足の少陰腎経は十二正経のひとつで、足底の湧泉(KI1)に起こり、胸部の兪府(KI27)で終わる全27穴の経脈です。内果の後方を回って下腿内側を上行し、鼠径部から腹部に入って腎・膀胱に属し、胸部を巡って喉・目系につながります。このページでは27穴すべての取穴部位と寸法、五要穴・絡穴・郄穴・八脈交会穴を一覧表で確認できます。表裏関係にある足の太陽膀胱経との関係も整理しました。
| 読み | あしのしょういんじんけい |
|---|---|
| 経絡記号 | KI(腎経) |
| 経穴数 | 27穴(湧泉 KI1 〜 兪府 KI27) |
| 陰陽・六経 | 少陰経(陰の経脈) |
| 流注の起始 | 足底の湧泉(第1趾と第2趾の付け根から足底に凹んだ所) |
| 流注の終止 | 胸部の兪府(肋骨の高さで正中線から外側へ2寸) |
| 主な走行 | 足底 → 内くるぶしの後ろ → 下腿内側(脛骨の内側縁) → 鼠径部 → 腹部(腎・膀胱に属す) → 胸部 → 喉・目系 |
| 表裏関係 | 足の太陽膀胱経(陽の経脈) |
| 井木穴 | 湧泉(KI1) |
| 榮火穴 | 然谷(KI2) |
| 兪土穴・原穴 | 太渓(KI3) |
| 経金穴 | 復溜(KI7) |
| 合水穴 | 陰谷(KI10) |
| 絡穴 | 大鍾(KI4) |
| 郄穴 | 水泉(KI5) |
| 八脈交会穴 | 照海(KI6) |
| 陰蹻脈の郄穴 | 交信(KI8) |
| 陰維脈の郄穴 | 築賓(KI9) |
| 関係する臓腑・器官 | 腎・膀胱・肺・咽喉・耳・目系 |
| 関係する症状 | 泌尿(頻尿・むくみ)/生殖(月経・不妊・性機能)/耳(耳鳴り・難聴)/呼吸(息切れ・喘息・咳)/咽喉(のどの痛み・声がれ)/腰・膝のだるさ・冷え |
足の少陰腎経は十二正経のひとつで、東洋医学でいう「腎」と深く関係する重要な経脈です。腎は生命エネルギーの根本とされ、成長・発育、生殖・子孫、成長/成熟/老化といった一生の流れに関わります。
腎経は少陰経(陰の経脈)に分類されます。
腎経は足底の湧泉(ゆうせん)からスタートし、足底から上へ、全身へつながっていきます。下肢では内くるぶし(内果)の後方を回って内側を上行するのが最大の特徴です。
| 順序 | 部位 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 足裏(湧泉) | 足の裏の中心(足裏の中央やや前方)からスタート |
| ② | 内くるぶしの後ろ | 内果の後方を回る |
| ③ | 内側のラインを上行 | 足の内側をスネ → ふくらはぎ → 太ももの内側へ。下腿では脛骨の内側縁を通る |
| ④ | 腹部(腎・膀胱) | 鼠径部(そけい部)に到達し、腹部へ入り腎・膀胱に属する |
| ⑤ | 胸部 | 胸部を巡り、喉・目(目系)につながる |
足の少陰腎経は、足の太陽膀胱経と表裏関係にあるパートナーの経脈です。腎経が「裏・陰」、膀胱経が「表・陽」にあたります。
| 項目 | 足の少陰腎経(裏・陰) | 足の太陽膀胱経(表・陽) |
|---|---|---|
| エネルギー | 陰のエネルギー・腎 | 陽のエネルギー・膀胱 |
| はたらき | 水のバランス/腎のはたらき/尿の生成・排泄 | 水を巡らせる/排尿をスムーズに/体を外から守る |
| 走行のイメージ | 足裏から内側を上って腹・胸へ(体の内側から水分を整える) | 背中の中央を上って頭・目へ(体の外側から水分を巡らせる) |
腎経は腎・膀胱・肺・喉と関係し、のどの健康、呼吸、スムーズな排尿をサポートします。
足の少陰腎経の経穴は湧泉(KI1)から兪府(KI27)までの27穴です。スライドに記載された取穴部位をすべて掲載しています。
| No. | 穴名(読み) | ピンイン | 要穴 | 取穴部位(スライド記載) |
|---|---|---|---|---|
| KI1 | 湧泉(ゆうせん) | Yǒngquán | 井木穴 | 足の裏側で、足の指を曲げたときにできるくぼみのちょうど1/3のところ(足底の前1/3・後2/3の境)。第1趾と第2趾の付け根から足底に凹んだ所 |
| KI2 | 然谷(ねんこく) | Rángǔ | 榮火穴 | 内くるぶしの下あたりで、舟状骨の下縁のくぼみ |
| KI3 | 太渓(たいけい) | Tàixī | 腎の原穴・兪土穴 | 内くるぶしとアキレス腱の間の、くぼみ |
| KI4 | 大鍾(だいしょう) | Dàzhōng | 絡穴 | 内くるぶしの下にあるくぼみの、後ろのくぼみ |
| KI5 | 水泉(すいせん) | Shuǐquán | 郄穴 | 内くるぶし(内果)のすぐ下にあるくぼみ。くるぶしの後ろのくぼみ |
| KI6 | 照海(しょうかい) | Zhàohǎi | 八脈交会穴 | 内くるぶしの下あたりで、くるぶしの下縁のやや前方 |
| KI7 | 復溜(ふくりゅう) | Fùliū | 経金穴 | 内くるぶしの上から約2寸(指3本分)上、すねの骨(脛骨)の内側のくぼみ |
| KI8 | 交信(こうしん) | Jiāoxìn | 陰蹻脈の郄穴 | 内くるぶしの上方2寸、脛骨の後縁のやや後方 |
| KI9 | 築賓(ちくひん) | Zhùbīn | 陰維脈の郄穴 | 内くるぶしの上方5寸、脛骨の後縁のやや後方 |
| KI10 | 陰谷(いんこく) | Yìngǔ | 合水穴 | 内くるぶしの上方、腓腹筋の内側頭の内側 |
| KI11 | 横骨(おうこつ) | Hénggǔ | ― | 下腹部、へその下約5寸(指幅)で、恥骨の上縁の中央 |
| KI12 | 大赫(だいかく) | Dàhè | ― | 下腹部、恥骨の上縁の中央(図の目盛りは臍下4の高さ。場所欄の表記は「へその下約5寸」) |
| KI13 | 気穴(きけつ) | Qìxuè | ― | 下腹部、へその下約3寸(指幅)で、恥骨の上縁の中央 |
| KI14 | 四満(しまん) | Sìmǎn | ― | 下腹部、おへその下約2寸(指幅)で、恥骨の上縁の中央 |
| KI15 | 中注(ちゅうちゅう) | Zhōngzhù | ― | 下腹部、おへその下約1寸(指幅)で、恥骨の上縁の中央 |
| KI16 | 肓兪(こうゆ) | Huángshū | ― | おへその高さで、正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。骨盤の上縁の高さが目安 |
| KI17 | 商曲(しょうきょく) | Shāngqū | ― | 正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。みぞおち(胸骨の下端)から下へ指幅2寸(約3cm)=図では臍上2の高さ |
| KI18 | 石関(せきかん) | Shíguān | ― | 正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。みぞおちから下へ指幅3寸(約4.5cm)=図では臍上3の高さ |
| KI19 | 陰都(いんと) | Yīndū | ― | 正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)で、やや内側に向かって圧すと響くところ(図では臍上4の高さ) |
| KI20 | 腹通谷(はらつうこく) | Fùtōnggǔ | ― | 正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)で、やや深く響くところ(図では臍上5の高さ) |
| KI21 | 幽門(ゆうもん) | Yōumén | ― | みぞおちの高さで、正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。肋骨の下縁の少し下あたり(図では臍上6の高さ) |
| KI22 | 歩廊(ほろう) | Bùláng | ― | 肋骨の高さで、正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。肋骨の下縁に沿って触れ、ややへこんだところ |
| KI23 | 神封(しんぽう) | Shénfēng | ― | 肋骨の高さで、正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。肋骨の下縁に沿って触れ、ややへこんだところ |
| KI24 | 霊墟(れいきょ) | Língxū | ― | 肋骨の高さで、正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。肋骨の間の筋肉の中 |
| KI25 | 神蔵(しんぞう) | Shéncáng | ― | 肋骨の高さで、正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。肋骨の間の筋肉の中 |
| KI26 | 或中(いくちゅう) | Yùzhōng | ― | 肋骨の高さで、正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。肋骨の間の筋肉の中 |
| KI27 | 兪府(ゆふ) | Shūfǔ | ― | 肋骨の高さで、正中線から外側へ指幅2寸(約3cm)。肋骨の下縁に沿って触れ、わずかにへこんだところ |
腎経の五要穴・絡穴・郄穴・八脈交会穴はすべて足部から下腿内側に集中しています。国試で最も問われる範囲です。
| 穴名 | 要穴 | 取穴部位 | スライドに記載の主なはたらき |
|---|---|---|---|
| 湧泉(KI1) | 井木穴 | 足底、足の指を曲げてできるくぼみ。足底の前1/3の位置 | 腎の働きを高める/疲労回復・元気を補う/めまい・のぼせの緩和/不眠・動悸・足腰のだるさの改善。「湧き出る泉」の名の通り生命エネルギー(腎の気)が湧き出るツボ |
| 然谷(KI2) | 榮火穴 | 内くるぶしの下あたり、舟状骨の下縁のくぼみ | 腎の機能を高める/冷えの改善・温める作用/むくみの改善/のどの不快感の緩和/生理痛・腰痛のサポート。「火が然(も)えて谷にある」の意味 |
| 太渓(KI3) | 腎の原穴・兪土穴 | 内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ | 腎のエネルギーを補う/疲労回復・体力の維持/腰やひざのだるさの緩和/むくみ・冷えの改善/不眠・耳鳴りのサポート |
| 大鍾(KI4) | 絡穴 | 内くるぶしの下にあるくぼみの、後ろのくぼみ | 腎のエネルギーを強化/冷えの改善・体を温める/むくみ・水分代謝のサポート/腰や膝のだるさの緩和/疲労回復・活力アップ |
| 水泉(KI5) | 郄穴 | 内くるぶし(内果)のすぐ下のくぼみ、くるぶしの後ろのくぼみ | 余分な熱を冷ます/むくみの改善/のぼせ・ほてりの緩和/夜間頻尿のサポート/喉の渇き・口の乾きの改善。体の潤い(水分)を保つ |
| 照海(KI6) | 八脈交会穴 | 内くるぶしの下あたり、くるぶしの下縁のやや前方 | 腎を補い、精を養う/心を落ち着け、リラックスを促す/不眠・動悸・不安の緩和/のぼせ・ほてりの改善/喉の渇き・口の乾きの改善 |
| 復溜(KI7) | 経金穴 | 内くるぶしの上から約2寸(指3本分)上、脛骨の内側のくぼみ | 腎の働きを高める/体内の水分代謝を促す/むくみ・水太りの改善/尿の出を整える/冷えやだるさの緩和/腰や膝の不調のサポート |
| 交信(KI8) | 陰蹻脈の郄穴 | 内くるぶしの上方2寸、脛骨の後縁のやや後方 | 腎の気を補い、元気をサポート/腰や膝のだるさ・痛みに/むくみの改善/排尿トラブルのサポート。郄穴は「気が深く集まる場所」 |
| 築賓(KI9) | 陰維脈の郄穴 | 内くるぶしの上方5寸、脛骨の後縁のやや後方 | 経絡の異常を整える/腰や背中の張り・痛みに/足のしびれやだるさに/むくみの改善/月経不調のサポート |
| 陰谷(KI10) | 合水穴 | 内くるぶしの上方、腓腹筋の内側頭の内側 | 体内の水分バランスを整える/むくみや冷えの改善/下半身のだるさ・重さ/尿のトラブルのサポート/腎の働きをサポート |
下腹部の腎経の経穴は正中線から外側へ2寸(約3cm)のラインに並び、へそからの上下の寸法で位置が決まります。※寸(すん)は同身寸(自分の指幅などを基準にした長さの単位)。
| 穴名 | へそからの高さ | スライドに記載の主なはたらき |
|---|---|---|
| 横骨(KI11) | へその下約5寸、恥骨の上縁の中央 | 腎の働きを高める/疲労感・だるさのケアに/冷えやむくみの改善に/生理トラブルのサポートに/下腹部の不調の緩和に |
| 大赫(KI12) | 図では臍下4の高さ(場所欄は「へその下約5寸、恥骨の上縁の中央」と表記) | 腎の働きを高める/下腹部の血流を促す/冷えやむくみの改善に/疲労回復・エネルギー補給に/生理トラブルのサポートに |
| 気穴(KI13) | へその下約3寸 | 腎の働きを整える/下腹部の冷え・だるさに/疲労回復・元気のサポートに/生理トラブルのサポートに/体のエネルギーバランスを調整 |
| 四満(KI14) | おへその下約2寸 | 腎の働きを高める/下腹部の冷え・だるさをケア/疲労回復・元気のサポートに/生理トラブルのサポートに/体のエネルギーを補う |
| 中注(KI15) | おへその下約1寸 | 腎の働きを高める/下腹部の気の流れを整える/冷え・だるさの改善に/頻尿・残尿感のサポートに/生理トラブルのサポートに |
| 肓兪(KI16) | おへその高さ(骨盤の上縁の高さが目安)で正中線から外側へ2寸(約3cm) | 腎の働きを調整する/腰痛や下腹部の不調を和らげる/排尿トラブルの改善をサポート。「肓」は育てる・はぐくむ、「兪」は気血が注ぐ場所の意味 |
上腹部から胸部の経穴も、すべて正中線から外側へ2寸(約3cm)のライン上に並びます。上腹部はみぞおち・へそからの高さ、胸部は肋骨の高さが目安です。
| 穴名 | 位置の目安 | スライドに記載の主なはたらき・穴名の由来 |
|---|---|---|
| 商曲(KI17) | 正中線外方2寸、みぞおち(胸骨の下端)から下へ指幅2寸(図では臍上2の高さ) | 腎の気を補う/咽喉の痛み・声枯れをやわらげる/胸のつかえ・動悸を改善する/疲労感やだるさの軽減。「商」は商う・調べる、「曲」は集まる・まがるの意味で、気が集まり調和する場所 |
| 石関(KI18) | 正中線外方2寸、みぞおちから下へ指幅3寸(約4.5cm)(図では臍上3の高さ) | 腎の機能を補う/咽喉の違和感・痛みを和らげる/胸のつかえ・動悸を改善する/気逆(のぼせ・息苦しさ)を整える。「石」はかたい・重い、「関」は関所・さえぎるの意味 |
| 陰都(KI19) | 正中線外方2寸、やや内側に向かって圧すと響くところ(図では臍上4の高さ) | 腎の機能を補う/咽喉の痛み・声枯れをやわらげる/胸のつかえ・動悸を改善する/精神の安定をサポート。「陰」は陰の気・内側、「都」は集まるところ・要所の意味 |
| 腹通谷(KI20) | 正中線外方2寸、やや深く響くところ(図では臍上5の高さ) | 腎の働きを補う/下腹部の張りや冷えをやわらげる/足のむくみやだるさを軽減する/膀胱の働きを整え、排尿をサポートする。「腹」「通じる」「水が流れ込む谷」の意 |
| 幽門(KI21) | みぞおちの高さで正中線外方2寸、肋骨の下縁の少し下(図では臍上6の高さ) | 胃腸の働きを整える/食欲不振・胃のもたれを和らげる/吐き気や胃の痛みをやわらげる/ストレスや不安による不調を軽減。「幽」はかくれた・奥深い、「門」は出入り口の意味で、胃の出入り口にあたる |
| 歩廊(KI22) | 肋骨の高さで正中線外方2寸、肋骨の下縁に沿ってややへこんだところ | 呼吸を楽にする/肋間筋の緊張をやわらげる/咳や息苦しさをやわらげる/胸の痛み・脇腹の張りを軽減する/精神的ストレスの緩和。「歩く通り道」の意味 |
| 神封(KI23) | 肋骨の高さで正中線外方2寸、肋骨の下縁に沿ってややへこんだところ | 呼吸を楽にする/肋間筋の緊張をやわらげる/咳や息苦しさをやわらげる/胸の痛み・脇腹の張りを軽減する/不安感やストレスの緩和。「神」は神気・心身の働き、「封」は封じる・守るの意味 |
| 霊墟(KI24) | 肋骨の高さで正中線外方2寸、肋骨の間の筋肉の中 | 呼吸を楽にする/肋間筋の緊張をやわらげる/咳や息苦しさをやわらげる/胸の痛み・脇腹の張りを軽減する/不安感やストレスの緩和。「霊」は精気・神気、「墟」は集まるところの意味 |
| 神蔵(KI25) | 肋骨の高さで正中線外方2寸、肋骨の間の筋肉の中 | 呼吸を楽にする/肋間筋の緊張をやわらげる/咳や息苦しさをやわらげる/胸の痛み・脇腹の張りを軽減する/不安感やストレスの緩和。「神」は神気・精神、「蔵」は蓄えるところの意味 |
| 或中(KI26) | 肋骨の高さで正中線外方2寸、肋骨の間の筋肉の中 | 呼吸を楽にする/肋間筋の緊張をやわらげる/咳や息苦しさをやわらげる/胸の痛み・脇腹の張りを軽減する/不安感やストレスの緩和。「或」はある・まれに、「中」は中央・内側の意味 |
| 兪府(KI27) | 肋骨の高さで正中線外方2寸、肋骨の下縁に沿ってわずかにへこんだところ | 呼吸を楽にする/肋間筋の緊張をやわらげる/咳や息苦しさをやわらげる/胸の痛み・脇腹の張りを軽減する/不安感やストレスの緩和。「兪」はゆるむ・整える、「府」は集まる場所の意味 |
腎経は腎・膀胱・肺・喉と関係する経脈です。
腹部を通って胸部へ上がり、体の中心を通って上へ上へと進みます。