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鍼の禁忌 ― 禁忌の部位・注意すべき患者・禁忌の施術はりのきんき

鍼の禁忌とは、鍼施術を行ってはいけない状態のことです。禁忌を守らないと、病状の悪化・医療処置の遅れ・出血や感染・神経や臓器の損傷という4つの危険が生じます。国試では「禁忌の部位8つ」「注意すべき患者7つ」「絶対に行ってはいけない埋没鍼」が繰り返し問われます。

鍼の禁忌|鍼の禁忌 1
読み方はりのきんき
定義鍼施術を行ってはいけない状態のこと
禁忌を守らない危険病状の悪化/医療処置の遅れ/出血・感染の危険/神経や臓器の損傷
禁忌の部位(8)新生児の大泉門・小泉門、眼球、大血管、体腔内臓器、中枢神経、外生殖器・乳頭・臍部、悪性腫瘍部、化膿部・急性炎症部
注意すべき患者(7)悪性腫瘍患者、妊婦、局所の熱感・腫脹が強い部位、易感染性患者、出血傾向のある患者、抗凝固薬・抗血栓薬使用中、発熱患者
人工物がある部位人工関節・人工血管・ペースメーカー(ICD含む)への直接刺鍼は避ける
禁忌の施術埋没鍼(刺入した鍼を意図的に切断し体内に残す施術)=絶対に行わない
共通の原則施術前に十分な説明を行い、インフォームド・コンセント(説明・理解・同意)を得る
国試での狙われ方禁忌部位の列挙、埋没鍼の定義とリスク、抗凝固薬名(ワルファリン・アスピリン・DOAC)、妊婦の注意部位

鍼の禁忌とは何か ― 4つの危険

禁忌とは鍼施術を行ってはいけない状態を指します。禁忌を無視して施術すると、次の4つの危険が生じます。

安全な施術のために、禁忌の判断は施術者の必須知識です。

禁忌とは=鍼施術を行ってはいけない状態。4つの危険
禁忌とは=鍼施術を行ってはいけない状態。4つの危険

禁忌の部位 ― 刺鍼してはいけない8か所

出血・臓器損傷・神経損傷・感染の危険がある部位には刺鍼しません。国試最頻出の暗記項目です。

部位理由・リスク
① 新生児の大泉門・小泉門頭蓋骨が閉じておらず脳を保護する骨がないため危険。脳損傷や出血のリスクがある
② 眼球誤って刺鍼すると眼球穿刺・失明などの重大な事故につながる
③ 大血管頸部・胸部・鼠径部などの大血管に刺鍼すると大出血の危険が高い
④ 体腔内臓器胸腔・腹腔内の臓器を損傷すると気胸・出血・臓器損傷などの重大な合併症を起こす
⑤ 中枢神経脳・脊髄などを損傷すると麻痺・感覚障害・意識障害などの重篤な後遺症を残す危険がある
⑥ 外生殖器・乳頭・臍部組織損傷や感染のリスクが高い。特に臍部は感染しやすく重篤な炎症の原因となる
⑦ 悪性腫瘍部腫瘍部への直接刺激は腫瘍の増大・転移を促す可能性があるため避ける
⑧ 化膿部・急性炎症部感染が拡大したり炎症が悪化する可能性があるため刺鍼は行わない
禁忌の部位8か所と、それぞれのリスク
禁忌の部位8か所と、それぞれのリスク

注意すべき患者 ― 慎重に施術する7つのケース

完全な禁忌ではないが慎重に判断する対象です。共通して、施術前に十分な説明を行いインフォームド・コンセント(説明・理解・同意)を得ることが大切です。

対象注意点・具体例
① 悪性腫瘍患者がんそのものを治す目的では行わない。腫瘍部への直接刺激は避ける。体力低下・出血・感染に注意。疼痛緩和やQOL向上を目的とし、主治医と連携する
② 妊婦特に腹部・腰仙部への強刺激は避ける。下腹部や刺激量の多い経穴は慎重に。弱刺激・短時間を基本とし、安定期であっても十分に説明し同意を得る
③ 局所の熱感・腫脹が強い部位炎症や感染の可能性。施術すると炎症悪化・痛みの増強・感染の拡大を招く。炎症が落ち着いてから検討する
④ 易感染性患者糖尿病、ステロイド長期使用、免疫力低下、高齢者、抗がん剤治療中など。消毒・衛生管理を徹底し、刺鍼本数や刺激量は最小限に
⑤ 出血傾向がある患者血友病、血小板減少、肝疾患、紫斑が出やすい人など。細い鍼を使い、深刺し・強刺激を避け、抜鍼後は圧迫止血を行う
⑥ 抗凝固薬・抗血栓薬使用中ワルファリン、アスピリン、DOAC系薬剤など。深く刺さない、強い刺激を避ける、抜鍼後の止血を十分に、内出血の可能性を説明しておく
⑦ 発熱患者感染症や炎症の可能性。原因不明の発熱では施術を避け医療機関の受診を優先。解熱後、体調が安定してから検討する
注意すべき患者7分類と、それぞれの注意点
注意すべき患者7分類と、それぞれの注意点

人工物がある部位への刺鍼

人工物がある部位への直接刺鍼は避けます

避ける理由は4つ ―感染の危険(細菌が侵入し感染を起こす)、破損の危険(人工物を傷つけたり壊す)、周囲組織の損傷(人工物周辺の組織・血管・神経を傷つける)、機器への影響(ペースメーカーなどの作動に影響を与える)。

施術のポイントは、人工物の種類・部位・手術時期を必ず確認し、必要に応じて医師と連携し、周囲の安全な(離れた)部位に施術し、患者に十分説明して同意を得ることです。

人工関節・人工血管・ペースメーカーと、避ける4つの理由
人工関節・人工血管・ペースメーカーと、避ける4つの理由

禁忌の施術 ― 埋没鍼は絶対に行わない

埋没鍼とは、刺入した鍼を意図的に切断し、体内に残す施術のことです。①鍼を刺入する→②鍼を体内で意図的に切断する→③鍼の一部を体内に残す、という手順で行われますが、これは絶対に行ってはいけません

リスク内容
神経損傷の危険神経を傷つけ、しびれや麻痺、痛みの原因になる
血管損傷の危険出血や血腫を起こし、重篤な合併症につながる
感染の危険体内に異物が残ることで、感染を引き起こす可能性がある
体内異物反応の危険異物として体が反応し、炎症や肉芽腫を形成することがある
移動して臓器を傷つける危険鍼が体内で移動し、臓器や血管を傷つける可能性がある
埋没鍼の手順と5つのリスク・合併症の例
埋没鍼の手順と5つのリスク・合併症の例
国試ポイント
① 禁忌=鍼施術を行ってはいけない状態。危険は①病状の悪化②医療処置の遅れ③出血・感染④神経や臓器の損傷の4つ
② 禁忌部位8つは丸暗記。新生児の大泉門・小泉門/眼球/大血管/体腔内臓器/中枢神経/外生殖器・乳頭・臍部/悪性腫瘍部/化膿部・急性炎症部
③ 埋没鍼=刺入した鍼を意図的に切断し体内に残す施術。絶対禁忌。リスクは神経損傷・血管損傷・感染・体内異物反応・移動による臓器損傷
④ 抗凝固薬・抗血栓薬の代表例はワルファリン・アスピリン・DOAC系薬剤。深刺し禁止、抜鍼後の止血を十分に
⑤ 妊婦で特に注意する部位は腹部・腰仙部・下腹部・刺激の強い経穴。弱刺激・短時間が基本
⑥ 引っかけ注意:注意すべき患者(悪性腫瘍・妊婦・発熱など)は「完全な禁忌」ではなく慎重に判断する対象。インフォームド・コンセントが前提
・ 人工物(人工関節・人工血管・ペースメーカー/ICD)は直接刺鍼を避け、離れた安全な部位に施術する
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