このページは「肥大」そのもの、とりわけ増殖(過形成)との違いを軸に解説します。肥大とは細胞1つ1つの容積が大きくなることで、その結果として組織や臓器全体の大きさや重量が増加する状態です。国家試験では「肥大=大きさが増える/増殖=数が増える」の区別が最重要で、そこに仕事肥大・心筋肥大・代償肥大・偽肥大の具体例が絡めて出題されます。
| 読み方 | ひだい |
|---|---|
| 定義 | 細胞1つ1つの容積が大きくなること。その結果、組織や臓器全体の大きさや重量が増加する |
| ポイント | 細胞の数ではなく、細胞そのものが大きくなる状態 |
| 増殖との違い | 肥大=細胞の大きさが増える/増殖=細胞の数が増える |
| 種類 | 仕事肥大(骨格筋・心筋)、代償肥大(腎臓など)、偽肥大(見かけ上の肥大) |
| 代表例(好発臓器) | 骨格筋(筋トレ)、心筋(高血圧症・スポーツ・心臓への負担増加)、腎臓(片側障害時の代償肥大) |
| 重量の目安 | 心臓:通常より2〜3倍になることもある/腎臓:正常の1.5〜2倍になることがある |
| 進行した場合 | 心肥大は最初は代償反応だが、毛細血管が不足し小壊死・線維化・心不全へ進むことがある |
| 国試での狙われ方 | 肥大と増殖の区別、仕事肥大という用語、心臓2〜3倍・腎臓1.5〜2倍の数値、偽肥大では実質細胞が萎縮する点 |
肥大とは、細胞1つ1つの容積が大きくなることです。その結果、組織や臓器全体の大きさや重量が増加します。簡単にいうと、細胞の数ではなく、細胞そのものが大きくなる状態です。
肥大と似た言葉に増殖があります。国家試験ではこの違いが大事です。
| 変化するもの | イメージ | |
|---|---|---|
| 肥大 | 細胞の大きさが増える | 1つ1つの細胞が大きくなる |
| 増殖 | 細胞の数が増える | 細胞の数が増える |
筋肉トレーニングやスポーツで筋肉が大きくなるのは、主に骨格筋細胞の容積が大きくなるためです。骨格筋は成熟後、細胞分裂をほとんど行いません。そのため、筋肉が大きくなるときは細胞の数ではなく、1つ1つの筋細胞が大きくなることで対応します。これは「仕事肥大」と呼ばれます。
心筋も肥大します。たとえば高血圧症・スポーツ・心臓への負担増加などによって心筋が厚くなり、心臓の重量は通常より2〜3倍になることもあります。
心臓は、ある程度までは肥大して対応できます。しかし肥大が進みすぎると、肥大した心筋を養う毛細血管が不足します。その結果、小壊死・線維化・心不全へ進むことがあります。つまり心肥大は最初は代償反応ですが、限界を超えると心不全につながります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ①代償期(最初) | 肥大して対応する |
| ②進行 | 心筋が肥大し、毛細血管が不足する |
| ③悪化 | 小壊死・線維化 |
| ④結果 | 心不全 |
代償肥大とは、片方の臓器の働きが低下したときに、残った臓器が大きくなって機能を補うことです。代表例は腎臓で、片方の腎臓が障害されると残った腎臓が大きくなります。
腎臓では次の変化がみられ、重量は正常の1.5〜2倍になることがあります。
同じ腎臓の中で「肥大」と「増殖」が並んで起こる点が、両者の違いを問う出題と相性の良いところです。
偽肥大とは、見た目は大きくなっているけれど、実際には本来の細胞は増えていない状態です。実質細胞はむしろ萎縮します。その部分が結合組織や脂肪に置き換わります。つまり本当の肥大ではなく、見かけ上の肥大です。
| 実質細胞 | 全体の見た目 | |
|---|---|---|
| 本当の肥大 | 細胞が大きくなる | 大きくなる |
| 偽肥大 | 萎縮し、結合組織や脂肪に置き換わる | 大きく見えるが、本当の細胞は増えていない |
一発暗記:肥大は「細胞がデカくなる」、増殖は「細胞の数が増える」。本物の肥大は細胞が大きい。偽肥大は見かけだけ大きい。