アフロの手アフロの手

鍼施術の有害事象の分類・重大事故・予防と対策しんしじゅつのゆうがいじしょう

鍼施術の有害事象は、副作用(有害反応)・過誤(ミス、不注意)・不可抗力による事故・同時偶発的な事象(施術中の自然発症)の4種類に分類されます。国試では「気胸=鍼灸施術で最も頻度の高い重大有害事象」と、その予防である局所解剖の理解・安全深度の遵守が繰り返し問われます。抜鍼困難(渋り鍼)・折鍼・鍼の抜き忘れといった施術時トラブルの対応も合わせて押さえましょう。

鍼施術の有害事象|鍼施術の有害事象 1
読み方しんしじゅつのゆうがいじしょう
定義・分類有害事象=①副作用(有害反応)②過誤(ミス・不注意)③不可抗力による事故④同時偶発的な事象(施術中の自然発症)の4種類
頻度の高い副作用出血・内出血(あざ)、気分不良(吐き気・めまい・冷や汗・動悸)、脳虚血(脳貧血・失神)、違感覚(しびれ・重だるさ・異常感覚)
重大な有害事象感染症(化膿性関節炎・硬膜外膿瘍・蜂窩織炎)、気胸(最重要)、臓器損傷(心臓・血管・肺・腸管)、神経損傷(末梢神経・中枢神経)
副作用への対応直ちに施術中止 → 安静(体位を調整)→ 圧迫止血。多くは適切な対応で改善する
予防の基本局所解剖の理解、安全深度の遵守、胸背部の深刺を避ける、粗雑な手技を行わない、後頭部への深刺を避ける
施術時トラブル抜鍼困難(渋り鍼)=リラックスさせゆっくり抜鍼/折鍼=無理に抜かず医療機関へ相談/抜き忘れ=使用本数の確認とダブルチェック
感染予防標準予防策(手指衛生・マスク着用・鍼は使い捨て・器具の消毒)
国試での狙われ方有害事象の4分類、気胸=最も頻度の高い重大有害事象、折鍼時の対応、抜鍼後の本数確認

鍼施術の有害事象は4種類に分類される

まず大枠として、鍼灸施術の有害事象は次の4種類に分類されます。「副作用」と「過誤」を混同させる出題が定番なので、それぞれの定義で区別しましょう。

分類内容
①副作用(有害反応)施術に伴って起こる有害な反応出血・内出血、気分不良、脳虚血、違感覚
②過誤ミス・不注意によるもの鍼の抜き忘れ、粗雑な手技による損傷
③不可抗力による事故不可抗力で生じた事故予期し得なかった事故
④同時偶発的な事象施術中の自然発症施術中に偶然発症した疾患
鍼灸施術の有害事象は4種類に分類される
鍼灸施術の有害事象は4種類に分類される

副作用で最も多いもの と 対応の基本

副作用として頻度が高いのは次の4つです。いずれも早期対応が大切で、多くの場合は適切な対応で改善します。

対応の基本は「施術中止 → 安静 → 圧迫止血」の順です。

対応の順序内容
1. 施術中止直ちに施術を中止する
2. 安静患者を安静にし、体位を調整する
3. 圧迫止血出血部位を圧迫し、止血を行う
副作用で最も多いもの(出血・気分不良・脳虚血・違感覚)と対応の基本
副作用で最も多いもの(出血・気分不良・脳虚血・違感覚)と対応の基本

重大な有害事象 ― 気胸が最重要

命に関わり得る重大な有害事象は4つ。中でも気胸は鍼灸施術で最も頻度の高い重大有害事象で、国試最頻出です。

予防の基本は局所解剖の理解・安全深度の遵守・丁寧な手技の3つ。

重大有害事象内容
①感染症化膿性関節炎、硬膜外膿瘍、蜂窩織炎などが発生する可能性がある
②気胸(最重要)胸膜を損傷し、空気が胸腔内に入り込む状態。鍼灸施術で最も頻度の高い重大有害事象
③臓器損傷心臓、血管、肺、腸管などの損傷を起こす可能性がある
④神経損傷末梢神経や中枢神経を損傷し、痛み・しびれ・運動障害が出ることがある
重大な有害事象4つ。気胸は最も頻度の高い重大有害事象
重大な有害事象4つ。気胸は最も頻度の高い重大有害事象

気胸・神経損傷 予防の基本5項目

予防が最大の安全です。とくに「局所解剖の理解」と「安全深度の遵守」が最重要ポイントとされます。

予防項目ポイント
①局所解剖を理解する筋肉・血管・神経・臓器の位置関係を正しく把握することが最も重要
②安全深度を守る部位ごとの安全深度を守り、過度な深刺を避ける
③胸背部の深刺を避ける特に肺に近い部位への深刺は気胸のリスクが高まる
④粗雑な手技を行わない丁寧で正確な操作を心がけ、無理な刺鍼・抜鍼をしない
⑤後頭部への深刺を避ける後頭部には重要な神経や血管があるため深刺は避ける
気胸・神経損傷 予防の基本5項目
気胸・神経損傷 予防の基本5項目

その他の事故(抜鍼困難・折鍼・抜き忘れ)と対策

施術時のトラブルは3つ。折鍼は「無理に抜かない」抜鍼後は「使用本数の確認」が必須が国試の狙い目です。

トラブルが起きたときの流れは「患者をリラックス → 状態を観察・評価 → 適切に対応 → 必要時 医療機関へ」

トラブル対応
抜鍼困難(渋り鍼)リラックスさせ、無理に引かずゆっくり抜鍼
折鍼無理に抜かず、抜けない場合は医療機関へ相談
鍼の抜き忘れ抜鍼後に使用本数を確認、ダブルチェックを徹底
その他の事故と対策(抜鍼困難・折鍼・抜き忘れ)
その他の事故と対策(抜鍼困難・折鍼・抜き忘れ)

一発暗記まとめ

覚え方のポイントは「副作用(よくある反応)→ 重大事故(命に関わるリスク)→ 抜鍼トラブル(施術時のトラブル)→ 予防・対策(安全な施術の基本)」という流れで覚えること。

一発暗記まとめ(8項目)
一発暗記まとめ(8項目)
国試ポイント
① 有害事象は①副作用(有害反応)②過誤(ミス・不注意)③不可抗力による事故④同時偶発的な事象(自然発症)の4分類。
② 気胸は鍼灸施術で最も頻度の高い重大有害事象。胸背部の深刺で胸膜を損傷し空気が胸腔内に入り込む状態。
③ 予防の最重要ポイントは「局所解剖の理解」と「安全深度の遵守」。後頭部・胸背部への深刺は避ける。
④ 副作用時の対応順序は 施術中止 → 安静(体位調整)→ 圧迫止血。
⑤ 折鍼は無理に抜かない。抜けない場合は医療機関へ相談する(引っかけで『速やかに抜去』は誤り)。
⑥ 抜鍼後は使用本数の確認が必須。ダブルチェックで抜き忘れ(過誤)を防ぐ。
・ 感染症予防は標準予防策=手指衛生・マスク着用・鍼は使い捨て・器具の消毒。
📖 鍼施術の有害事象をスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習