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栄養素の吸収のしくみ・輸送経路と国試ポイントえいようそのきゅうしゅう

栄養素の吸収とは、消化された糖質・タンパク質・脂質・水・電解質・ビタミンを小腸を中心に体内へ取り込む過程です。小腸は輪状ヒダ・絨毛・微絨毛によって表面積を単なる管の約600倍にまで広げ、効率よく吸収します。国試では「糖質・アミノ酸は毛細血管(門脈→肝臓)、脂質は乳び管(リンパ)」という行き先の違いが最頻出です。

栄養素の吸収|栄養素の吸収 1
読み方えいようそのきゅうしゅう
定義消化された栄養素を消化管上皮から体内(血液・リンパ)へ取り込む過程
主な吸収の場小腸(栄養素吸収の中心)。ビタミンB12は回腸、水分の残りは大腸
表面積を増やす構造輪状ヒダ・絨毛・微絨毛(単なる管の約600倍)
表面積の数値単なる管 約3,300cm²/輪状ヒダ 約10,000cm²/絨毛 約100,000cm²/微絨毛 約2,000,000cm²
吸収後の行き先糖質・アミノ酸→毛細血管→門脈→肝臓/脂質→乳び管→リンパ管→全身
水分の吸収量消化管に入る水分 約9L、小腸で約7,500mL、大腸で約1,400mL、糞便中 約100mL
国試での狙われ方能動輸送か促通拡散か、血管かリンパか、内因子とB12、Fe³⁺→Fe²⁺

小腸吸収の機序 — 表面積を約600倍にする三段構造

小腸は消化された栄養素の大部分を吸収する場所で、吸収しやすいように表面積を大きくする構造をもっています。表面には輪状ヒダ・絨毛・微絨毛があり、段階的に吸収面積が拡大します。

段階構造表面積
単なる管約3,300cm²
輪状ヒダ約10,000cm²
絨毛約100,000cm²
微絨毛約2,000,000cm²
小腸吸収の機序:輪状ヒダ・絨毛・微絨毛で吸収面積は約600倍
小腸吸収の機序:輪状ヒダ・絨毛・微絨毛で吸収面積は約600倍

小腸絨毛の構造と吸収された栄養素の行き先

小腸絨毛の内部には毛細血管・乳び管・神経線維・平滑筋・リンパ管などがあり、表面の上皮細胞が吸収の場となります。吸収された栄養素は種類によって入る管が異なります。

覚え方は「糖質・アミノ酸は毛細血管、脂質は乳び管」です。

絨毛内の構造はたらき
毛細血管酸素や栄養を運ぶ血管
乳び管脂質を運ぶリンパ管
神経線維感覚や運動を伝える神経
平滑筋絨毛を支え、動きを調節する
リンパ管免疫やリンパを運ぶ
上皮細胞吸収の場
小腸絨毛の断面:糖質・アミノ酸は毛細血管、脂質は乳び管へ
小腸絨毛の断面:糖質・アミノ酸は毛細血管、脂質は乳び管へ

糖質・タンパク質の吸収

糖質は分解されてグルコース・ガラクトース・フルクトースなどの単糖類になり、小腸上皮から吸収されます。グルコース・ガラクトースは主に能動輸送(ATPを使う)、フルクトースは主に促通拡散です。吸収された単糖類は門脈血に入り肝臓へ運ばれます。

タンパク質アミノ酸・一部のジペプチド・トリペプチドまで分解されて吸収されます。主に小腸上皮細胞の微絨毛から吸収され、血液→門脈→肝臓へ運ばれます。

栄養素吸収される形吸収のしかた吸収後の経路
糖質(グルコース・ガラクトース)単糖類主に能動輸送(ATP)門脈血→肝臓
糖質(フルクトース)単糖類主に促通拡散門脈血→肝臓
タンパク質アミノ酸・ジペプチド・トリペプチド微絨毛から吸収血液→門脈→肝臓
糖質の吸収:グルコース・ガラクトースは能動輸送、フルクトースは促通拡散
糖質の吸収:グルコース・ガラクトースは能動輸送、フルクトースは促通拡散

脂肪の吸収 — ミセル形成からキロミクロンへ

脂肪(トリグリセリド)は脂肪酸とモノグリセリドに分解されます。水に溶けにくいため胆汁酸の働きでミセルを作り、小腸上皮細胞に吸収されます。脂肪はそのままでは吸収できない点が要点です。

  1. 脂肪の分解 — 脂肪酸+モノグリセリドに分解
  2. ミセルの形成 — 胆汁酸の働きでミセルを形成
  3. 小腸上皮細胞へ吸収 — ミセルから脂肪酸とモノグリセリドが取り込まれる
  4. 細胞内で再合成 — 再び中性脂肪(トリグリセリド)に合成
  5. キロミクロン形成 — 中性脂肪がタンパク質やリン脂質と結合
  6. 乳び管へ→リンパ管を通って全身へ
脂肪の吸収:ミセル形成→再合成→キロミクロン→乳び管・リンパ管へ
脂肪の吸収:ミセル形成→再合成→キロミクロン→乳び管・リンパ管へ

水と電解質の吸収

成人では1日に約2Lの水分を摂取し、さらに消化液が分泌されて消化管に入る水分は合計で約9L近くになります。そのうち大部分は小腸で吸収されます。

電解質にはNa⁺・K⁺・Cl⁻・HCO₃⁻などがあります。Na⁺は吸収されやすく、Cl⁻や水はNa⁺の吸収に伴って吸収されます。Ca²⁺・Fe²⁺なども小腸で吸収されます。食物中の鉄の多くはFe³⁺ですが、胃酸(HCl)の作用でFe²⁺になると吸収されやすくなります。

区分水分量
摂取水分約2,000mL
唾液約1,500mL
胃液約2,000mL
胆汁約500mL
膵液約1,500mL
腸液約1,500mL
合計約9L
小腸で吸収約7,500mL
大腸で吸収約1,400mL
糞便中の水分約100mL
水と電解質の吸収:消化管に入る水分は約9L、小腸で約7,500mL吸収
水と電解質の吸収:消化管に入る水分は約9L、小腸で約7,500mL吸収

ビタミンの吸収

ビタミンは種類によって吸収のしかたが異なります。

ビタミンの種類代表例吸収のしかた
脂溶性ビタミンA・D・E・K胆汁酸でミセルを作って吸収
水溶性ビタミンB₁・B₂・B₆・C・ナイアシン小腸上皮細胞からすばやく吸収
ビタミンB₁₂B₁₂胃粘膜由来の内因子と結合し回腸で吸収
ビタミンの吸収:脂溶性はミセル、B₁₂は内因子と結合して回腸で吸収
ビタミンの吸収:脂溶性はミセル、B₁₂は内因子と結合して回腸で吸収
国試ポイント
① 小腸は栄養素吸収の中心。輪状ヒダ・絨毛・微絨毛で表面積を約600倍(約3,300cm²→約2,000,000cm²)にする
② グルコース・ガラクトースは主に能動輸送(ATP)、フルクトースは主に促通拡散
③ 糖質・アミノ酸は毛細血管→門脈→肝臓、脂質はキロミクロンとなり乳び管→リンパ管へ
④ 脂肪は胆汁酸でミセルを形成し吸収→細胞内で中性脂肪に再合成→キロミクロン形成
⑤ 消化管に入る水分は約9L。小腸で約7,500mL、大腸で約1,400mL吸収、糞便中は約100mL
⑥ Na⁺の吸収に伴ってCl⁻や水も吸収される。Fe³⁺は胃酸でFe²⁺になると吸収されやすい
・ ビタミンB₁₂は胃粘膜から分泌される内因子と結合して回腸で吸収される
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