大腿骨頸部骨折は、骨粗鬆症のある高齢者が転倒して太ももの付け根(大腿骨頸部)を折る骨折で、そのまま寝たきりにつながりやすい代表疾患です。関節内骨折で血流に乏しく、骨頭壊死・偽関節を起こしやすいため治りにくく、治療は早期手術・早期離床が原則。国試では「Garden分類」「内転・伸展・外旋位」「人工骨頭置換術後の脱臼肢位」「荷重条件」が繰り返し狙われます。
| 読み方 | だいたいこつけいぶこっせつ |
|---|---|
| 主な原因・病態 | 骨粗鬆症+転倒。太ももの付け根の大腿骨頸部が折れる関節内骨折 |
| 予後が悪い理由 | 骨頭への血流が乏しく虚血性骨頭壊死・骨癒合不全(偽関節)を起こしやすい/仮骨形成しにくい/骨折線の向きで転位しやすい |
| 受傷後の特徴 | 立てない・歩けない、股関節部(鼠径部)の深い痛み、患肢は内転・伸展・外旋位 |
| 診断 | 単純X線が基本。受傷当日は所見が出にくいことがあり、症状が強ければ経過をみて慎重に評価 |
| 分類 | Garden分類Ⅰ〜Ⅳ(Ⅰ・Ⅱ=転位が少ない/Ⅲ・Ⅳ=転位が大きい) |
| 治療 | 早期手術・早期離床が原則。骨接合術または人工骨頭置換術 |
| 評価項目 | 股関節ROM(屈曲・伸展・外転・内転)、荷重条件(免荷/部分荷重)、ADL(寝返り・移乗・更衣)、歩行、全身状態・合併症 |
| 禁忌・注意点 | 荷重は術者の指示に従う。人工骨頭置換術後は脱臼肢位(屈曲+内転+内旋)に注意 |
| 国試での狙われ方 | Garden分類の意味、典型的肢位、早期離床の理由、合併症、脱臼肢位 |
大腿骨頸部骨折は、太ももの付け根にある「大腿骨頸部」が折れる骨折です。高齢者に非常に多く、受傷すると歩けなくなり、そのまま寝たきりの原因になりやすいことが最大の問題です。
したがって治療もリハビリテーションも、「早期対応」で活動性の低下を防ぐことが一貫したテーマになります。
同じ大腿骨近位部でも、頸部骨折は関節包の内側で起こる関節内骨折であるため治りにくいのが特徴です。国試では「なぜ治りにくいのか」を説明できることが求められます。
この「治りにくさ」があるため、保存療法よりも手術を選ぶ判断が重要になります。
| 治りにくい理由 | 内容 | 結果として起こること |
|---|---|---|
| 血流が乏しい | 骨頭への栄養血管が損傷される | 虚血性骨頭壊死 |
| 関節内骨折 | 関節液にさらされ仮骨形成が乏しい | 骨癒合不全・偽関節 |
| 骨折線の向き | 剪断力で転位が進行 | 整復位が保てない・再転位 |
Garden分類は大腿骨頸部骨折を転位の程度でⅠ〜Ⅳに分ける分類で、治療方針(保存か手術か、骨接合術か人工骨頭置換術か)の判断材料になります。
受傷後の症状としては、転倒後に自力で立ち上がれない、鼠径部〜股関節の深部に強い痛みが出る、そして患側下肢が内転・伸展・外旋位をとりやすいことが典型です。「歩行不能」は診断上の重要なヒントになります。
| Garden分類 | 転位の程度 | イメージ | 治療の傾向 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ型 | 転位なし | 不完全骨折・外反嵌入 | 保存または骨接合術 |
| Ⅱ型 | 転位なし | 完全骨折だが転位なし | 骨接合術 |
| Ⅲ型 | 転位あり | 完全骨折・部分転位 | 骨接合術/人工骨頭置換術 |
| Ⅳ型 | 高度転位 | 完全骨折・完全転位 | 人工骨頭置換術 |
診断は単純X線が基本ですが、受傷当日は骨折線がはっきり写らないことがある点に注意します。症状が強いのに画像所見に乏しい場合は、経過をみながら慎重に再評価します(必要に応じてMRI・CT)。
治療の原則は早期手術・早期離床です。高齢者では長期臥床の弊害(廃用症候群・肺炎・褥瘡・認知機能低下)が骨折そのもの以上に問題になるため、できるだけ早く動ける状態をつくります。
術後は「手術 → 早期リハビリ開始 → 早期離床」の流れで進めます。
評価は局所(股関節)だけでなく全身状態・合併症まで見るのが高齢者リハの鉄則です。
また、高齢者では以下の合併症チェックが欠かせません。
| 合併症 | 注意すべき点 |
|---|---|
| せん妄・認知症 | 環境変化や術後にせん妄、認知症の悪化が生じやすい |
| 肺合併症 | 誤嚥性肺炎・無気肺に注意 |
| 尿路感染症 | 尿道カテーテル管理でリスク増加 |
| 深部静脈血栓症(DVT) | 下肢の腫脹・疼痛に注意。肺塞栓に進展する危険 |
| 褥瘡 | 体位変換とスキンケアが重要 |
| 局所の問題 | 骨癒合不全・偽関節・骨頭壊死 |
リハビリは段階的に進めます。ベッド上訓練からADL訓練、そして歩行訓練へと、できることを少しずつ増やしていきます。
在宅復帰後は歩行だけでなく立ち上がり能力の維持が鍵で、家庭でも歩行訓練・立ち上がり訓練を継続します。再転倒予防として手すり設置、床環境の工夫(段差解消・滑り止め・コード整理)、ヒッププロテクターの使用を指導し、活動性低下=寝たきりを防ぎます。
| 段階 | 内容 | 歩行補助具の進め方 |
|---|---|---|
| 1 | 関節可動域訓練 | — |
| 2 | 寝返り・起き上がり | — |
| 3 | 座位 | — |
| 4 | 食事・トイレ動作、移乗 | — |
| 5 | 車椅子移乗 | — |
| 6 | 歩行訓練 | 平行棒 → 歩行器 → 杖 |