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腱鞘炎の病態・原因・好発部位・症状・治療

腱鞘炎は、腱を包む滑液性腱鞘に炎症が起こり、腱の滑走が障害される病気です。手や指の使いすぎ(繰り返し動作)が大きな誘因で、手首や指に好発します。代表的なものに指のばね指(弾発指)と手首橈側のドケルバン病があります。

腱鞘炎|腱鞘炎 1

腱鞘炎とは(病態の基本)

腱は滑液性腱鞘というトンネル状の膜に包まれ、内部の滑液によってスムーズに動きます。この腱鞘に炎症が起こった状態が腱鞘炎です。

構造を理解すると、原因と対策が見えてきます。

正常→滑膜の炎症→慢性肥厚性炎症へと進行する腱鞘炎のしくみ
正常→滑膜の炎症→慢性肥厚性炎症へと進行する腱鞘炎のしくみ

腱鞘炎の主な原因

「使いすぎ」が大きな誘因ですが、感染や自己免疫が原因になることもあります。

原因内容
繰り返す運動同じ動作の繰り返しで手や指の腱に負担がかかる(大きな誘因)
物理的・機械的刺激強い力や負担がかかる作業で腱や腱鞘が炎症を起こす
細菌感染細菌の感染により腱鞘に炎症が起こる
自己免疫疾患免疫の異常で腱を攻撃し、炎症や痛みが続く

腱鞘炎の好発部位

腱鞘炎は手首と指に多くみられます。タイプごとに好発部位が異なります。

タイプ好発部位
ドケルバン病手首の橈側(短母指伸筋・長母指外転筋の腱鞘)
ばね指指の屈筋腱鞘
細菌感染(化膿性)手の屈筋腱鞘
結核性前腕・手の屈筋腱鞘
腱鞘炎の好発部位。手首と指に多い
腱鞘炎の好発部位。手首と指に多い

腱鞘炎の症状

炎症の四徴に沿った症状が現れます。痛み・腫れ・熱感に注目しましょう。

細菌感染では発赤・膿瘍形成(赤くなる・化膿)を伴うこともあります。

腱鞘炎の治療の基本

原因に応じて治療を選びます。炎症をおさえ、痛みを軽減し、再発を防ぎ、原因を取り除くことが目標です。

治療ポイント
局所の安静使いすぎを避けて患部を休ませる
消炎鎮痛薬(NSAIDs)痛みや炎症をやわらげる
ステロイド局注強い炎症には局所への注射が有効
抗生物質細菌感染が原因ならしっかり抗菌治療
原疾患の治療関節リウマチなど原因となる病気をコントロール

ばね指(弾発指)の特徴と病態

ばね指は指の屈筋腱と腱鞘のトラブルで起こります。腱が腱鞘のトンネル(滑車)を通るときに、炎症や腫れでスムーズに動けなくなります。

疫学:中年以降の女性に多く、1〜2歳の幼少児にも多い。右手に多い。発症頻度の高い指の順は 母指→中指→環指→示指→小指。

腱が腱鞘のトンネルで引っかかり、指がカクンと動くばね指のしくみ
腱が腱鞘のトンネルで引っかかり、指がカクンと動くばね指のしくみ

ばね指の症状と治療

特徴的な所見と、段階的な治療を押さえましょう。

幼少児のばね指は4〜5歳まで様子を見ることもあります。

段階内容
保存療法安静・固定、ステロイド注射
手術改善しない難治例で腱鞘切開術

ドケルバン病の特徴・症状・診断・治療

ドケルバン病は手関節橈側の腱鞘炎で、短母指伸筋長母指外転筋の腱鞘が障害されます。中年以降の女性、妊娠後期・産後に多く、手の使いすぎ・繰り返し動作が原因になります。

ドケルバン病の症状・フィンケルスタインテスト・治療
ドケルバン病の症状・フィンケルスタインテスト・治療
国試ポイント
① 腱鞘炎は腱を包む滑液性腱鞘の炎症。使いすぎ(繰り返し動作)が大きな誘因で手首・指に好発
② ばね指(弾発指)は指の屈筋腱鞘の腱鞘炎。弾発現象・ロッキングが特徴で、中年女性・幼少児・右手に多い
③ ばね指の指別発症頻度は 母指→中指→環指→示指→小指 の順
④ ドケルバン病は手関節橈側(短母指伸筋・長母指外転筋)の腱鞘炎。中年女性・妊娠後期/産後に多い
⑤ ドケルバン病の診断はフィンケルスタインテスト陽性。治療は安静・固定、ステロイド注射、難治例は腱鞘切開術
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