不随意運動とは、本人の意思とは無関係に出現する運動のことで、その代表が振戦(リズミカルに起こる不随意運動)です。振戦は周期・振幅・リズムを観察し、さらに静止時に出るか/動かすと出るかで原因疾患を絞り込みます。国試では「止まって震える=パーキンソン病」「動かして震える=小脳」「羽ばたき=肝性脳症」の3対応が最頻出です。
| 読み方 | ふずいいうんどう |
|---|---|
| 分野 | 臨床医学総論(神経学的診察) |
| 定義 | 本人の意思と無関係に生じる運動。代表は振戦=リズミカルに起こる不随意運動 |
| 観察ポイント | 周期・振幅・リズムの3点をチェックする |
| 最重要の鑑別軸 | 静止時に出現するか、運動時(目的動作時)に出現するかで軽減・増強を見る |
| 主な種類 | 静止時(安静時)振戦・企図振戦・羽ばたき振戦・細かい手指振戦・舞踏運動・アテトーゼ |
| 代表疾患 | パーキンソン病/小脳疾患/重症肝疾患(肝性脳症)/甲状腺機能亢進症 |
| 国試の一発暗記 | 止まって震える=パーキンソン、動かして震える=小脳、羽ばたき=肝性脳症 |
振戦とは、リズミカルに起こる不随意運動のことです。単に「震えている」で終わらせず、次の3点を観察するのが診察の基本です。
そして最も重要なのが、静止時と運動時で軽減するか増強するかを見ることです。この一点で、パーキンソン病(静止時に出て動かすと消える)と小脳疾患(動かすと出る=企図振戦)が分けられます。
国試では「どの振戦がどの疾患か」を問う形式が定番です。下表の対応を丸ごと覚えてください。
特に静止時振戦(=安静時振戦)はパーキンソン病、企図振戦は小脳疾患、羽ばたき振戦は重症肝疾患(肝性脳症)の3つが最頻出です。
| 振戦の種類 | 特徴 | 代表疾患・原因 |
|---|---|---|
| 静止時振戦(安静時振戦) | 静止した状態で出現し、随意的に動かすと消失する | パーキンソン病 |
| 企図振戦 | 目的動作時(動かしたとき)に出現・増強する | 小脳疾患 |
| 羽ばたき振戦 | 手指・前腕・上腕が不規則に屈伸し、鳥が羽ばたくように見える。切迫昏睡時に出現 | 重症肝疾患(肝性脳症) |
| 細かい手指振戦 | 周期が短く(速い)、振幅が小さい細かい振戦 | 甲状腺機能亢進症 |
| 丸薬丸め運動 | 母指を示指・中指の掌側へ動かす、丸薬をこねるような粗大で遅い振戦 | パーキンソン病 |
甲状腺機能亢進症では、次の特徴をもつ振戦がみられます。
診察のコツは両手を前に出し、全指を伸ばして開かせること。この姿勢をとらせると細かい振戦が観察しやすくなります。
覚え方は「短い周期 × 小さい振幅 = 細かい手指振戦 = 甲状腺機能亢進症」です。パーキンソン病の「粗大で遅い」振戦とは真逆である点が引っかけポイントになります。
パーキンソン病では、粗大で遅い振戦がみられます。特徴的なのが丸薬丸め運動(pill-rolling)です。
さらに、この振戦は静止時に出現し、随意的に動かすと消失する=典型的な静止時振戦(安静時振戦)です。「止まっている時に震えて、動かすと消える」という表現を必ず押さえてください。
羽ばたき振戦は重症の肝疾患(肝性脳症)などでみられる振戦で、切迫昏睡時に出現する危険な徴候です。
診察では手を前方に伸ばし、手関節を強く背屈させると出現しやすくなります。「手を前に出して手首を反らす」姿勢が誘発肢位である点は国試頻出です。
他の振戦がリズミカルなのに対し、羽ばたき振戦は不規則な屈伸運動である点が鑑別のカギになります。
振戦以外の不随意運動として、舞踏運動とアテトーゼが問われます。両者は速さで区別すると覚えやすいです。
| 種類 | 速さ・規則性 | 見え方 |
|---|---|---|
| 舞踏運動 | 不規則で素早い | 手指が踊るように動く |
| アテトーゼ | ゆっくりした不随意運動 | 手指がくねるように動く |
不随意運動の問題は、最終的に次の3対応に集約されます。
これに細かい手指振戦=甲状腺機能亢進症を加えた4つを押さえれば、ほとんどの出題に対応できます。