このページは筋強直性ジストロフィーを扱います。デュシェンヌ型など進行性筋ジストロフィーとの最大の違いは、収縮した筋肉の力が抜けにくくなる「ミオトニー(筋強直)現象」と、白内障・心筋症・糖尿病などの多臓器にわたる全身症状を伴う点です。常染色体優性遺伝をとり成人に多くみられます。
| 読み方 | きんきょうちょくせいじすとろふぃー |
|---|---|
| 定義 | 筋強直(ミオトニー)現象と進行性の筋力低下を主徴とし、白内障・心筋症・糖尿病など多臓器の全身症状を伴う遺伝性筋疾患 |
| 原因・遺伝形式 | 第19染色体の遺伝子異常による常染色体優性遺伝。親から子へ受け継がれ、家族内で複数の患者がみられることがある |
| 頻度・好発 | 遺伝性筋疾患の中では比較的多く、患者数は人口10万人あたり約5人とされる。男女ともに発症し、年齢を問わない |
| 主な症状 | 把握ミオトニー、遠位筋優位の筋力低下、ミオパチー顔貌(斧様顔貌)、白内障、脱毛、心筋症・不整脈、糖尿病など |
| 検査・診断 | 臨床症状+血液検査(CK高値・血糖高値)、筋電図でのミオトニー放電、遺伝学的検査(第19染色体異常)で確定 |
| 治療 | 根治療法は限られ、ミオトニーや合併症への対症療法・全身管理が中心。進行は比較的緩やか |
| 国試での狙われ方 | 第19染色体・常染色体優性遺伝/把握ミオトニー・遠位筋優位/斧様顔貌・白内障・心筋症・糖尿病の多臓器合併/筋電図のミオトニー放電 |
筋強直性ジストロフィーは、遺伝性筋疾患のなかでも比較的よくみられる疾患で、患者数は人口10万人あたり約5人とされます。男女ともに発症し、年齢を問いません。
原因は第19染色体の遺伝子異常で、遺伝形式は常染色体優性遺伝をとります。親から子へ受け継がれ、家族内で複数の患者がみられることがあります。筋肉だけでなく、心臓・眼(白内障)・内分泌・認知機能など全身の幅広い臓器に症状が現れるのが大きな特徴です。
ミオトニー(筋強直現象)とは、筋肉を収縮させたあとに力を抜きにくくなる症状です。筋力低下よりも先に現れることが多いため、早期のサインとして重要です。
この「力を抜きにくい」症状こそが、進行性(デュシェンヌ型など)筋ジストロフィーにはない、この疾患を見分ける決め手です。
筋力低下は手足の先にある遠位筋から始まりやすいのが特徴です(デュシェンヌ型が近位筋優位なのと対照的)。手指・前腕では物をつかむ力が弱くなり細かい動作がしにくくなり、足部ではつまずきやすくなり足首やつま先の力が低下します。進行すると歩行が不安定になり日常生活動作に影響します。
さらに頸部や顔面の筋肉も障害され、首の筋力低下で頭を持ち上げにくくなり、顔面筋の萎縮によって細長く力のないミオパチー顔貌(斧様顔貌)を呈します。
| 部位 | 主な症状 |
|---|---|
| 手指・前腕(遠位筋) | 物をつかむ力が弱くなる/細かい動作がしにくくなる |
| 足部(遠位筋) | つまずきやすくなる/足首やつま先の力が低下 |
| 頸部 | 頭を持ち上げにくくなる |
| 顔面筋 | 萎縮して細長く力のない印象=ミオパチー顔貌(斧様顔貌) |
筋強直性ジストロフィーでは、筋肉だけでなくさまざまな臓器に症状が現れます。多臓器にわたる合併症を早期に発見し適切に管理することが大切です。
正確な診断には、複数の検査を組み合わせることが重要です。
筋萎縮や筋力低下を根本的に改善する治療法は現在のところ限定的で、治療は症状をやわらげ、合併症を予防・管理する対症療法が中心です。
進行は比較的緩やかでゆっくり進むことが多いため、長期的な経過観察と継続的なケアが大切です。