環境と健康は、大気(空気)の成分・放射線・大気汚染物質・公害と地球環境問題を横断的に問う公衆衛生の頻出テーマです。
国試では数値(酸素21%・CO2 0.04%・酸欠は16%以下・室内CO2は0.1%=1,000ppm以下)と、四大公害病の原因物質と発生地域、放射線防護の三原則「時間・距離・遮へい」が繰り返し狙われます。
| 読み方 | かんきょうとけんこう |
|---|---|
| 定義 | 大気・水・土・食などの環境要因が人の健康に与える影響と、その予防・対策を扱う分野 |
| 主な環境要因 | 大気(空気汚染)、化学物質(有害物質)、放射線(電離・非電離)、生活環境(水・土・食) |
| 大気の正常組成 | 窒素 約78%、酸素 約21%、二酸化炭素 約0.04%、その他 約0.96%(アルゴン0.93%など) |
| 主な基準値 | 酸素16%以下で酸欠症状/室内CO2は0.1%(1,000ppm)以下が目安、0.2%(2,000ppm)以上で健康影響が強くなる |
| 健康への影響(例) | 呼吸器疾患・アレルギーの増加、がん・生活習慣病のリスク増加、感染症の拡大、メンタルヘルスへの影響 |
| 代表的な公害病 | 四日市喘息(SO2)、イタイイタイ病(カドミウム)、水俣病・新潟水俣病(メチル水銀) |
| 国試での狙われ方 | 空気組成の数値、電離/非電離の区別と透過力、SOx・NOxの発生源と影響、四大公害病の原因物質と地域、オゾン層破壊の条約名 |
大気の正常成分は体積%で覚えます。窒素 約78%・酸素 約21%・二酸化炭素 約0.04%・その他 約0.96%。二酸化炭素は少量でも増えすぎると頭痛・眠気・集中力低下の原因になります。
空気の主な役割は、①呼吸のために必要(酸素を取り込み生命活動を維持)、②燃焼を助ける、③気圧をつくる、④気候を調整する、⑤物質の運搬(水蒸気・におい・花粉・ウイルスなど)の5つです。
| 成分 | 割合(体積%) | 主な特徴・役割 |
|---|---|---|
| 窒素(N2) | 約78% | 不活性で安定している/体内では主にタンパク質の構成成分 |
| 酸素(O2) | 約21% | 呼吸により体内で利用される/16%以下で酸欠症状が出現 |
| 二酸化炭素(CO2) | 約0.04% | 呼吸で産生される老廃物/室内換気の指標として利用(0.1%以下が目安) |
| その他 | 約0.96% | アルゴン(0.93%)、ネオン、ヘリウムなど/アルゴンは不活性で無害 |
換気の良否は二酸化炭素濃度で評価します。ppm換算(1% = 10,000ppm)を必ずセットで覚えましょう。
| CO2濃度 | 人体への影響 |
|---|---|
| 〜0.1%(1,000ppm) | 正常範囲(快適) |
| 0.1〜0.2%(1,000〜2,000ppm) | 眠気・頭痛・集中力低下が起こりやすい |
| 0.2%以上(2,000ppm〜) | 不快感の増大、作業効率の低下、健康への影響が強くなる |
電離放射線は物質を構成する原子や分子をイオン化するエネルギーをもつ放射線で、生体への影響が大きいのが特徴です。人体への影響は細胞や遺伝子(DNA)を傷つけることで、がん・白血病・不妊・胎児への影響などにつながります。
線量が多いほど影響は大きくなるため、防護の原則「時間を短くする・距離をとる・遮へいを用いる」を守ることが重要です。
遮へいに用いる物質は、α線=紙・衣服、β線=アルミニウムなどの薄い金属板、γ線・X線=鉛、厚いコンクリートです。
| 種類 | 記号 | 特徴 | 透過力 | 主な発生源・用途 |
|---|---|---|---|---|
| アルファ線 | α線 | ヘリウム原子核(陽子2個+中性子2個)/電荷+2、質量が大きい | 弱い(紙で止まる) | ラジウム、ラドンなど(原子核の崩壊) |
| ベータ線 | β線 | 電子(−)または陽電子(+)/電荷−1(または+1)、質量は小さい | 中くらい(アルミ板で止まる) | 放射性同位元素の崩壊(ヨウ素、炭素など) |
| ガンマ線 | γ線 | 高エネルギーの電磁波(光子)/電荷0、質量0、波長が短い | 強い(鉛や厚いコンクリートで弱くなる) | 原子核の崩壊に伴って放出(医療・検査など) |
| エックス線 | X線 | 高エネルギーの電磁波(γ線と性質が似る)/人工的に発生も可能 | 強い(鉛や厚いコンクリートで弱くなる) | 医療用X線装置、原子核反応など |
非電離放射線は物質をイオン化しない放射線(エネルギーが比較的低い)で、目に見える光や熱も含まれます。イオン化しないため直接的にDNAを傷つけることは少ないものの、長時間・大量の曝露は注意が必要です。
| 種類(例) | 波長の範囲(目安) | 主な特徴 | 主な影響・作用 | 主な発生源・用途 |
|---|---|---|---|---|
| 紫外線(UV) | 約10〜400nm | 可視光より波長が短い/波長が短いほどエネルギーが高い | 日焼け・皮膚の炎症、しみ・しわ、皮膚がんのリスク増加、白内障・眼炎 | 太陽光、紫外線ランプ(殺菌灯など) |
| 可視光線(可視光) | 約400〜780nm | 人の目に見える光/色(赤〜紫)として認識される | 物を見るために必要/強い光は目の疲れやまぶしさの原因 | 照明・LED、ディスプレイ・画面 |
| 赤外線(IR) | 約780nm〜1mm | 可視光より波長が長い/主に「熱」として作用 | 温熱作用(体を温める)、低温やけどの原因(長時間の接触)、目(角膜)への影響 | 太陽光・暖房機器、リモコン・センサー |
| 電波(マイクロ波・極超短波など) | 約1mm〜 | 非常に波長が長い/通信や加熱に利用 | 強いエネルギーでは体を温める(加熱作用)/通常の強さでは明確な健康影響は少ない | 電子レンジ、テレビ・ラジオ・携帯電話・Wi-Fi |
大気汚染物質は、人間の活動によって大気中に排出され、健康や環境に悪影響を与える物質です。呼吸器や循環器に影響を与え、酸性雨や光化学スモッグの原因になります。
酸性雨とは、SOxやNOxが水蒸気と反応して硫酸や硝酸となり、雨や雪として降る現象。湖沼の酸性化、森林の枯死、建物・文化財の腐食などを引き起こします。
| 主な物質 | 発生源 | 主な特徴・影響 | 対策・防止 |
|---|---|---|---|
| 硫黄酸化物(SOx)/二酸化硫黄SO2など | 火力発電所、工場のボイラー、自動車の排気ガス(重油などの燃焼)=硫黄分を含む燃料の燃焼 | 刺激臭(特有のにおい)、気管支炎・喘息の悪化、酸性雨の原因(建物や金属の腐食、湖沼・土壌の酸性化) | 脱硫装置(排煙脱硫装置)の設置、硫黄分の少ない燃料の使用、排出規制・法規制の強化 |
| 窒素酸化物(NOx)/一酸化窒素NO・二酸化窒素NO2など | 自動車の排気ガス、火力発電所、工場の焼却炉、ボイラーなど=高温燃焼によって発生 | 刺激で目やのどを痛める、気管支炎・喘息の悪化、光化学オキシダントの原因、酸性雨の原因 | 排ガスの低減装置(三元触媒装置)の設置、燃焼温度の管理、自動車排出ガスの規制、公共交通機関の利用促進 |
| 光化学オキシダント(オゾンO3など) | NOxと炭化水素(HC)が太陽光(紫外線)を受けて光化学反応により生成/工場・自動車から排出される排気ガス | 目のチカチカ、のどの痛み、咳・頭痛・胸部圧迫感、呼吸機能の低下、植物の生育障害・ゴムの劣化 | NOx・HCの排出削減、自動車の使用抑制、光化学スモッグ注意報の発令・広報 |
高度経済成長期に発生した代表的な公害が日本の四大公害病です。公害病名・原因物質・発生地域・症状をセットで覚えるのが国試対策の鉄則です。
地球規模の環境問題としては次の3つが頻出です。
| 公害病名 | 原因物質 | 主な発生地域 | 主な症状・影響 |
|---|---|---|---|
| 四日市喘息(大気汚染) | 二酸化硫黄(SO2) | 三重県 四日市市 | 気管支炎、喘息発作、呼吸困難など |
| イタイイタイ病(水質汚濁) | カドミウム(Cd) | 富山県 神通川流域 | 骨の痛み、骨折、腎障害(骨軟化症)など |
| 水俣病(水質汚濁) | メチル水銀(有機水銀) | 熊本県 水俣湾 | しびれ、運動失調、視野狭窄、胎児への影響など |
| 新潟水俣病(第2水俣病) | メチル水銀(有機水銀) | 新潟県 阿賀野川流域 | 水俣病と同様の神経症状、胎児への影響など |