腹壁の皮膚感覚は、胸髄神経前枝と腰神経前枝からなる4種類の神経によって上から順にリレー式に支配されています。上腹部は肋間神経前枝、臍のレベルは肋下神経、下腹部と鼠径部はL1由来の腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経が担当します。「T7〜T11→T12→L1→L1」という高位の順番と、乳頭・臍という国試で狙われるランドマークのデルマトームをセットで覚えるのが攻略のコツです。
| 読み方 | ふくへきのひしんけい |
|---|---|
| 支配神経の数 | 4本(肋間神経前枝・肋下神経・腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経) |
| 起始・起点 | 胸神経前枝(T7〜T12)・腰神経前枝(L1) |
| 支配高位(上から順) | T7〜T11 → T12 → L1 → L1 |
| 主な支配域 | 上腹部〜臍部〜下腹部〜鼠径部の皮膚 |
| 関連する構造 | 肋間神経本幹(肋骨溝内をVAN配列で走行)・横隔神経(C3〜5) |
| 国試での狙われ方 | 乳頭の高さ=第4肋間神経(T4)、臍の高さ=肋下神経(T12)域という位置関係の暗記が頻出 |
腹壁の皮膚感覚は、1本の神経だけでなく上から下へ4種類の神経がバトンタッチしながら支配している。国試では「どの高さをどの神経が支配するか」を問う問題が頻出のため、上から順に整理して覚える。
暗記のコツは「T7→T12→L1→L1」と高位が上から下へ一直線に並ぶことをイメージすること。腸骨下腹神経と腸骨鼠径神経はどちらも同じL1由来だが、支配域が下腹部と鼠径部で異なる点が引っかけになりやすい。
| 番号 | 神経名 | 高位 | 主な支配域 |
|---|---|---|---|
| ① | 肋間神経前枝 | T7〜T11 | 上腹部の皮膚 |
| ② | 肋下神経 | T12 | 臍の高さの皮膚 |
| ③ | 腸骨下腹神経 | L1 | 下腹部(下腹壁)の皮膚 |
| ④ | 腸骨鼠径神経 | L1 | 鼠径部(鼠径靱帯周囲)の皮膚 |
腹壁の皮神経(肋間神経前枝・肋下神経)はいずれも肋間神経の枝であり、その本幹は肋骨下縁の肋骨溝を走行する。肋骨溝の断面では、上からV(Vein=肋間静脈)→A(Artery=肋間動脈)→N(Nerve=肋間神経)の順に並んでおり、この並び順は「肋骨溝はVAN」という語呂で国試頻出。
この肋間神経が第7〜第11肋間神経では前枝として胸壁を越え、腹壁前面まで伸びて①の肋間神経前枝として上腹部の皮膚を支配する、という連続性を理解しておくと覚えやすい。
腹壁の皮神経のルーツをたどると、胸壁でも同じ肋間神経が前皮枝と外側皮枝に分かれて皮膚を支配している。
国試で特に狙われるのがデルマトームのランドマークで、乳頭の高さ=第4肋間神経(T4)と関連付けて覚える。また第2肋間神経の外側皮枝は特別に肋間上腕神経と呼ばれ、腋窩〜上腕内側の知覚を支配する例外的な枝として頻出。腹壁の皮神経(T7〜L1域)とは支配部位が異なる胸壁側の情報だが、同じ肋間神経系統の枝分かれとして関連付けて整理しておくと国試の位置関係の問題に強くなる。
腹壁の皮神経が支配する腹壁の直上には横隔膜があり、これを支配するのは肋間神経ではなく横隔神経(phrenic nerve)である点が国試の混同ポイント。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 起始 | C3・C4・C5(第3〜5頸神経前枝) |
| 運動支配 | 横隔膜を支配する唯一の運動神経 |
| 感覚支配 | 横隔膜の中央部、胸膜(縦隔・横隔部)、心膜(線維性心膜) |
語呂は「C3・4・5 keeps the diaphragm alive」。腹壁の皮神経(T7〜L1)とは支配高位も神経も全く異なるため、横隔膜=横隔神経(頸神経由来)、腹壁=肋間神経・腰神経由来、という区別を明確にしておくことが重要。
腹壁の皮神経を軸に、胸壁〜腹壁のランドマークとなる高位を一覧化する。位置関係を高位の数字で覚えておくと、皮膚分節(デルマトーム)を問う設問に対応しやすい。
| ランドマーク/神経 | 対応高位 | 備考 |
|---|---|---|
| 乳頭の高さ(第4肋間神経) | T4 | 胸壁のデルマトームの代表的な目安 |
| 肋間神経前枝の支配域 | T7〜T11 | 腹壁の皮神経①・上腹部 |
| 臍の高さ(肋下神経) | T12 | 腹壁の皮神経② |
| 腸骨下腹神経 | L1 | 腹壁の皮神経③・下腹部 |
| 腸骨鼠径神経 | L1 | 腹壁の皮神経④・鼠径部 |
| 横隔膜(横隔神経) | C3〜C5 | 腹壁の皮神経とは支配神経系統が異なる |