アフロの手アフロの手

血液循環のしくみ・血圧調節と国試ポイントけつえきじゅんかん

血液循環とは、心臓のポンプ作用によって血液が全身の血管内を流れ続ける仕組みのことです。血液は必ず高い圧力の場所から低い圧力の場所へ流れ、心臓は1日に約10万回拍動して血液を送り出します。国試では肺循環と体循環の経路血圧=心拍出量×総末梢抵抗細動脈(抵抗血管)で血圧が大きく低下する点、毛細血管で血流速度が最も遅い理由が頻出です。

血液循環|血液循環 1
読み方けつえきじゅんかん
定義心臓のポンプ作用によって血液が全身の血管内を流れ続ける仕組み。血液は高い圧力の場所から低い圧力の場所へ流れる
担当する器官・中枢心臓(ポンプ)/動脈・細動脈・毛細血管・細静脈・静脈/延髄の心臓血管中枢・圧受容体反射
2つの循環経路肺循環(小循環):右心房→右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房/体循環(大循環):左心房→左心室→大動脈→全身→静脈→上・下大静脈→右心房
調節のしくみ神経性調節(交感神経で心拍数↑・血管収縮→血圧↑)、体液性調節(RAAS・バソプレシンなど)、局所調節(CO₂・H⁺・K⁺・NO)、圧受容体反射(頸動脈洞・大動脈弓)
関与するホルモンレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)、バソプレシン(ADH)、アドレナリン
基準値・数値心拍動 約10万回/日、血圧の正常値 約120/80mmHg、1回拍出量(SV)約60〜100mL/回、心拍数(HR)約60〜100回/分、静脈圧 約5〜10mmHg、毛細血管の直径 約7〜10μm、赤血球の直径 約7〜8μm
国試での狙われ方血圧=心拍出量×総末梢抵抗、血流速度が最も遅いのは毛細血管(総断面積が最大)、血圧が最も大きく低下するのは細動脈、全血液量の約60〜70%が静脈に存在、静脈還流の3つの補助機構

血液循環の基本と2つの循環経路

心臓は1日に約10万回拍動し、血液を全身へ送り出しています。血液は動脈→毛細血管→静脈の順に流れ、酸素・栄養・ホルモン・免疫細胞を運び、二酸化炭素・老廃物を回収して排泄器官へ運びます。

肺動脈には静脈血、肺静脈には動脈血が流れる点が国試の定番の引っかけです。心臓の4つの部屋の役割は、右心房=全身から戻った血液を受け取る、右心室=肺動脈へ送り出す、左心房=肺から酸素の多い血液を受け取る、左心室=大動脈へ送り出す、です。

血液循環の全体像。肺循環と体循環の2つのルート
血液循環の全体像。肺循環と体循環の2つのルート

血管の5種類とそれぞれの特徴

血管は役割によって5つに分類されます。血液の流れは左心室→動脈→細動脈→毛細血管→細静脈→静脈→右心房の順です。特に細動脈(抵抗血管)毛細血管が循環調節の中心となります。

項目動脈細動脈毛細血管細静脈静脈
内腔の大きさ小さめさらに小さい非常に小さい(赤血球1個分)やや大きい大きい
壁の厚さ厚い中くらい非常に薄い(内皮1層のみ)薄い薄い
弾力性強い中くらいほとんどなし弱い弱い
血圧高い中〜高低い低い非常に低い
血流速度速いやや速い最も遅いやや遅い遅い
基本的になしなしなしなしあり(静脈弁)
血管の5分類と構造・役割の比較
血管の5分類と構造・役割の比較

血圧の特徴と血流速度(数値は頻出)

血圧は血液が血管壁を内側から押す力、血流速度は血液が血管内を流れる速さで、両者は別の概念です。血圧が最も高いのは左心室直後の大動脈で、心臓から遠ざかるにつれて(血管との摩擦・血液の粘性・血管抵抗により)徐々に低下し、細動脈で最も大きく低下します。右心房付近ではほぼ0になります。

血流速度が毛細血管で最も遅くなるのは、毛細血管の総断面積が非常に大きいからです(流量保存の法則)。ゆっくり流れることで物質交換の時間が十分に確保されます。

部位血流速度(cm/秒の目安)血圧の目安(mmHg)
大動脈30〜50120〜130
動脈10〜30100〜120
細動脈(抵抗血管)1〜1030〜50
毛細血管0.03〜0.1(最も遅い)10〜20
細静脈0.1〜0.55〜10
静脈0.5〜22〜5
右心房付近ほぼ00〜2
血流速度は大動脈で最速、毛細血管で最も遅い
血流速度は大動脈で最速、毛細血管で最も遅い

毛細血管の構造と水移動(スターリングの法則)

毛細血管は直径約7〜10μmで、直径約7〜8μmの赤血球がギリギリ1個ずつ変形しながら通れる細さです。壁は内皮細胞1層のみで、基底膜とペリサイト(周皮細胞)に支えられています。

毛細血管での水の移動は、外へ押し出す静水圧(血圧)Pcと、内へ引き戻す膠質浸透圧(血漿タンパク質の力)πcのバランスで決まります。

浮腫(むくみ)の主な原因は、心不全(静水圧の上昇)、腎臓病(Na・水の貯留)、低アルブミン血症(栄養不足・肝疾患)、炎症(血管透過性の亢進)、リンパ管の障害です。

毛細血管の種類構造の特徴主な存在部位
連続型内皮細胞の間に隙間が少なく基底膜も連続。バリア機能が高く物質の通過が最も少ない筋肉・皮膚・肺・脳など
有窓型内皮細胞に小さな穴(窓:フェネストラ)がある。ろ過や吸収に適する腎臓・消化管(小腸)・内分泌腺など
洞様型(類洞)内皮細胞の間隔が大きく基底膜も不連続。大量の物質交換が可能肝臓・脾臓・骨髄など
動脈側で濾過、静脈側で再吸収。余剰はリンパ管が回収
動脈側で濾過、静脈側で再吸収。余剰はリンパ管が回収

静脈還流を助ける3つの補助機構

静脈還流とは、全身の静脈血を心臓(右心房)へ戻す働きです。静脈は圧が低く(約5〜10mmHg)、壁が薄く重力の影響を受けやすいため、3つの補助機構が不可欠です。

静脈還流が低下すると、浮腫(むくみ)や血栓形成(深部静脈血栓症:DVT)が起こり、血栓が肺に飛ぶと肺塞栓症となり生命に関わります。長時間の座位・立位(デスクワーク・長距離運転・飛行機)で起こりやすくなります。

静脈弁・筋ポンプ・呼吸ポンプの3つの補助機構
静脈弁・筋ポンプ・呼吸ポンプの3つの補助機構

血圧を決める要因と血圧測定

血圧の基本式は血圧=心拍出量×総末梢抵抗(TPR)です。心拍出量=1回拍出量(SV)×心拍数(HR)で、正常値はSVが約60〜100mL/回、HRが約60〜100回/分。総末梢抵抗は主に細動脈の収縮・拡張で決まり、血圧を上げる最大の因子は総末梢抵抗の上昇です。

分類(成人)収縮期血圧(mmHg)拡張期血圧(mmHg)
正常血圧〜119〜79
正常高値血圧120〜12980〜84
高値血圧130〜13985〜89
高血圧(Ⅰ度)140〜15990〜99
高血圧(Ⅱ度)160〜179100〜109
高血圧(Ⅲ度)180〜110〜
血圧測定(聴診法)とコロトコフ音・血圧の分類
血圧測定(聴診法)とコロトコフ音・血圧の分類
国試ポイント
① 血圧=心拍出量×総末梢抵抗。心拍出量=1回拍出量(約60〜100mL/回)×心拍数(約60〜100回/分)
② 血流速度が最も遅いのは毛細血管(0.03〜0.1cm/秒)。理由は総断面積が最も大きいから(血圧が低いからではない)
③ 血圧が最も高いのは左心室直後の大動脈、最も大きく低下するのは細動脈(抵抗血管)
④ 全血液量の約60〜70%は静脈(容量血管)に存在する
⑤ 毛細血管の直径は約7〜10μm、赤血球は約7〜8μmで変形しながら1個ずつ通過する
⑥ 毛細血管の水移動=正味のろ過圧NFP=静水圧Pc−膠質浸透圧πc。膠質浸透圧の主役はアルブミン
・ 静脈還流の3つの補助機構は静脈弁・筋ポンプ・呼吸ポンプ。吸気で胸腔内圧が低下し静脈還流が増加する
・ 肺動脈には静脈血、肺静脈には動脈血が流れる(名称と血液の種類の引っかけに注意)
📖 血液循環をスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習