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炎症のしくみ・作用機序と国試ポイントえんしょう

炎症とは、組織や細胞が傷害を受けたときにその原因を除去し、損傷組織を修復するための生体防御反応です。原因は物理刺激(熱・圧迫・外傷)・化学刺激・感染・免疫異常で、鍼刺激は機械刺激、灸刺激は熱刺激として生体に加わります。国試では「炎症反応の進行順序」「4徴候+機能障害」「炎症メディエーター」「ブラジキニンとプロスタグランジンの違い」が繰り返し問われます。

炎症|炎症 1
読み方えんしょう
定義組織・細胞が傷害を受けたとき、その原因を除去し損傷組織を修復する生体防御反応
主な原因物理刺激(熱・圧迫・外傷)/化学刺激/感染/免疫異常。鍼刺激=機械刺激、灸刺激=熱刺激
進行の順序①血管拡張 → ②血流増加 → ③血管透過性亢進 → ④白血球遊走・浸潤 → ⑤組織修復
4徴候(+機能障害)発赤・熱感・腫脹・疼痛(+機能障害=5徴候)
主な炎症細胞好中球(急性炎症の主役)・リンパ球・マクロファージ・肥満細胞・NK細胞・形質細胞/修復=血管内皮細胞・線維芽細胞
炎症メディエーターヒスタミン・セロトニン・プロスタグランジン・ロイコトリエン・サイトカイン・ケモカイン・NO(一酸化窒素)
内因性発痛物質ブラジキニン(最強・最重要)・K⁺・H⁺・ATP・ヒスタミン・セロトニン
発痛増強物質プロスタグランジン(侵害受容器を感作し、ブラジキニンの作用を増強)
転帰①完全治癒(元通り・傷跡なし)②瘢痕治癒(線維芽細胞が膠原線維を産生し瘢痕形成)
国試での狙われ方進行順序の並べ替え/4徴候と血管反応の対応/急性=好中球・慢性=リンパ球とマクロファージ/ブラジキニン vs プロスタグランジンの役割の入れ替え

炎症とは何か(定義と原因)

炎症は「悪いもの」ではなく、体を守って元に戻すための大事なしくみです。組織や細胞が傷害を受けたとき、①その原因を除去し、②損傷組織を修復する一連の反応をまとめて炎症と呼びます。

鍼灸の臨床に引きつけると、鍼刺激は機械刺激、灸刺激は熱刺激として生体に加わり、いずれも局所に軽度の炎症性変化(生体反応)を引き起こします。

炎症=生体を守る防御反応。原因は物理・化学・感染・免疫異常
炎症=生体を守る防御反応。原因は物理・化学・感染・免疫異常

炎症反応の進行順序【国試頻出】

炎症は一定の順序で進行します。この並び順そのものが出題されるので、番号ごと丸暗記してください。

①血管拡張 → ②血流増加 → ③血管透過性亢進 → ④白血球遊走・浸潤 → ⑤組織修復

段階何が起こるか
血管拡張血管が広がり、血流が増えやすくなる
血流増加血流が増加し、酸素や栄養が集まる
血管透過性亢進血管のすき間が広がり、液体成分がしみ出す(腫れの原因)
白血球遊走・浸潤白血球が血管外へ移動し、炎症部位に集まる
組織修復原因を除去し、損傷した組織を修復する
炎症反応の流れ:血管拡張→血流増加→血管透過性亢進→白血球遊走・浸潤→組織修復
炎症反応の流れ:血管拡張→血流増加→血管透過性亢進→白血球遊走・浸潤→組織修復

炎症の4徴候(+機能障害=5徴候)

徴候は単なる暗記ではなく、どの血管反応から出てくるかとセットで覚えると引っかけに強くなります。

徴候内容成り立ち
①発赤赤くなる血管が広がり、その部分が赤く見える
②熱感熱くなる血流が増え、患部が熱をもつ
③腫脹腫れる血管の透過性が亢進し、液体がしみ出して腫れる
④疼痛痛む発痛物質が神経を刺激し、痛みを感じる
⑤機能障害動きにくくなる炎症により患部の正常な働きが妨げられる
炎症の4主徴(発赤・熱感・腫脹・疼痛)+機能障害=5主徴
炎症の4主徴(発赤・熱感・腫脹・疼痛)+機能障害=5主徴

炎症に集まる細胞と急性炎症の特徴

急性炎症では血管拡張・血流増加・血管透過性亢進・好中球浸潤の4つの変化が一気に起こり、その結果として4主徴が出現します。急性炎症の主役は好中球、慢性炎症の主役はリンパ球とマクロファージです。

細胞はたらき
①好中球細菌の貪食・殺菌を行う急性炎症の最前線・主役
②リンパ球免疫反応を調整し、ウイルス感染などに関与
③マクロファージ異物の貪食や抗原提示を行い、組織の片付け役
④肥満細胞ヒスタミンなどを放出し、アレルギーや炎症の初期に関与
⑤NK細胞ウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃するナチュラルキラー
⑥形質細胞抗体(免疫グロブリン)を産生する
⑦血管内皮細胞血管の内側を覆い、白血球の遊走や血管の修復に関与
⑧線維芽細胞コラーゲンなどの基質を産生し、組織修復・瘢痕形成の主役
主な炎症細胞と修復に関与する細胞(線維芽細胞は瘢痕形成の主役)
主な炎症細胞と修復に関与する細胞(線維芽細胞は瘢痕形成の主役)

炎症メディエーターと発痛物質【超頻出】

炎症メディエーターは炎症をコントロールする司令塔。炎症部位からメディエーターが放出され、血管反応(拡張・透過性亢進)→免疫反応(白血球遊走・活性化)へとつながります。

物質主な作用
ヒスタミン血管拡張・血管透過性を亢進させる
セロトニン炎症や痛みの調節に関与
プロスタグランジン発痛増強・発熱・炎症を促進
ロイコトリエン炎症を促進し、気管支を収縮させる
サイトカイン免疫細胞に指令を出し、炎症反応を調節
ケモカイン白血球を炎症部位へ呼び寄せる(白血球誘導)
NO(一酸化窒素)血管を拡張させ、血流を改善する
炎症メディエーター7種と国試超頻出の対応(ヒスタミン=透過性↑、NO=血管拡張)
炎症メディエーター7種と国試超頻出の対応(ヒスタミン=透過性↑、NO=血管拡張)

内因性発痛物質と発痛増強物質の違い

ここは入れ替え問題の定番です。ブラジキニン=最強の内因性発痛物質プロスタグランジン=発痛増強物質と区別してください。

プロスタグランジン(PG)の特徴は次の3点です。①直接痛みを起こすことは少ない ②侵害受容器を感作するブラジキニンの作用を増強する。痛みが強くなる流れは「組織が傷つく(炎症が起こる)→プロスタグランジンが作られる→侵害受容器が感作されて敏感になる→ブラジキニンなどの発痛物質が作用→痛みが強くなる」です。

内因性発痛物質。最強はブラジキニン
内因性発痛物質。最強はブラジキニン

好中球のはたらきと炎症の転帰

好中球は炎症部位に最初にかけつける最前線の細胞で、血管内を流れる→血管内皮に接着→血管外へ遊走→炎症部位に到着という順で移動します。到着後は①異物を貪食、②病原体を除去、③ライソソーム酵素放出、④炎症の収束をサポートします。

原因が除去された後、炎症の転帰は次の2パターンです。

転帰経過結果
①完全治癒原因(細菌など)が除去される組織が元通りに修復され、傷跡は残らない
②瘢痕治癒炎症が強い・長引くと組織が大きく破壊される線維組織が増えて瘢痕(きずあと)が残る
炎症の転帰。瘢痕形成は線維芽細胞→膠原線維産生→瘢痕形成の順
炎症の転帰。瘢痕形成は線維芽細胞→膠原線維産生→瘢痕形成の順
国試ポイント
① 炎症=生体防御反応。進行順序は①血管拡張→②血流増加→③血管透過性亢進→④白血球遊走・浸潤→⑤組織修復。並べ替え問題に頻出。
② 4徴候は発赤・熱感・腫脹・疼痛、これに機能障害を加えて5徴候。腫脹の原因は血管透過性亢進、発赤・熱感の原因は血流増加と対応づける。
③ 急性炎症の主役は好中球、慢性炎症の主役はリンパ球とマクロファージ。ここの入れ替えが定番の引っかけ。
④ 最強の内因性発痛物質はブラジキニン。ほかにK⁺・H⁺・ATP・ヒスタミン・セロトニン。
⑤ プロスタグランジンは発痛増強物質。直接痛みを起こすより侵害受容器を感作し、ブラジキニンの作用を増強する。
⑥ ヒスタミン→血管透過性↑、ケモカイン→白血球誘導、NO→血管拡張。メディエーターと作用の対応は必修。
・ 瘢痕形成の主役は線維芽細胞。線維芽細胞が膠原線維(コラーゲン)を産生して瘢痕をつくる。
・ 鍼刺激=機械刺激、灸刺激=熱刺激として炎症の原因(物理刺激)に分類される。
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