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増殖(過形成)の定義・分類・機序と国試ポイントぞうしょく

増殖とは、細胞の「数」が増えることです。同じ「大きくなる」でも、1つ1つの細胞の大きさが増す肥大とは区別されます。このページでは増殖(過形成)に絞り、定義・刺激との関係・可逆性・腫瘍との違い、そして代表例(多血症・顆粒球増加・甲状腺過形成・前立腺肥大・乳腺症・子宮内膜増殖症)をまとめます。

増殖|増殖 1
読み方ぞうしょく
定義細胞の数が増えること
起こり方外から、または体の内側からの刺激によって起こる反応
可逆性の有無多くの場合、刺激がなくなると元に戻る可逆性の変化
肥大との違い増殖=細胞の「数」が増える/肥大=1つの細胞の「大きさ」が大きくなる
腫瘍との違い腫瘍のように進行性に自己増殖するものとは区別される
代表例(生理的・反応性)高山生活者の赤芽球増殖による多血症、急性感染症での骨髄の顆粒球増加
代表例(内分泌系)去勢後の下垂体ゴナドトロピン細胞の増殖、ヨード欠乏による甲状腺過形成、母親が糖尿病の場合の胎児膵島の過形成
代表例(原因がはっきりしない増殖)前立腺肥大・乳腺症・子宮内膜増殖症
国試での狙われ方増殖と肥大の言い換え、可逆性か否か、腫瘍との区別、代表例と臓器・細胞名の組み合わせ

増殖とは?──細胞の「数」が増える変化

増殖とは、細胞の数が増えることです。スライドでは次の4点が定義として整理されています。

ポイントは、「大きさ」ではなく「数」が増えることです。

増殖肥大
変化の中身細胞の「数」が増える1つの細胞の「大きさ」が大きくなる
覚え方増殖は細胞が増える肥大は細胞がデカくなる
増殖=細胞の「数」が増える。肥大との違いを図で比較
増殖=細胞の「数」が増える。肥大との違いを図で比較

増殖が起こる例──体の要求に応じて細胞数が増える

増殖は、体が必要に応じて細胞数を増やす反応です。刺激に応じて必要な細胞が増える、という流れをそのまま押さえます。

状況刺激を受ける細胞結果
高山生活者赤芽球多血症
急性感染症骨髄の顆粒球顆粒球が増える
高山生活者の多血症、急性感染症の顆粒球増加
高山生活者の多血症、急性感染症の顆粒球増加

内分泌系での増殖──ホルモンバランスの乱れ

内分泌系ではホルモンのバランスが大切で、相互にバランスをとっている関係がくずれると、どちらかの器官に増殖が起こることがあります。スライドに挙げられた例は次の3つです。

原因増殖・過形成が起こる部位
去勢後下垂体ゴナドトロピン細胞
ヨード欠乏甲状腺(過形成)
母親が糖尿病胎児膵島(過形成)
ホルモンバランスの乱れで器官に増殖が起こる3例
ホルモンバランスの乱れで器官に増殖が起こる3例

因果関係がはっきりしない増殖──前立腺肥大・乳腺症・子宮内膜増殖症

増殖の中には、原因がはっきりしないものもあります。代表例は前立腺肥大・乳腺症・子宮内膜増殖症で、これらはホルモンの不均衡などが関係すると考えられています。原因は不明でも、増殖として覚えることが大切です。

なお「前立腺肥大」は名前に肥大と付きますが、内容は前立腺の内側外分泌腺の増殖です。名前に引きずられないよう注意しましょう。

疾患状態
前立腺肥大前立腺が大きくなる状態
乳腺症乳腺が増殖し、しこりや張りが生じる状態
子宮内膜増殖症子宮内膜が厚くなり、増殖する状態
原因がはっきりしない増殖の代表3疾患
原因がはっきりしない増殖の代表3疾患

前立腺肥大・乳腺症・子宮内膜増殖症の詳細

3疾患それぞれの特徴をスライドの記載どおりに整理します。

前立腺肥大は、70歳以上の男性に好発する病態です。前立腺の内側外分泌腺が増殖し、尿道の入口や前立腺内尿道を圧迫します。そのため尿の出が悪くなる/排尿障害が起こります。

乳腺症は、中年期女性にみられる乳腺の異常増殖です。増殖した腺管が嚢胞状に拡張し、周囲の線維増生に圧迫され、上皮がアポクリン化生を起こします。原因は女性ホルモンの不均衡と考えられています。

子宮内膜増殖症は、子宮内膜腺が増殖する病態です。特徴として嚢胞状に拡張し、上皮の過形成がみられ、間質に出血を伴いやすいのが特徴です。ホルモンバランスの乱れが関係すると考えられています。

疾患好発主な所見(3つ組)
前立腺肥大70歳以上の男性内側外分泌腺の増殖/尿道圧迫/排尿障害
乳腺症中年期女性嚢胞状拡張/線維増生/アポクリン化生
子宮内膜増殖症(ホルモンバランスの乱れが関与)嚢胞状拡張/上皮の過形成/間質出血
乳腺症の3所見:嚢胞状拡張・線維増生・アポクリン化生
乳腺症の3所見:嚢胞状拡張・線維増生・アポクリン化生

国家試験ポイント総まとめ

スライド8枚目の総復習リストをそのまま整理します。

一発暗記:増殖は「細胞の数が増える」、肥大は細胞がデカくなる。刺激に反応して増えるけれど、腫瘍みたいな勝手な増殖とは別物です。

増殖の国家試験ポイント9項目の総復習
増殖の国家試験ポイント9項目の総復習
国試ポイント
① 増殖は細胞の「数」が増える変化、肥大は1つの細胞の「大きさ」が増す変化。この言い換えが最頻出の引っかけ。
② 増殖は刺激による反応で、刺激がなくなると元に戻る可逆性の場合が多い。進行性に自己増殖する腫瘍とは区別する。
③ 高山生活者は赤芽球増殖により多血症、急性感染症では骨髄で顆粒球が増える。
④ 内分泌系の例は3つ:去勢後の下垂体ゴナドトロピン細胞の増殖、ヨード欠乏による甲状腺過形成、母親が糖尿病の場合の胎児膵島の過形成。
⑤ 原因がはっきりしない増殖の代表は前立腺肥大・乳腺症・子宮内膜増殖症で、いずれもホルモンの不均衡が関与すると考えられている。
⑥ 前立腺肥大は70歳以上の男性に好発し、内側外分泌腺の増殖が尿道を圧迫して排尿障害を起こす。名前は「肥大」でも実体は増殖。
・ 乳腺症は嚢胞状拡張・線維増生・アポクリン化生、子宮内膜増殖症は嚢胞状拡張・上皮の過形成・間質出血。3所見セットで覚える。
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