腱鞘炎は、腱を包む滑液性腱鞘に炎症が起こり、腱の滑走が障害される病気です。手や指の使いすぎ(繰り返し動作)が大きな誘因で、手首や指に好発します。代表的なものに指のばね指(弾発指)と手首橈側のドケルバン病があります。
腱は滑液性腱鞘というトンネル状の膜に包まれ、内部の滑液によってスムーズに動きます。この腱鞘に炎症が起こった状態が腱鞘炎です。
構造を理解すると、原因と対策が見えてきます。
「使いすぎ」が大きな誘因ですが、感染や自己免疫が原因になることもあります。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 繰り返す運動 | 同じ動作の繰り返しで手や指の腱に負担がかかる(大きな誘因) |
| 物理的・機械的刺激 | 強い力や負担がかかる作業で腱や腱鞘が炎症を起こす |
| 細菌感染 | 細菌の感染により腱鞘に炎症が起こる |
| 自己免疫疾患 | 免疫の異常で腱を攻撃し、炎症や痛みが続く |
腱鞘炎は手首と指に多くみられます。タイプごとに好発部位が異なります。
| タイプ | 好発部位 |
|---|---|
| ドケルバン病 | 手首の橈側(短母指伸筋・長母指外転筋の腱鞘) |
| ばね指 | 指の屈筋腱鞘 |
| 細菌感染(化膿性) | 手の屈筋腱鞘 |
| 結核性 | 前腕・手の屈筋腱鞘 |
炎症の四徴に沿った症状が現れます。痛み・腫れ・熱感に注目しましょう。
細菌感染では発赤・膿瘍形成(赤くなる・化膿)を伴うこともあります。
原因に応じて治療を選びます。炎症をおさえ、痛みを軽減し、再発を防ぎ、原因を取り除くことが目標です。
| 治療 | ポイント |
|---|---|
| 局所の安静 | 使いすぎを避けて患部を休ませる |
| 消炎鎮痛薬(NSAIDs) | 痛みや炎症をやわらげる |
| ステロイド局注 | 強い炎症には局所への注射が有効 |
| 抗生物質 | 細菌感染が原因ならしっかり抗菌治療 |
| 原疾患の治療 | 関節リウマチなど原因となる病気をコントロール |
ばね指は指の屈筋腱と腱鞘のトラブルで起こります。腱が腱鞘のトンネル(滑車)を通るときに、炎症や腫れでスムーズに動けなくなります。
疫学:中年以降の女性に多く、1〜2歳の幼少児にも多い。右手に多い。発症頻度の高い指の順は 母指→中指→環指→示指→小指。
特徴的な所見と、段階的な治療を押さえましょう。
幼少児のばね指は4〜5歳まで様子を見ることもあります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 保存療法 | 安静・固定、ステロイド注射 |
| 手術 | 改善しない難治例で腱鞘切開術 |
ドケルバン病は手関節橈側の腱鞘炎で、短母指伸筋と長母指外転筋の腱鞘が障害されます。中年以降の女性、妊娠後期・産後に多く、手の使いすぎ・繰り返し動作が原因になります。