保健統計とは、保健・医療・福祉の現状を数値で把握するための統計で、地域や時代ごとの健康状態を比較し、保健政策や医療計画に活用されます。国試では指標の定義・計算式・分母の単位(1,000人対か10万人対か)が繰り返し問われます。粗死亡率は高齢化で上昇するのに年齢調整死亡率は低下する、という「見かけと実態のズレ」がとくに狙われる論点です。
| 読み方 | ほけんとうけい・じんこうとうけい |
|---|---|
| 定義 | 保健・医療・福祉の現状を数値で把握するための統計。地域や時代ごとの健康状態を比較する |
| 主な人口統計 | 国勢調査(5年ごと)/人口動態統計(出生・死亡・婚姻・離婚)/人口推計 |
| 主な疾病統計 | 患者調査/国民生活基礎調査/国民健康・栄養調査/学校保健統計 |
| 1,000人対の指標 | 粗出生率、粗死亡率、年齢別出生率、年齢別死亡率 |
| 10万人対の指標 | 死因別死亡率、年齢調整死亡率、受療率 |
| 代表的な数値 | 合計特殊出生率 2020年 約1.34(人口維持水準 約2.07)/粗死亡率 2020年 約11.2‰/PMI 2020年 87.1%/平均寿命 男性約81.6歳・女性約87.7歳(2024年) |
| 活用される場面 | 健康課題の発見→保健政策の立案→医療・福祉の計画→地域の健康づくり |
| 国試での狙われ方 | 計算式と分母(人口1,000人か10万人か)、国勢調査の周期、粗死亡率と年齢調整死亡率の増減方向、PMIの高低の意味 |
保健統計は、人口・疾病・医療・生活環境・福祉といったデータを数値化し、健康課題の発見→保健政策の立案→医療・福祉の計画→地域の健康づくりという流れで活用されます。国試では「どの調査が何を調べるか」の対応が定番です。国勢調査は5年ごと、人口動態統計は出生・死亡・婚姻・離婚という2点は必ず押さえてください。
| 区分 | 統計調査 | 調査内容 |
|---|---|---|
| 人口統計 | 国勢調査(5年ごと) | 人口や世帯の実態を調査する統計 |
| 人口統計 | 人口動態統計 | 出生、死亡、婚姻、離婚などの状況を調査する統計 |
| 人口統計 | 人口推計 | 日本の人口や世帯数を推計した統計 |
| 疾病統計 | 患者調査 | 医療機関を受診した患者の傷病や受療の状況を調査する統計 |
| 疾病統計 | 国民生活基礎調査 | 保健、医療、福祉、年金、所得など国民生活の基礎的事項を調査する統計 |
| 疾病統計 | 国民健康・栄養調査 | 国民の健康状態、栄養摂取状況、生活習慣などを調査する統計 |
| 疾病統計 | 学校保健統計 | 児童・生徒の発育、健康状態や疾病の状況などを調査する統計 |
日本は戦後に人口が増加しましたが2010年頃の約1億2,650万人をピークに現在は減少に転じ、人口増加率は近年マイナスが続いています。人口構成は人口ピラミッドで表し、昔の富士山型(若年人口が多い)から現在のつぼ型・つり鐘型(高齢者が多い)へ変化しました。
年齢3区分の境界の数字は選択肢の入れ替えで狙われます。14/15/64/65を正確に覚えましょう。
出生の指標は分母が「人口」なのか「ある年齢の女性」なのかで区別します。合計特殊出生率(TFR)は女性1人が一生(15〜49歳)に産む子どもの平均人数で、率ではなく「人数」である点が引っかけどころです。
| 国(2020年) | 合計特殊出生率 |
|---|---|
| 日本 | 約1.34 |
| アメリカ | 約1.64 |
| フランス | 約1.83 |
| ドイツ | 約1.58 |
| スウェーデン | 約1.67 |
死亡指標は国試最頻出です。粗死亡率は高齢化の影響を受けて上昇しますが、年齢調整死亡率は年齢構成の違いを補正するため、地域比較・国際比較・時代比較に使えます(まとめでは年齢調整死亡率は低下と整理)。
| 指標 | 計算式 | 単位・例 |
|---|---|---|
| 粗死亡率 | 年間死亡数 ÷ 人口 × 1000 | ‰。140万 ÷ 1億2,500万 × 1000 = 11.2‰。1950年 約5.7‰ → 2020年 約11.2‰(上昇傾向) |
| 年齢別死亡率 | ある年齢の死亡数 ÷ ある年齢の人口 × 1,000 | ‰。70歳:12,000 ÷ 800,000 × 1,000 = 15.0‰。0歳1.9/20歳0.1/50歳1.2/70歳15.0/90歳352.0 |
| 年齢調整死亡率 | (各年齢階級の死亡率×基準人口の人数の合計)÷ 基準人口の総数 × 100,000 | 人口10万人対。基準人口(標準人口)の年齢構成を用いる |
| 死因別死亡率 | 特定の死因による年間死亡数 ÷ 人口 × 100,000 | 人口10万人対 |
| PMI | 50歳以上死亡数 ÷ 総死亡数 × 100 | %。1,200,000 ÷ 1,500,000 × 100 = 80.0% |
日本の主な死因(2022年、人口10万人あたり)は、1位 悪性新生物(がん)327.7人、2位 心疾患196.9人、3位 老衰164.0人、4位 脳血管疾患86.9人、5位 肺炎72.7人。かつて主要死因だった結核は195.9人(1950年)→27.7人(1970年)→4.5人(1990年)→1.0人(2010年)→0.3人(2020年)と大幅に減少しました。
PMI(Proportional Mortality Indicator)は50歳以上の死亡数が総死亡数に占める割合で、高いほど長寿社会、低いほど若年死亡が多い社会(感染症・事故・栄養不良など)を示します。日本は44.6%(1950年)→58.1%(1970年)→70.3%(1990年)→82.1%(2010年)→87.1%(2020年)と上昇。国際比較(2020年頃)は日本87.1、フランス86.0、アメリカ73.0、インド47.0。
生命表は各年齢の死亡状況をもとに将来の生存・死亡の状況を表にしたもので、生存数(lx)・死亡数(dx)・定常人口(Lx)・平均余命(ex)・平均寿命(e0)が求められます。平均寿命は0歳の平均余命という定義が最重要。2024年の日本の平均寿命は男性 約81.6歳、女性 約87.7歳です。
健康状態と医療利用を表す2指標。どちらも高齢になるほど高くなるのが原則です。
性別・年齢別受療率(人口10万対・例)は、0〜14歳 男6,800/女6,200、15〜34歳 男9,200/女10,400、35〜64歳 男17,800/女19,400、65〜74歳 男30,100/女34,100、75歳以上 男55,300/女66,400。受療率が高いことは医療サービスの利用が多いことを示し、医療需要の把握・医療計画の立案・地域の医療体制の整備に活用されます。