頸肩腕症候群(頸腕症候群)は、頸部から肩・上肢にかけて「こり・しびれ・痛み」が出る症状をひとまとめにした総称です。かつては上肢を反復して使う職業に多い病態として注目されました。しかし現在は頸椎症・頸椎椎間板ヘルニア・胸郭出口症候群など原因が特定できるものは個別の病名で扱い、原因がはっきりしないものをまとめて呼ぶ「傘のような」概念へと位置づけが変わっています。
| 読み方 | けいわんしょうこうぐん・けいけんわんしょうこうぐん |
|---|---|
| 分類 | 運動器(頸部〜上肢の症状の総称・症候群) |
| 病態 | 頸部から肩・上肢にかけて症状が出る病態の総称(単一疾患ではない) |
| 好発(歴史的背景) | キーパンチャー・タイピスト・電話交換手・事務作業など上肢を反復して使う職業 |
| 主な症状 | こり・張り、しびれ、痛み(鋭い痛み)、だるさ・重だるさ |
| 含まれてきた疾患 | 頸椎症・頸椎椎間板ヘルニア・椎間板症、胸郭出口症候群(斜角筋・肋鎖・過外転症候群)など |
| 現在の位置づけ | 原因が分かるものは個別病名で扱い、原因不明のものをまとめて呼ぶ概念 |
| 鑑別すべき病態 | 自律神経失調症・片頭痛・更年期障害・末梢神経炎・顎関節症・不安/うつ など |
頸肩腕症候群(頸腕症候群)は、特定の一つの病気ではなく、頸部から肩、上肢にかけて症状が出る病態の総称です。「首〜肩〜腕にこり・しびれ・痛み」がまとまって現れるのが特徴です。
頸部・肩・上肢という広い範囲に症状が出るため、原因もさまざまで、複数の要因が関係することがあります。
歴史的には、上肢を繰り返し使う職業に多い病態として注目されてきました。手や腕の反復作業による負担が原因と考えられていたためです。
このように「上肢の反復作業」で発症すると考えられ、職業病的な色合いの強い概念でした。
かつての「頸肩腕症候群」は、首〜肩〜腕の症状をひとまとめにした大きなくくりの名称(傘のような呼び方)でした。しかし現在は、原因が分かれば具体的な病名で呼ぶ時代になり、独立した疾患名としてはあまり使われなくなっています。より正確な検査と適切な治療につなげるためです。
かつて頸肩腕症候群にまとめて含まれていた頸椎の病気は、今は次のように個別に扱われます。
| かつて含まれた病態 | 今の病名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 骨の変形・とげ | 頸椎症 | 椎骨の変形・骨棘 |
| 椎間板の突出 | 頸椎椎間板ヘルニア | 椎間板が突出し神経を圧迫 |
| 椎間板の変性 | 椎間板症 | 椎間板の変性 |
かつては頸肩腕症候群の中に含まれていた胸郭出口部の圧迫による病態も、現在は「胸郭出口症候群(TOS)」として独立した名称で扱います。首・肩・腕のしびれや痛みは、胸郭出口部(斜角筋・鎖骨・第1肋骨のあたり)で神経・血管(腕神経叢・鎖骨下動静脈)が圧迫されて起こることがあります。
これら3つはまとめて胸郭出口症候群として扱い、原因を正しく見極めて適切な治療・対策を行うことが大切です。
現在の考え方では、頸椎疾患や胸郭出口症候群(TOS)のように原因が特定できるものは別の診断名で扱い、原因が特定できないものをまとめて「頸肩腕症候群」と呼ぶことがあります。
つまり、原因不明のものをまとめてこの名称で考える、という位置づけです。
頸肩腕症候群の症状の背景には、複数の病気が関係していることがあり、原因は一つではない点に注意が必要です。似た症状を示す・合併しうる病態を鑑別することが大切です。