衛生学・公衆衛生学は、健康を守り、すべての人がよりよく生きる社会をつくる学問です。ざっくり言えば衛生学=個人の健康を守る学問、公衆衛生学=集団(地域・国民全体)の健康を守る学問。国家試験ではウィンスローの定義、歴史上の人物と業績、そして1948年WHO発足・1978年アルマ・アタ宣言・1986年オタワ憲章といった年号の組合せが繰り返し問われます。ここを取りこぼさないよう、定義・人物・年号をセットで押さえましょう。
| 読み方 | えいせいがく・こうしゅうえいせいがくのいぎ |
|---|---|
| 衛生学の定義 | 健康の保持・増進を目的とする学問。病気を予防し健康を守ることを重視し、個人や環境との関係を研究する(=個人の健康を守る学問) |
| 公衆衛生学の定義 | 集団(地域・国民全体)の健康を守る学問。予防・健康づくり・生活環境の改善を行い、実践・応用を重視する(=集団の健康を守る学問) |
| ウィンスローの定義 | 「組織された共同体の努力によって疾病を予防し、生命を延長し、健康を増進する科学・技術」 |
| 健康に影響する環境要因 | 物理的環境(光・温度・騒音・住環境など)/化学的環境(大気汚染・化学物質・薬品など)/生物学的環境(細菌・ウイルス・動植物など)/社会的環境(経済・教育・文化・生活習慣など)の4つ |
| 重要人物 | ヒポクラテス=医学の父/スノウ=疫学の父・コレラ/ジェンナー=種痘法/コッホ=結核菌発見/パスツール=細菌学/フレミング=ペニシリン |
| 国際的な出来事 | 1948年 WHO発足/1978年 アルマ・アタ宣言(PHC)/1986年 オタワ憲章(ヘルスプロモーション)/2015年 SDGs採択/2020年 COVID-19パンデミック |
| 国試での狙われ方 | ウィンスローの定義の3要素(予防・延長・増進)、人物と業績の組合せ、年号と国際的出来事の対応、PHCの6目的が頻出 |
まず最初に押さえるのが、この2つの学問の守備範囲の違いです。衛生学は個人、公衆衛生学は集団と覚えると、選択肢の入れ替え問題に強くなります。
そして両者に共通するゴールは「個人の健康を守る(衛生学)→ 集団・社会全体の健康を守る(公衆衛生学)→ 環境を整えることで健康な社会をつくる」という流れです。
| 衛生学 | 公衆衛生学 | |
|---|---|---|
| ひとことで | 個人の健康を守る学問 | 集団(地域・国民全体)の健康を守る学問 |
| 目的 | 健康の保持・増進 | 予防・健康づくり |
| 重視すること | 病気を予防し、健康を守ること | 生活環境の改善 |
| 研究の視点 | 個人や環境との関係を研究する | 実践・応用を重視する |
衛生学・公衆衛生学が扱う「環境」は、次の4つに分類されます。どの要因にどの具体例が入るかが問われます。
| 環境要因 | 具体例 |
|---|---|
| 物理的環境 | 光・温度・騒音・住環境 など |
| 化学的環境 | 大気汚染・化学物質・薬品 など |
| 生物学的環境 | 細菌・ウイルス・動植物 など |
| 社会的環境 | 経済・教育・文化・生活習慣 など |
国試で最も狙われるのがウィンスローによる公衆衛生の定義です。丸暗記推奨。
「組織された共同体の努力によって疾病を予防し、生命を延長し、健康を増進する科学・技術」
キーワードは組織された共同体の努力と、予防 → 延長 → 増進の3要素。「治療する」は入りません。
WHO(世界保健機関)の主な活動は次のとおりです。
人物と業績、そして年号の組合せは頻出です。表で一気に押さえましょう。
| 人物・時期 | 年代 | 業績・キーワード |
|---|---|---|
| ヒポクラテス | 紀元前460〜370 | 「医学の父」。環境や生活習慣が健康に重要と考えた |
| ガレノス | 130〜200 | 解剖学・生理学を発展。「ハイジーン(衛生)」という考え方 |
| 14世紀 | ― | ペスト大流行。検疫(1383年)が始まる |
| ジェンナー | 1796年 | 種痘法(天然痘ワクチン) |
| チャドウィック | 1842年 | 労働者の衛生改善を提唱 |
| イギリス公衆衛生法 | 1848年 | 法律による公衆衛生の制度化 |
| スノウ | ― | 疫学の父・コレラ |
| コッホ | ― | 結核菌発見 |
| パスツール | ― | 細菌学 |
| フレミング | ― | ペニシリン |
日本の歩みは、江戸時代の養生の知恵 → 明治のドイツ医学導入と制度整備 → 法律の制定と社会の衛生向上、という順序で理解します。
主な法律:伝染病予防法/結核予防法/保健所法/食品衛生法/労働基準法/地域保健法/健康増進法/介護保険法
国際的な出来事は年号とセットで覚えます。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1948年 | WHO発足 |
| 1978年 | アルマ・アタ宣言/プライマリヘルスケア(PHC) |
| 1986年 | オタワ憲章/ヘルスプロモーション |
| 2015年 | SDGs採択 |
| 2020年 | COVID-19パンデミック |
PHCは、地域住民が必要な保健医療を受けられるようにする考え方です(1978年 アルマ・アタ宣言)。
「地域のすべての人が、生涯を通じて必要な保健医療サービスを、身近なところで、適切に受けられるようにする考え方」と定義されます。
PHCの目的は次の6つ。順番と内容をセットで覚えましょう。
| # | 目的 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 健康増進 | 健康的な生活を支援します |
| 2 | 疾病予防 | 病気を未然に防ぎます |
| 3 | 早期発見 | 病気を早く見つけ、重症化を防ぎます |
| 4 | 治療 | 病気やけがを適切に治療します |
| 5 | リハビリ | 回復を支援し、自立した生活を目指します |
| 6 | ターミナルケア | 人生の最終段階をその人らしく支えます |
最後に、試験直前に見返すチェックリストです。