発疹とは、皮膚にみられる肉眼的な変化の総称で、大きさ・硬さ・色調などによって分類されます。皮膚そのものの局所変化として出ることもあれば、感染症・自己免疫疾患・血液疾患など全身疾患の一症状として現れることもあります。
国試では「紅斑は充血・炎症で圧迫すると消える/紫斑は皮下出血で圧迫しても消えない」「丘疹1cm以下・結節1〜3cm・腫瘤3cm以上」「びらんは表皮レベル・潰瘍は真皮レベル以上」といった用語の区別が繰り返し問われます。
| 読み方 | ほっしん(発疹) |
|---|---|
| 定義 | 皮膚にみられる肉眼的な変化の総称 |
| 分類の視点 | 大きさ・硬さ・色調・盛り上がり・液体の有無・深さ |
| 主な種類 | 紅斑・紫斑・白斑・色素斑/丘疹・結節・腫瘤/水疱・膿疱/びらん・潰瘍・亀裂・瘻孔/鱗屑・落屑・痂皮・萎縮・硬化 |
| 主な原因 | 皮膚局所の変化(皮膚・粘膜)と、感染症・自己免疫疾患・血液疾患などの全身疾患 |
| 随伴症状 | 掻痒感(かゆみ)・痛み(チクチク、ヒリヒリ)・発熱・全身倦怠感 |
| 鑑別・注意 | 紅斑は圧迫で消えやすい/紫斑は圧迫しても消えない(圧迫試験)。全身状態も必ず確認 |
| 検査 | 視診が基本。血液検査・皮膚生検・アレルギー検査・感染症検査 |
| 治療 | 原因疾患の治療が基本+対症療法(外用薬・内服薬・抗アレルギー薬・抗菌薬/抗ウイルス薬・ステロイド薬) |
発疹とは、皮膚にみられる肉眼的な変化の総称です。特定のひとつの病変を指す言葉ではなく、赤み・ぶつぶつ・水ぶくれ・出血斑・傷など、目で見てわかる皮膚の変化をまとめて呼びます。
これらの視点で整理されるのが発疹の分類です。国試では、まず「発疹=皮膚に見える変化の総称」という定義そのものが問われます。
発疹は性状によって大きく5系統に分けて覚えると整理しやすくなります。色の変化・盛り上がる病変・液体を含む病変・皮膚の欠損/傷・皮膚表面の変化の5つです。
特に紅斑と紫斑の区別、丘疹・結節・腫瘤のサイズ、びらんと潰瘍の深さは頻出です。
| 系統 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| ① 色の変化 | 紅斑 | 充血や炎症による赤い斑。押すと色が消えやすい |
| ① 色の変化 | 紫斑 | 皮下出血による紫〜赤色の斑。押しても消えない |
| ① 色の変化 | 白斑 | メラニン色素の減少による白い斑 |
| ① 色の変化 | 色素斑 | メラニン増加や色素沈着による斑 |
| ② 盛り上がる病変 | 丘疹 | 直径1cm以下の小さな隆起 |
| ② 盛り上がる病変 | 結節 | 直径1〜3cm程度のしこり |
| ② 盛り上がる病変 | 腫瘤 | 直径3cm以上の大きなしこり |
| ③ 液体を含む病変 | 水疱 | 透明な水様内容物をもつ病変 |
| ③ 液体を含む病変 | 膿疱 | 内容物が膿性になったもの |
| ④ 皮膚の欠損・傷 | びらん | 表皮レベルの浅い組織欠損 |
| ④ 皮膚の欠損・傷 | 潰瘍 | 真皮レベル以上の深い組織欠損 |
| ④ 皮膚の欠損・傷 | 亀裂 | 皮膚にできる裂け目 |
| ④ 皮膚の欠損・傷 | 瘻孔 | 深部へ続く皮膚の孔 |
| ⑤ 皮膚表面の変化 | 鱗屑 | 角質がはがれ落ちる状態 |
| ⑤ 皮膚表面の変化 | 落屑 | 鱗屑が脱落する状態 |
| ⑤ 皮膚表面の変化 | 痂皮 | 分泌物が乾燥して固まったもの(かさぶた) |
| ⑤ 皮膚表面の変化 | 萎縮 | 皮膚が薄くなった状態 |
| ⑤ 皮膚表面の変化 | 硬化 | 皮膚が硬く触れる状態 |
発疹は、皮膚や粘膜の局所変化として出ることもあれば、全身疾患の一症状として出ることもあります。ここを分けて考えるのが臨床でも国試でも重要です。
したがって発疹をみたら、皮膚所見だけで判断せず、全身状態や発熱・痛み・かゆみの有無もあわせて評価します。とくに紫斑は皮下出血であり、血液疾患(血小板減少や凝固異常)が背景にあることがあるため注意が必要です。
| 原因の系統 | 考え方 | 代表的な発疹の出方 |
|---|---|---|
| 皮膚・粘膜の局所 | 皮膚そのものに起こる炎症や刺激 | 紅斑・丘疹・水疱・びらんなど |
| 感染症 | ウイルス・細菌などの感染に伴う | 発熱を伴う紅斑・水疱・膿疱 |
| 自己免疫疾患 | 免疫の異常で皮膚に炎症が及ぶ | 紅斑・硬化・全身症状を伴う |
| 血液疾患 | 出血傾向により皮下出血が生じる | 紫斑(圧迫しても消えない) |
| アレルギー | アレルゲンに対する反応 | かゆみの強い紅斑・膨疹 |
発疹では、皮膚所見のほかに次のような症状を伴うことがあります。皮膚所見だけでなく随伴症状を必ずセットで確認することが鑑別の助けになります。
とくに発熱+発疹の組み合わせは感染症を、発熱や倦怠感を伴う紫斑は血液疾患や全身性疾患を念頭に置く必要があり、医療機関への受診を促すべきサインになります。
発疹の診断は視診(皮膚所見をよく観察すること)が基本です。形・色・性状、深さや大きさを観察し、必要に応じて各種検査を追加します。
| 鑑別のポイント | 一方 | もう一方 |
|---|---|---|
| 圧迫で消えるか | 紅斑=消えやすい(充血・炎症) | 紫斑=消えない(皮下出血) |
| 大きさ(隆起) | 丘疹=1cm以下 | 結節=1〜3cm/腫瘤=3cm以上 |
| 内容物 | 水疱=透明な水様 | 膿疱=膿性 |
| 欠損の深さ | びらん=表皮レベル(浅い) | 潰瘍=真皮レベル以上(深い) |
| 範囲 | 局所の皮膚病変 | 全身疾患の一症状 |
治療は原因疾患が明らかな場合は原因疾患の治療を行うのが基本で、あわせて対症療法として各種薬剤を使用します。感染・アレルギー・炎症のどれが主体かを意識して薬剤を使い分けます。
鍼灸・あん摩マッサージ指圧の臨床では、原因不明の発疹、発熱を伴う発疹、圧迫しても消えない紫斑などをみた場合は施術より医療機関への受診勧奨を優先します。
国試では次の10項目が繰り返し問われます。紅斑=赤い/紫斑=出血/丘疹=小さい隆起/びらん=浅い/潰瘍=深いとキーワードで覚えると整理しやすくなります。