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下肢痛と神経障害の原因分類・レッドフラッグ・弁証と治療方針かしつうとしんけいしょうがい

このページは腰から下りてくる痛み(腰痛・坐骨神経痛)ではなく、下肢そのものに生じる痛みとしびれを「原因の系統別」に切り分ける視点を扱います。下肢痛の原因は神経の障害・筋腱の障害・関節の障害・血管の障害・糖尿病など全身の病気の5つに大別され、まずどの系統かを見極めることが出発点です。そのうえでレッドフラッグ(危険サイン)で受診勧告の要否を判断し、東洋医学的には風寒湿熱・気滞血瘀・気血両虚のいずれかに弁証して、局所穴・循経穴・弁証配穴を組み立てます。

下肢痛と神経障害|下肢痛と神経障害 1
読み方かしつうとしんけいしょうがい
定義太もも・ひざ・ふくらはぎ・足先までに生じる痛み・しびれ・だるさの総称。原因は多岐にわたる
原因の5分類神経の障害/筋・腱の障害/関節の障害/血管の障害/糖尿病など全身の病気
代表的な絞扼性神経障害総腓骨神経障害(足の甲のしびれ・背屈困難)、脛骨神経障害(足底のしびれ・底屈困難)
主なスポーツ障害シンスプリント、コンパートメント症候群、アキレス腱炎、足底腱膜炎
主な証(弁証)風寒湿熱・気滞血瘀・気血両虚
治法疏通経絡・活血化瘀・補気養血
配穴の組み立て局所穴(痛みの部位に直接)+循経穴(経絡の流れに沿って調整)+弁証配穴(病態に合わせる)
レッドフラッグ冷感・脈が弱い/発熱・腫れ/急な強い痛み/しびれ・麻痺/左右差/全身のだるさ
国試での狙われ方神経の走行と症状の対応、レッドフラッグの判別、3証の症状・治法の組み合わせ

下肢痛の原因は5系統に分けて考える

下肢痛は「どこが痛いか」より「どの組織が原因か」で整理します。スライドでは次の5系統が示されています。系統が違えば問診で確認すべき点も、鍼灸の適応・不適応の判断も変わります。

とくに血管の障害全身疾患は、鍼灸単独で扱ってはいけない病態が紛れ込む入口になります。痛みの性状(電気様か、ズキズキか、歩くと増悪するか)を必ず聞き分けます。

系統代表的な症状の特徴主な着眼点
神経の障害しびれ・電気が走るような痛み走行に沿った分布か、筋力低下を伴うか
筋・腱の障害運動時痛、圧痛、炎症・損傷使いすぎ(オーバーユース)の有無
関節の障害変形・炎症による痛み動作時の可動域と腫脹
血管の障害血流悪化・血管の詰まりによる痛み冷感、脈の触知、左右差
全身の病気(糖尿病など)下肢に症状が出る全身疾患基礎疾患、発熱・倦怠感
下肢痛の原因は神経・筋腱・関節・血管・全身疾患の5系統
下肢痛の原因は神経・筋腱・関節・血管・全身疾患の5系統

見逃せない危険サイン(レッドフラッグ)

下肢痛では命に関わる病気が隠れていることがあります。スライドの6つの危険サインは、いずれか一つでも該当すれば施術より先に医療機関受診を勧める判断材料になります。放置すると重症化することがある、という記載どおり、時間軸の判断が問われます。

危険サイン具体的な所見
冷感・脈が弱い足が冷たい・脈が触れにくい
発熱・腫れ熱を持って腫れている
急な強い痛み突然の激しい痛みがある
しびれ・麻痺しびれや感覚の鈍さ・動かしにくさ
左右差片側だけの痛み・腫れ・太さの違い
全身のだるさ発熱や倦怠感など全身症状を伴う
下肢痛のレッドフラッグ6項目
下肢痛のレッドフラッグ6項目

絞扼性神経障害 ― 総腓骨神経と脛骨神経

神経が圧迫・牽引されると、しびれ・痛み・筋力低下が起こります。下肢で国試頻出なのが総腓骨神経と脛骨神経の2本で、走行と症状の対応を答えられるようにします。

症状としてはしびれ(ピリピリ・ジンジン、感覚が鈍くなる)筋力低下(つまずきやすい・足が上がりにくい)が現れ、足関節の動きに影響します。すなわち背屈がしにくい(つま先が上がらない)底屈がしにくい(つま先立ちが弱い)です。

神経走行主な症状足関節への影響
総腓骨神経ひざの外側→下腿外側→足の甲足の甲のしびれ、足を上げにくい背屈がしにくい(つま先が上がらない)
脛骨神経ひざの内側→下腿後面→足底足裏のしびれ・感覚異常底屈がしにくい(つま先立ちが弱い)
総腓骨神経・脛骨神経の走行と症状
総腓骨神経・脛骨神経の走行と症状

スポーツ障害(オーバーユース)による下肢痛

同じ動作のくり返しが原因で筋肉・骨・腱に負担が蓄積して起こるのがスポーツ障害です。ランニング・ジャンプ・くり返し動作が誘因として挙げられています。

疾患部位・症状
シンスプリントすねの内側の痛み。走る・跳ぶで悪化
コンパートメント症候群筋膜内の圧力上昇で強い痛み・しびれ
アキレス腱炎アキレス腱の炎症。ジャンプ・ランで痛む
足底腱膜炎かかとの内側の痛み。朝の一歩目がつらい
オーバーユースによる代表的な下肢のスポーツ障害
オーバーユースによる代表的な下肢のスポーツ障害

東洋医学の考え方 ― 下肢痛のタイプ(弁証)

東洋医学では下肢痛を体質と巡りの問題としてとらえ、スライドでは3つのタイプに分類しています。経絡とツボが痛みのカギであり、経絡の流れを整えることが治療の柱です。

症状の特徴病因
風寒湿熱冷え・重だるさ・むくみ・熱感外からの邪気や余分な水分・熱が影響
気滞血瘀痛みが刺すよう・しこり・重苦しい気の滞りや血の巡りの悪さが原因
気血両虚疲れやすい・だるい・痛みが長引く・弱い気と血の不足で栄養や力が届かない
下肢痛の3つの証(風寒湿熱・気滞血瘀・気血両虚)
下肢痛の3つの証(風寒湿熱・気滞血瘀・気血両虚)

治療の考え方 ― 局所穴・循経穴・弁証配穴

配穴は3つの層で組み立てます。局所穴は痛みのある部位に直接アプローチ、循経穴は経絡の流れに沿って調整、そして病態に合わせた弁証配穴を加えます。「病態に合わせた配穴が大切」であり、痛みの原因に合わせた治療で根本改善を目指します。

治法は次の3つが示されています。疏通経絡(気血の流れをスムーズに)、活血化瘀(瘀血を改善して痛みをやわらげる)、補気養血(気と血を補い回復力を高める)。証と治法の対応で覚えると得点しやすい部分です。

治法ねらい主に対応する証
疏通経絡気血の流れをスムーズにする風寒湿熱(経絡の停滞)
活血化瘀瘀血を改善して痛みをやわらげる気滞血瘀
補気養血気と血を補い、回復力を高める気血両虚
局所穴・循経穴・弁証配穴と3つの治法
局所穴・循経穴・弁証配穴と3つの治法

養生 ― 運動療法・冷え対策・食事と休養・再発予防

鍼灸治療と並行して行う生活指導も出題範囲です。スライドでは4本柱にまとめられています。

冷え対策の項目は、東洋医学の風寒湿を避ける養生とそのまま対応している点が理解のポイントです。

養生の柱具体策
運動療法・セルフケアストレッチ/筋トレ/セルフマッサージ/靴・インソール/疲労回復
冷え対策・巡り改善冷やさない/温める(足湯・入浴)/血流アップ/風を避ける/気血の巡り
食事と休養暴飲暴食を避ける/栄養バランス/十分な睡眠/休養/過労を防ぐ
再発予防フォーム改善/運動量調整/負担の偏りを防ぐ/セルフケア継続/生活習慣
冷え対策と巡り改善(風寒湿を避ける養生)
冷え対策と巡り改善(風寒湿を避ける養生)
国試ポイント
① 下肢痛の原因は神経・筋腱・関節・血管・全身疾患(糖尿病など)の5系統に分類する。
② 総腓骨神経=下腿外側から足の甲、障害で背屈困難(つま先が上がらない)。脛骨神経=下腿後面から足底、障害で底屈困難(つま先立ちが弱い)。
③ レッドフラッグは冷感・脈が弱い/発熱・腫れ/急な強い痛み/しびれ・麻痺/左右差/全身のだるさの6つ。冷感+脈微弱+左右差は血管性を疑う。
④ 弁証は風寒湿熱(冷え・重だるさ・むくみ・熱感)、気滞血瘀(刺すような痛み・しこり)、気血両虚(だるく痛みが長引き弱い)の3型。
⑤ 治法は疏通経絡・活血化瘀・補気養血。証と治法の組み合わせが問われる。
⑥ 配穴は局所穴(患部へ直接)+循経穴(経絡に沿って調整)+弁証配穴(病態に合わせる)の3層で構成する。
・ スポーツ障害はシンスプリント(すね内側)、コンパートメント症候群(筋膜内圧上昇)、アキレス腱炎、足底腱膜炎(朝の一歩目)が代表。
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