このページは脱毛症を東洋医学の視点でとらえる切り口を担当します(西洋医学的な疾患分類の詳細は臨床医学系ページを参照)。東洋医学では髪は「血」や「腎精」によって養われると考え、その不足や巡りの停滞が脱毛につながるととらえます。スライドでは血虚・血瘀・肝腎陰虚・風邪(外風)・熱邪の5つの病態が示され、それぞれ随伴症状が異なる点が学習の核心です。
| 読み方 | だつもうしょう |
|---|---|
| 定義 | 毛周期の異常により髪や体毛が減少する状態。休止期の毛が増えたり、成長期の毛が十分に育たなくなると脱毛が目立つ |
| 東洋医学の基本観 | 髪は「血」や「腎精」によって養われると考える。体のバランスの乱れが脱毛につながる |
| 主な病態(弁証) | 血虚/血瘀/肝腎陰虚/風邪(外風)/熱邪 の5つ |
| 随伴症状の例 | 血虚=顔色が悪い・めまい・立ちくらみ・爪が割れやすい/肝腎陰虚=腰や膝がだるい・目の疲れ・ほてり・寝汗 |
| 毛周期の正常値 | 成長期2〜6年 → 退行期2〜3週間 → 休止期3〜4か月。通常でも1日50〜100本程度は自然に抜ける |
| 東洋医学のアプローチ | 体質や病態に合わせた漢方薬で内側から改善/鍼灸治療で血流を促進し髪の成長をサポート/生活習慣の見直しで再発しにくい体づくり |
| 東洋医学の診断ポイント | 全身症状の確認・舌の状態をチェック・脈の状態を確認・生活習慣や体質の把握・原因となる病態を判断 |
| 注意(見逃してはいけない) | 倦怠感・発熱・体重変化・皮膚症状があれば全身疾患の可能性を考えて評価。原因疾患の治療が最優先 |
| 国試での狙われ方 | 5病態と随伴症状の対応、毛周期の数値、休止期性と成長期性の鑑別、トリコチロマニアとの鑑別 |
スライドでは「体のバランスの乱れが、脱毛につながる」として5つの病態が並べられています。随伴症状のセットで覚えるのが国試対策の要です。なお、このスライドには具体的な配穴(経穴名)の記載はありません。
| 病態(弁証) | メカニズム | 随伴症状 |
|---|---|---|
| 血虚 | 血の不足により髪に栄養が届かない | 顔色が悪い/めまい・立ちくらみ/爪が割れやすい |
| 血瘀 | 血の巡りが悪く頭皮に栄養が届かない | 頭皮の色が暗い/刺すような痛み/肩こり・生理痛 |
| 肝腎陰虚 | 肝や腎の働きが低下し髪が十分に育たない | 腰や膝がだるい/目の疲れ・かすみ/ほてり・寝汗 |
| 風邪(外風) | 外からの風邪の侵入で頭皮や毛根がダメージ | 頭皮のかゆみ/フケ・赤み/悪化・変動しやすい |
| 熱邪 | 体内の熱が上昇し血を傷つけてしまう | のぼせ・ニキビ/イライラ・便秘/赤み・炎症 |
脱毛症は毛周期の異常で髪や体毛が減少する状態です。毛髪は「成長期・退行期・休止期」のサイクルを繰り返しており、通常でも1日に50〜100本程度は自然に抜けます。この数値は国試で問われやすい基本データです。
この周期に乱れが生じ、休止期の毛が増えたり、成長期の毛が十分に育たなくなると脱毛が目立ちます。東洋医学の「血」「腎精」が髪を養うという考え方は、この成長期の毛を育てる力に対応させて理解すると整理しやすくなります。
| 毛周期 | 期間 | 内容 |
|---|---|---|
| 成長期 | 2〜6年 | 毛が伸び続ける時期 |
| 退行期 | 2〜3週間 | 毛の成長が止まっていく時期 |
| 休止期 | 3〜4か月 | 毛が抜け落ちるのを待つ時期 |
脱毛症は原因によって抜け方が異なるため、大きく2種類に分けられます。発症までの時間差が鑑別のカギです。
| 分類 | 機序 | 発症までの時間 | 主な原因 |
|---|---|---|---|
| 休止期性脱毛症 | 休止期の毛が増えることで脱毛が現れる | 数か月後 | 病気・発熱・手術/出産・ホルモンの変化/栄養障害・ダイエット/強いストレス・精神的負担 |
| 成長期性脱毛症 | 成長中の毛が障害される | 比較的短期間 | 抗がん剤の治療/放射線治療/一部の薬剤・中毒 など |
東洋医学の弁証も、まず丁寧な診察による情報収集から始まります。スライドは「多角的にチェックして、正確な診断と治療方針につなげよう」とまとめています。
東洋医学の診断ポイントとしては、全身症状の確認・舌の状態をチェック・脈の状態を確認・生活習慣や体質の把握・原因となる病態を判断が挙げられています(望診・舌診・脈診に対応)。
脱毛の背景に全身の病気が隠れていることがあります。倦怠感・発熱・体重変化・皮膚症状などがある場合は、脱毛だけでなく全身疾患の可能性も考えて評価する、という記載はリスク管理として重要です。
また、鍼灸臨床では以下のタイプの見分けが必要です。とくにトリコチロマニア(抜毛症)は「長さの異なる切れ毛・折れ毛が見られやすい」点が特徴で、他の脱毛症との鑑別が重要とされています。
| タイプ | 特徴 | 経過・要因 |
|---|---|---|
| 円形脱毛症 | 自分の免疫が毛根を攻撃し、突然、境界のはっきりした円形や楕円形に抜ける。単発型・多発型・全頭型・汎発型 | 自覚症状はほとんどない/自然に改善することもある/再発を繰り返すことが多い/ストレスや体調の変化がきっかけにも |
| 男性型脱毛症 | 思春期以降に発症。前頭部の生え際や頭頂部から薄毛が進行。進行性のため早期の評価が重要 | 男性ホルモン(DHT)が毛根に作用し、毛の成長期が短くなる |
| 女性型脱毛症 | 前頭部の生え際は比較的保たれ、頭頂部を中心に毛量が減少するびまん性の脱毛 | 貧血・甲状腺疾患・膠原病・出産後の変化・加齢・栄養状態の偏り/不足 |
| トリコチロマニア | 毛を抜きたい衝動で自分の髪を抜いてしまう状態。長さの異なる切れ毛・折れ毛、頭皮の炎症や傷 | 緊張・不安→毛を抜く→一時的な安心感のサイクル。ストレス・完璧主義・退屈感など。本人が自覚していないこともある |
スライドは「原因疾患への対応が最優先」と明示しています。自己免疫疾患(円形脱毛症など)・甲状腺疾患・貧血・感染症・薬剤その他の疾患について、原因疾患の治療を行うことが脱毛の改善につながります。鍼灸は西洋医学と連携しながら支える立場です。
治療のポイントまとめは、原因疾患の治療を最優先する・生活習慣の改善を継続する・頭皮環境を整え刺激を避ける・ストレスケアで心身のバランスを保つ・鍼灸や東洋医学も上手に取り入れる・医療機関での定期的なチェックが大切の6点です。