このページは顔面痛を東洋医学の弁証と鍼灸治療の側面から扱います(西洋医学的な原因・分類・鑑別は別ページ「顔面痛とは?原因・分類・鑑別」で解説)。東洋医学では顔面痛を、顔面部に流注する三陽経(手の陽明大腸経・足の陽明胃経・足の少陽胆経)の流れが阻害されて起こるととらえます。スライドでは風寒・風熱・肝火上炎・胃火上炎・気虚血瘀・腎陰虚の6証が挙げられ、治療は局所選穴×循経選穴を組み合わせて行います。
| 読み方 | がんめんつうのべんしょうとちりょう |
|---|---|
| 東洋医学的な定義 | 顔面部に流注する経絡(三陽経)の流れが阻害され、顔面部に気血が滞ることで生じる痛み |
| 顔面部に流注する三陽経 | 手の陽明大腸経・足の陽明胃経・足の少陽胆経 |
| 経絡阻滞の5つの原因 | ①外邪の侵入(風・寒・暑・湿・燥)②痰湿や瘀血の停滞 ③気機の失調 ④気血や精などの不足 ⑤内熱・内火の上昇 |
| 主な証(弁証) | 風寒・風熱・肝火上炎・胃火上炎・気虚血瘀・腎陰虚の6証 |
| 治療の基本方針 | 局所選穴×循経選穴。痛みの種類・部位に応じて最適な経穴を選択し、東洋医学の証に合わせて治療する |
| 神経走行を考慮した選穴 | 眼まわりの痛み=眼輪筋・滑車上神経/あご・下唇の痛み=オトガイ神経/中枢性の痛み=上位頸神経領域の経穴を活用/ドライアイ=顔面深層の神経を考慮し通電療法 |
| 禁忌・注意(危険な兆候) | まず脳の炎症(髄膜炎など)・脳腫瘍・脳血管障害(脳梗塞・くも膜下出血など)・感染症・帯状疱疹・眼疾患など重大疾患を除外する。機能性の痛みでも経過中に原因が見つかることがある |
| 生活指導 | 風を顔に直接当てない/会話・咀嚼の負担を減らす/冷えを防ぐ/ストレス発散/十分な休養と睡眠/暴飲暴食・辛い物・脂っこい物・過度の飲酒を控える |
| 国試での狙われ方 | 三陽経の名称、各証の舌脈(舌質紅・舌苔黄・脈浮数など)、寒熱の増悪因子(温めると軽快=風寒)、虚実の鑑別(気虚血瘀・腎陰虚=虚証) |
東洋医学では、顔面痛は経絡の流れが阻害されることで起こると考えます。顔面部には三陽経が流注しており、ここに気血が滞ると痛みが生じます。
スライドでは、外邪の侵入・痰湿や瘀血の停滞・気機の失調・気血や精などの不足によって経絡が阻滞すると顔面痛が起こり、また内熱や内火によって上昇する気機が過剰になることでも顔面部に気血が滞り痛みが生じる、と説明されています。
| 経絡阻滞の原因 | 内容 |
|---|---|
| 外邪の侵入 | 風・寒・暑・湿・燥などの邪気が体内に侵入 |
| 痰湿や瘀血の停滞 | 余分な水分や血の滞りが経絡の流れをふさぐ |
| 気機の失調 | ストレスや情緒の乱れで気の流れが滞る |
| 気血や精などの不足 | 体の栄養やエネルギーが不足し、経絡をうるおせない |
| 内熱や内火の上昇 | 体内の熱が上がり気機が過剰になり、気血が顔面部に滞る |
外邪が顔面部の経絡に侵入して起こるタイプです。寒熱どちらの邪かを、増悪因子と舌脈で見分けるのが国試のポイントです。
風寒が顔面部の経絡に侵入すると、寒邪の凝滞性によって気血が通じにくくなり顔面痛が生じます。寒さや冷たい風によって症状が悪化しやすく、頭部のこわばり・悪寒・無汗などを伴います。温めると症状が軽くなり、冷えると増悪しやすいことが特徴です。
発症の流れは「風寒の侵入 → 寒邪の凝滞 → 気血の阻滞 → 顔面痛の発生」と整理されています。
熱邪が顔面部に停滞して気血の流れを妨げることで起こります。
| 証 | 病機 | 随伴症状 | 舌・脈 | 増悪/軽快 |
|---|---|---|---|---|
| 風寒 | 風寒が顔面部の経絡に侵入し、寒邪の凝滞性で気血が通じにくくなる | 頭部のこわばり、悪寒、無汗 | (スライド記載なし) | 冷えると増悪/温めると軽快 |
| 風熱 | 熱邪が顔面部に停滞し気血の流れを妨げる | 発熱、口渇、咽頭痛、鼻汁、便秘、尿量減少 | 舌質は紅く、脈は浮数 | — |
体内で生じた火(内火)が上昇して顔面部を犯すタイプです。どの臓腑の火かを随伴症状で鑑別します。両者とも舌質は紅く、舌苔は黄色という共通点があるため、区別は付随症状で行います。
| 証 | 誘因 | 随伴症状 | 舌所見 |
|---|---|---|---|
| 肝火上炎 | 怒り・ストレスなど感情の乱れ | 顔面紅潮、目の充血、口苦、頭痛・めまい、胸脇部の張り、イライラ・不眠 | 舌質は紅く、舌苔は黄色 |
| 胃火上炎 | 食べすぎ・飲みすぎ(飲食不節) | 悪心・嘔吐、口渇、便秘、歯肉の腫れ・出血、口臭、消穀善飢 | 舌質は紅く、舌苔は黄色く |
不足を基礎とするタイプで、経過が長引きやすいのが特徴です。
気の不足で血流が滞り瘀血が生じて経絡を阻害することで起こります。誘因として過労・出血・病後・産後・飲食不節が挙げられています。痛みは鈍い痛みから刺すような痛みへと変化し、息切れ・倦怠感・自汗・顔色不良を伴います。
腎陰が不足して虚熱が上昇し、顔面の経絡を養えなくなることで起こります。激しい発作的な痛みが起こるとされ、耳鳴り・難聴、潮熱・盗汗、手足のほてり、不眠・めまい、顔面紅潮を伴います。
| 証 | 病機 | 誘因 | 随伴症状 | 痛みの性質 |
|---|---|---|---|---|
| 気虚血瘀 | 気の不足で血流が滞り、瘀血が生じて経絡を阻害 | 過労・出血・病後・産後・飲食不節 | 息切れ、倦怠感、自汗、顔色不良 | 鈍い痛みから刺すような痛みへ |
| 腎陰虚 | 腎陰が不足し虚熱が上昇、顔面の経絡を養えなくなる | (陰液不足) | 耳鳴り・難聴、潮熱・盗汗、手足のほてり、不眠・めまい、顔面紅潮 | 激しい発作的な痛み |
治療の基本は「局所選穴 × 循経選穴」で、痛みの種類・部位に応じて最適な経穴を選択します。同時に東洋医学の証(風寒・風熱・肝火・胃火・気虚血瘀・腎陰虚)に合わせた治療を行います。
スライドでは神経走行を考慮し、痛みの再現部位で選穴するという視点が強調されています。具体的な経穴名は挙げられておらず、以下の部位・神経を手がかりにするとされています。
顔面痛は脳神経内科・脳神経外科・眼科・耳鼻咽喉科・歯科口腔外科・整形外科・精神科など多くの専門分野が関わる症状であり、西洋医学と東洋医学の総合判断が重要です。治療のポイントは①生命に関わる疾患を除外 ②原因や状態をしっかり確認 ③西洋医学と東洋医学を併用 ④患者と相談して最善を選択、の4点です。
| 生活指導の項目 | 内容 |
|---|---|
| 風を直接当てない | エアコンや扇風機の風を顔に直接当てないようにする |
| 会話・咀嚼の負担を減らす | 痛みが出るときは無理せず、柔らかい食事を選ぶ |
| 冷えを防ぐ | 身体を冷やしすぎないように注意する |
| ストレスを発散する | 睡眠中の噛み締めを防ぐためにリラックス時間をつくる |
| 十分な休養と睡眠 | 疲れをためず、しっかり休んで体を回復させる |
| 食生活を整える | 暴飲暴食・偏食・辛い物・脂っこい物・過度の飲酒を控える |