食べる・やめるという摂食行動は、視床下部にある摂食中枢(外側野)と満腹中枢(腹内側核)によって調節されています。血糖の低下や血中遊離脂肪酸の上昇、脂肪細胞から出るレプチン、胃から出るグレリンがその主役です。エネルギーバランスが崩れると肥満(標準体重より20%以上増加、BMI25以上)となり、内臓脂肪型肥満に高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上が加わるとメタボリックシンドロームになります。
| 読み方 | せっしょくのちょうせつ・ひまん・めたぼりっくしんどろーむ |
|---|---|
| 定義 | 空腹で食欲が生じて食べ、満腹で食欲が消えて食べるのをやめる。この摂食行動の調節と、その破綻としての肥満・やせ・メタボリックシンドローム |
| 担当する中枢 | 視床下部(摂食中枢=外側野/満腹中枢=腹内側核) |
| 調節のしくみ | 血中グルコース濃度の低下→食欲発生。さらに血糖が下がると血中遊離脂肪酸濃度が上昇し摂食中枢を刺激して食欲がさらに増す |
| 関与するホルモン・ペプチド | レプチン(脂肪細胞から分泌・満腹中枢を刺激し摂食抑制)、グレリン(胃から分泌・摂食中枢を刺激し摂食促進)、アディポネクチン、TNF-α、レジスチン |
| 基準値・数値 | 肥満=標準体重より20%以上増加/やせ=標準体重より20%以上減少/BMI=体重(kg)÷身長(m)²、標準22・25以上で肥満・18.5未満でやせ |
| メタボの診断基準 | 内臓脂肪型肥満(ウエスト 男性≧85cm・女性≧90cm)+ 空腹時血糖110mg/dL以上/収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上/中性脂肪150mg/dL以上またはHDLコレステロール40mg/dL未満 のうち2つ以上 |
| 国試での狙われ方 | 外側野と腹内側核の取り違え、レプチンとグレリンの作用の逆、BMIの数値、メタボの「2つ以上」、アディポカインの産生部位 |
空腹になると食欲が生じて食べる行動が起こり、反対に満腹になると食欲が消えて食べるのをやめます。この切り替えを担うのが視床下部にある2つの中枢です。
覚え方は「外側野で食べる!腹内側核で止まる!」。国試ではこの2つを入れ替えた選択肢が定番の引っかけです。
| 摂食中枢 | 満腹中枢 | |
|---|---|---|
| 場所 | 視床下部の外側野 | 視床下部の腹内側核 |
| 起こる感覚 | 空腹感 | 満腹感 |
| 摂食行動 | 促進 | 抑制 |
| キーワード | 食べたい! | もういらない! |
食欲発生の引き金は血中グルコース濃度(血糖)の低下です。スライドの流れは次の6段階です。
まとめると「血糖↓で食欲!遊離脂肪酸↑でさらに食欲UP!」となります。
食欲はホルモン(ペプチド)によってもコントロールされています。作用が正反対の2つをセットで覚えます。
| ペプチド | 分泌される場所 | 作用する中枢 | 食欲への作用 |
|---|---|---|---|
| レプチン | 脂肪細胞 | 満腹中枢を刺激 | 抑制(食欲が下がる) |
| グレリン | 胃 | 摂食中枢を刺激 | 促進(食欲が上がる) |
肥満は、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れ、エネルギーが余って過度に脂肪が蓄積した状態です。体重が標準体重より20%以上増加した状態を肥満といいます。肥満のほとんどは原因がはっきりしない単純性肥満で、高度肥満が長く続くと心疾患・生活習慣病・各種合併症を起こしやすくなります。
やせは体内脂肪の蓄積が異常に減少した状態で、標準体重より20%以上少ない状態をいいます。原因には①食物摂取の障害、②消化管での吸収障害、③ホルモン不足、④神経性食欲不振症などがあります。
判定にはBMI=体重(kg)÷身長(m)² を用い、標準はBMI 22です。BMIはあくまで目安のひとつで、筋肉量や体脂肪の分布、年齢、性別なども考慮して総合的に判断します。
| BMI | 判定 |
|---|---|
| 18.5未満 | やせ |
| 18.5以上25未満 | 標準(標準値は22) |
| 25以上 | 肥満 |
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上を合併した状態です。動脈硬化の危険率が高くなります。覚え方は「お腹まわり+3つのうち2つ=メタボ!」です。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 内臓脂肪型肥満(必須) | ウエストの増大:男性≧85cm/女性≧90cm |
| 高血糖 | 空腹時血糖値 110mg/dL以上 |
| 高血圧 | 収縮期血圧 130mmHg以上 または 拡張期血圧 85mmHg以上 |
| 脂質異常症 | 中性脂肪 150mg/dL以上 または HDLコレステロール 40mg/dL未満 |
アディポカインは脂肪細胞から分泌される生理活性物質の総称です。そのバランスが体の代謝や生活習慣病のリスクに大きく関わっています。
| アディポカイン | はたらき | 結果 |
|---|---|---|
| レプチン | 脳の満腹中枢を刺激する食欲調節ホルモン | 食欲が減少する |
| アディポネクチン | インスリン感受性を高める | 細胞がブドウ糖を取り込みやすくなり血糖値が下がりやすくなる |
| TNF-α | 炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を高める | 筋肉などでブドウ糖の取り込みが低下し血糖値が上がりやすくなる |
| レジスチン | インスリン抵抗性を高める | インスリンの効きが悪くなる |