関節痛とは、肘関節・膝関節などの関節に感じる自発痛・圧痛・運動痛のことをいいます。関節軟骨や骨皮質には神経が少なく通常は痛みを感じにくいため、痛みを出しているのは関節包・滑膜・靱帯・関節付近の骨膜です。原因は関節リウマチ・痛風・偽痛風・変形性関節症をはじめ、感染症・腫瘍・外傷・血友病・薬物アレルギーまで非常に幅広く、鑑別のために血液検査・画像検査・関節液検査を組み合わせます。
| 読み方 | かんせつつう |
|---|---|
| 分野 | 臨床医学総論(主訴・症候) |
| 定義 | 肘関節・膝関節などの関節に感じる自発痛・圧痛・運動痛 |
| 痛みを感じる部位 | 関節包・滑膜・靱帯・関節付近の骨膜(関節軟骨と骨皮質は感じにくい) |
| 発生機序 | 炎症・外傷・腫瘍・関節面不適合・関節液増加・出血など |
| 主な原因疾患 | 関節リウマチ、痛風、偽痛風、変形性関節症、感染症、腫瘍、外傷、血友病、薬物アレルギー |
| 随伴症状(急性炎症) | 自発痛・圧痛・腫脹・熱感・発赤+運動痛 |
| 検査 | 血液検査、関節X線、関節造影、エコー、CT、シンチグラフィ、関節液検査 |
| 治療 | 原因疾患の治療が基本。疼痛時は安静・湿布薬・消炎鎮痛薬・対症療法 |
関節痛とは、肘関節・膝関節などの関節に感じる自発痛・圧痛・運動痛を指します。国試ではこの3つがセットで問われます。
重要なのは「どこが痛みを出しているか」です。関節軟骨や骨皮質には神経(感覚神経)が少なく、通常は痛みを感じにくいという点が最大のポイント。実際に痛みを発しているのは、その周囲にある組織です。
これらの組織が、炎症・外傷・腫瘍・関節面の不適合・関節液の増加・出血などによって刺激されることで関節痛が生じます。
| 組織 | 痛みの感じやすさ | 備考 |
|---|---|---|
| 関節軟骨 | 感じにくい | 神経が少ない |
| 骨皮質 | 感じにくい | 神経が少ない |
| 関節包 | 感じやすい | 感覚神経が豊富 |
| 滑膜 | 感じやすい | 滑膜炎で強い痛み |
| 靱帯 | 感じやすい | 損傷で疼痛 |
| 関節付近の骨膜 | 感じやすい | 骨膜刺激で鋭い痛み |
関節痛の代表例として、変形性膝関節症の痛みの進行過程がスライドで整理されています。4段階の流れで覚えましょう。
この流れで痛みがどんどん強くなるのが特徴です。一発暗記として「軟骨がすり減る → 炎症 → 水がたまる → 骨がぶつかる → 痛い!」と順序で覚えると失点しません。
関節痛の原因は非常に幅広く、整形外科疾患だけではありません。膠原病・感染症・代謝性疾患・腫瘍・血液疾患・薬剤性まで押さえる必要があります。
特に国試で重要なのは 関節リウマチ・痛風・偽痛風・変形性関節症 の4つです。
| 分類 | 代表疾患 | 特徴・キーワード |
|---|---|---|
| 膠原病・リウマチ性疾患 | 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス | 多関節・対称性、朝のこわばり、自己抗体 |
| 感染症 | 化膿性関節炎、結核性関節炎 | 発熱・高度の熱感/発赤、緊急性が高い |
| 腫瘍 | 骨腫瘍、転移性骨腫瘍、滑膜腫瘍 | 安静時痛・夜間痛、進行性で悪化 |
| 代謝性疾患 | 痛風(尿酸)、偽痛風(ピロリン酸カルシウム) | 痛風は母趾MTP関節に好発、激痛発作 |
| 変形性疾患 | 変形性膝関節症、変形性股関節症 | 加齢・荷重関節、運動時痛・可動域制限 |
| 外傷 | 骨折、脱臼、靱帯損傷、半月板損傷 | 受傷機転が明確、腫脹・機能障害 |
| 血液疾患 | 血友病 | 関節内出血(関節血腫)を反復 |
| 薬剤性 | 薬物アレルギー | 薬剤投与歴の聴取が鍵 |
関節に急性炎症が起こると、以下の症状がみられます。
さらに、関節を動かすと痛む「運動痛」も出現します。運動痛は急性炎症だけでなく、慢性炎症・血行障害・変形でも起こることに注意してください。
逆に言えば、熱感・発赤・腫脹が強い=急性炎症性(感染性関節炎や痛風発作を疑う)という鑑別の手がかりになります。発熱を伴う単関節の激痛・熱感は化膿性関節炎の可能性があり、危険な兆候として扱われます。
関節痛は主訴であり疾患名ではないため、原因疾患を鑑別するための検査を組み合わせて行います。
まとめると、血液検査・画像検査・関節液検査で原因を鑑別するのが基本方針です。
| 検査 | わかること |
|---|---|
| 血液検査 | 炎症反応、自己免疫(自己抗体)、感染、尿酸値などを調べる |
| 関節X線検査 | 骨の変形や関節裂隙(すき間)の狭小化を確認する |
| 関節造影検査 | 造影剤を注入し、関節内部の状態を詳しく見る |
| エコー(超音波)検査 | 関節や周囲の炎症・腫れ・滑膜肥厚を確認する |
| CT検査 | 骨や関節の詳細な構造を立体的に評価する |
| シンチグラフィ | 全身の関節や骨の炎症・活動性を評価する |
| 関節液検査 | 関節液の炎症所見・感染・結晶(尿酸・ピロリン酸)・細胞数を評価する |
関節痛の治療は原因疾患が特定できれば、その原因に応じた治療を行うのが大原則です。関節リウマチなら抗リウマチ薬、痛風なら尿酸管理、化膿性関節炎なら抗菌薬というように、背景疾患へのアプローチが本体になります。
その上で、痛みが強い場合には次の対症的な処置を併用します。
国試では「まずは原因疾患の治療が基本」「疼痛時は安静・湿布薬・消炎鎮痛薬・対症療法」という2段構えで覚えておきましょう。