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重症筋無力症の病態・症状・診断・治療じゅうしょうきんむりょくしょう

重症筋無力症(MG)は、神経筋接合部のアセチルコリン受容体(AChR)に対する自己抗体によって神経から筋への伝達が障害される自己免疫疾患です。筋力低下と易疲労性が特徴で、眼瞼下垂・複視などの眼症状で始まることが多く、症状は使うと悪化し休むと回復する(日内変動)のが典型です。

重症筋無力症|重症筋無力症 1
読み方じゅうしょうきんむりょくしょう(MG:Myasthenia Gravis)
分類神経筋接合部の伝達障害による自己免疫疾患
原因抗アセチルコリン受容体(抗AChR)抗体による受容体の破壊・ブロック
好発女性にやや多い(男女比 約1:2.1)、有病率は10万人あたり4〜5人
主な症状眼瞼下垂・複視などの眼症状、筋力低下、易疲労性、症状の日内変動
合併胸腺異常(胸腺過形成・胸腺腫)が80〜90%に合併
検査・診断テンシロンテスト、抗AChR抗体、誘発筋電図(漸減現象)、胸部X線・CT
治療抗コリンエステラーゼ薬、ステロイド・免疫抑制薬、拡大胸腺摘出術、血液浄化療法

重症筋無力症とは?病態のしくみ

重症筋無力症(MG)は、神経と筋肉のつなぎ目である神経筋接合部で伝達がうまくいかず、筋力低下・易疲労性が起こる病気です。神経からの命令(信号)が筋肉に伝わりにくくなるため、「命令が筋肉に伝わりにくい病気」とイメージすると分かりやすいです。

正常な神経筋接合部では、運動神経の末端からアセチルコリンが放出され、筋肉側のアセチルコリン受容体(AChR)に結合することで筋収縮の指令が伝わります。MGではこの伝達がブロックされ、筋肉が力を出しにくくなります。

運動神経からアセチルコリンが放出→受容体に結合。MGでは自己抗体が受容体を減らし・ブロックして伝達障害が起こり、筋収縮が弱くなる
運動神経からアセチルコリンが放出→受容体に結合。MGでは自己抗体が受容体を減らし・ブロックして伝達障害が起こり、筋収縮が弱くなる

原因は自己抗体(抗AChR抗体)

MGは自己免疫疾患です。本来は体を守るはずの免疫が誤って自己抗体(抗AChR抗体)をつくり、自分の神経筋接合部を攻撃してしまいます。しくみは次の3ステップです。

つまり自己抗体が原因で受容体が減少し、筋収縮しにくくなるのがMGの本質です。

自己抗体がアセチルコリン受容体を攻撃する自己免疫疾患
自己抗体がアセチルコリン受容体を攻撃する自己免疫疾患

疫学(好発・男女比)

比較的まれな疾患ですが、国試では重要です。有病率・性差を押さえておきましょう。

項目内容
有病率10万人あたり4〜5人
性差女性にやや多い
男女比約1:2.1(女性が多い)
女性にやや多く、男女比は約1:2.1
女性にやや多く、男女比は約1:2.1

主な症状と病型(眼筋型・全身型)

症状は眼症状が多いのが特徴で、眼症状+筋力低下がポイントです。代表的な症状と病型を整理します。

主な症状

病型(タイプ)の分類

全身型では四肢・頸部の筋力低下に加え、嚥下障害・呼吸障害にも注意が必要です。呼吸筋が障害されると危険な状態(クリーゼ)になり得ます。

眼瞼下垂・複視などの眼症状と筋力低下が主症状。眼筋型と全身型に分類される
眼瞼下垂・複視などの眼症状と筋力低下が主症状。眼筋型と全身型に分類される

易疲労性と日内変動(クリーゼに注意)

MGの大きな特徴が易疲労性と日内変動です。

また、感染やストレスで急激に症状が悪化する「クリーゼ」に注意が必要です。特に全身型では嚥下・呼吸障害を伴う重篤な状態になり得ます。

休むと軽く・使うと悪化。朝は軽く夕方に悪化する日内変動が典型で、感染・ストレスでのクリーゼに注意
休むと軽く・使うと悪化。朝は軽く夕方に悪化する日内変動が典型で、感染・ストレスでのクリーゼに注意

胸腺異常との関連

MGは胸腺の異常と深く関連し、80〜90%に胸腺異常を合併します。

胸腺が発症に関与するため、治療として拡大胸腺摘出術が行われることがあります。

胸腺異常を80〜90%に合併(胸腺過形成 約70%・胸腺腫 約20%)。胸腺が発症に関与する
胸腺異常を80〜90%に合併(胸腺過形成 約70%・胸腺腫 約20%)。胸腺が発症に関与する

診断(検査を組み合わせて行う)

MGの診断は複数の検査を組み合わせて行います。

検査所見・意義
誘発筋電図反復刺激で筋電図の振幅が減少する(漸減現象/ウェニング現象)
テンシロンテスト抗コリンエステラーゼ薬で症状が一時的に改善する
抗ACh受容体抗体血液中の抗体を検出。陽性で診断を強く支持する
胸部X線・CT胸腺腫の合併を確認。治療方針の決定に重要
誘発筋電図・テンシロンテスト・抗AChR抗体・胸部X線/CTを組み合わせて診断する
誘発筋電図・テンシロンテスト・抗AChR抗体・胸部X線/CTを組み合わせて診断する

治療と予後

治療は薬物療法・手術・血液浄化などを組み合わせ、改善を目指します。

予後は治療により約70%が軽快し、寛解例もあります。治療で改善を目指せる疾患です。

治療は胸腺摘出術・抗コリンエステラーゼ薬・ステロイド/免疫抑制薬・血液浄化療法。約70%が軽快する
治療は胸腺摘出術・抗コリンエステラーゼ薬・ステロイド/免疫抑制薬・血液浄化療法。約70%が軽快する
国試ポイント
① 重症筋無力症は神経筋接合部の伝達障害による自己免疫疾患で、原因は抗アセチルコリン受容体(抗AChR)抗体
② 筋力低下と易疲労性が特徴で、眼瞼下垂・複視などの眼症状で始まることが多い
③ 症状には日内変動があり、朝は軽く夕方に悪化、使うと悪化し休むと回復する
④ 胸腺異常(胸腺過形成・胸腺腫)を80〜90%に合併する
⑤ 診断はテンシロンテスト(一時的改善)、抗AChR抗体、誘発筋電図の漸減現象
⑥ 治療は抗コリンエステラーゼ薬・ステロイド/免疫抑制薬・拡大胸腺摘出術・血液浄化療法。感染やストレスによるクリーゼに注意
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