関節の動きは、関節(軸)を中心とした回転運動です。その回転を起こす力がトルク(回転力)=力の大きさ×軸からの距離(モーメントアーム)で、筋の力は関節を回す垂直成分と、関節を押し付ける平行成分(圧縮力)に分けて考えます。さらに身体の運動は支点・力点・作用点からなる「てこ」として整理でき、位置関係で第1〜第3のてこに分類されます。
| 読み方 | かんせつうんどうとてこのきほん |
|---|---|
| 分野 | リハビリテーション医学/運動学(バイオメカニクス) |
| 関節運動の本質 | 関節軸(中心点)まわりの回転運動 |
| トルク(回転力) | 力の大きさ×軸からの距離。距離が長いほどトルクは大きい |
| 力の分解 | 垂直成分=回転を生む/平行成分=関節を圧迫(安定化)する |
| てこの3要素 | 支点(関節)・力点(筋の付着部)・作用点(荷重点) |
| てこの分類 | 第1=バランス、第2=力(パワー)、第3=速さ・可動域 |
| 身体で最も多いてこ | 第3のてこ(上腕二頭筋による肘屈曲など) |
| 基本肢位 | 直立位・両眼前方・上肢は体側で手掌前方・下肢はまっすぐでつま先前方(0度) |
| 運動表示の要素 | 方向・角度・速さ・強さ/面(矢状面・前頭面・水平面)と軸 |
関節運動は骨が関節軸(中心点)のまわりを回る回転運動です。この回転を起こす力をトルク(回転力・モーメント)といい、次の式で決まります。
臨床では、荷物を体幹から遠くで持つほど腰部にかかるトルクが増大するなど、介助・移乗動作の指導根拠になります。
筋が骨を引く力は骨の長軸に対して斜めに働くため、2つの成分に分解して考えます。
| 成分 | 向き | 働き | 臨床的意義 |
|---|---|---|---|
| 垂直成分(回転成分) | 骨の長軸に垂直 | 関節を回転させる=トルクを生む | 実際の関節運動を起こす力 |
| 平行成分(圧縮成分) | 骨の長軸に平行 | 関節面を押し付ける(圧縮力) | 関節の安定に働くが、過大なら関節面の負担増 |
肘関節を屈曲させる上腕二頭筋を例にすると、発揮された筋力は
のように2つに分かれて働きます。筋力=そのまま関節運動の力ではなく、関節角度によって垂直成分の割合が変わるため、同じ筋力でも屈曲角度により発揮トルクが変化する点が重要です。
てこは支点(S)・力点(F)・作用点(W=荷重点)の3点で成り立ち、その位置関係で3種類に分類されます。身体では支点=関節、力点=筋の付着部、作用点=荷重(体節や外力)にあたります。
| 種類 | 並び順 | 特徴 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 第1のてこ | 力点 - 支点 - 作用点(支点が中央) | バランス(安定性) | シーソー・はさみ |
| 第2のてこ | 支点 - 力点 - 作用点…(作用点が中央になる配置で力が有利) | 力(パワー)が有利 | くるみ割り・一輪車 |
| 第3のてこ | 支点 - 作用点 - 力点(力点が中央) | 速さ・可動域が有利(力は不利) | ピンセット・腕 |
肘関節は3種類すべてのてこの例がみられる代表的な部位で、国試頻出です。
| 種類 | 運動・筋 | 支点 | 力点 | 作用点 |
|---|---|---|---|---|
| 第1種てこ | 上腕三頭筋による肘伸展 | 肘関節 | 筋の力(肘頭への付着) | 手の重さ |
| 第2種てこ | 腕橈骨筋による肘屈曲 | 肘関節 | 筋の力 | 負荷(ダンベルなど) |
| 第3種てこ | 上腕二頭筋による肘屈曲 | 肘関節 | 筋の力(橈骨粗面) | 手にかかる力(荷重) |
関節運動を正しく記録・伝達するには、出発点となる基本肢位と表示のルールが必要です。
さらに関節運動は面と軸で整理します。
| 面 | 主な運動 | 運動の軸 |
|---|---|---|
| 矢状面 | 屈曲・伸展 | 前頭(水平)軸 |
| 前頭面(前額面) | 外転・内転 | 矢状(水平)軸 |
| 水平面 | 回旋(内旋・外旋) | 垂直軸 |