中には筋小胞体という袋状の構造があり、ここにCa²⁺がたくさん貯蔵されています。活動電位が伝わるとCa²⁺が放出され、アクチンとミオシンが結合しやすくなって筋収縮が起こります。
T管(横行小管)は、筋細胞膜が細胞内に入り込んだ構造です。表面に生じた活動電位を、筋線維の内部(奥)まで一気に伝える電気信号の通路として働きます。これがあるおかげで、太い筋線維でも中心部まで同時に収縮できます。
国試では「T管=Ca²⁺を貯める」という誤りの選択肢が定番です。Ca²⁺を貯めるのは筋小胞体、電気を伝えるのがT管と区別しましょう。
| 構造 | はたらき |
|---|---|
| T管(横行小管) | 活動電位を筋線維の内部へ伝える電気信号の通路 |
| 筋小胞体 | Ca²⁺を貯蔵し、活動電位により放出・弛緩時に再取り込み |
| アクチン・ミオシン | Ca²⁺存在下で結合し、滑り込んで張力を発生させる |
収縮の反対である弛緩も、Ca²⁺の動きで説明できます。
Ca²⁺の回収は能動輸送(ATPを使う)で行われるため、ATPが尽きると筋は緩めなくなります。死後硬直の理解にもつながるポイントです。
収縮の様式は「筋の長さが変わるかどうか」で分類します。等張性=長さが変わる/等尺性=長さは同じが結論です。
| 項目 | 等張性収縮 | 等尺性収縮 |
|---|---|---|
| 筋の長さ | 変わる | 変わらない |
| 張力 | 比較的一定 | 張力が発生する |
| 具体例 | 肘を曲げる、物を持ち上げる、歩行運動 | 重い物を持って静止する、壁を押す |
| 役割 | 関節運動を起こす | 姿勢保持、関節を固定する |
単収縮は「1回の活動電位で1回だけ収縮する」筋収縮の基本パターンで、収縮したあとすぐ弛緩し、次の刺激がなければ単発で終わります。
刺激が続くと、次の活動電位が前の収縮に重なって収縮力が大きくなり(加重)、さらに刺激頻度が高くなると単収縮が重なって持続的な収縮=強縮になります。日常の運動の多くは強縮で行われています。
| 段階 | 刺激頻度 | 張力波形の特徴 |
|---|---|---|
| 単収縮 | 低い(単発) | 1回の活動電位で1回収縮し、すぐ弛緩する |
| 加重 | やや高い | 次の活動電位が前の収縮に重なり収縮力が大きくなる |
| 不完全強縮 | 高い | 少し波打ちながら収縮が続く |
| 完全強縮 | さらに高い | なめらかに融合して収縮が持続する |
筋収縮を繰り返すと収縮力が低下し、やがて収縮できなくなります。これが筋疲労です。主な原因はATPの減少で、次の要因が関与します。
また、白筋(速筋)は赤筋(遅筋)より疲労しやすいのが特徴です。赤筋はミオグロビン・ミトコンドリアが豊富で有酸素性代謝に優れるため持久力が高く、白筋は解糖系中心で速く強い力を出せる反面、乳酸がたまりやすく疲労しやすくなります。