腰痛症は、特定の病名がつかない原因がはっきりしない腰の痛みをまとめた「症状名」です。腰痛の原因は多岐にわたり原因を特定できるのは半数以下ともいわれ、原則として下肢の神経症状を伴わないのが特徴です。急性・慢性・再発性に分け、まずは原因を調べたうえで保存療法を中心に対応します。
| 読み方 | ようつうしょう |
|---|---|
| 位置づけ | 病名ではなく症状名(原因不明の腰痛の総称) |
| 原因 | 腰椎・椎間板・椎間関節・靱帯・筋肉・筋膜など多岐にわたる |
| 原因特定率 | 特定できるのは半数以下(報告によっては1割程度) |
| 主症状 | 腰部を中心とした痛み |
| 神経症状 | 原則として下肢の神経症状(しびれ・痛み)は伴わない |
| 分類 | 急性・慢性・再発性 |
| 治療 | 原因を調べたうえで、まずは保存療法が中心 |
腰痛症は、特定の病名がつく腰痛ではなく、運動時・安静時に生じる腰の痛みをまとめた総称です。椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・圧迫骨折のように原因がはっきりした「病名」がつくものとは区別され、原因がはっきりしない腰の痛みをまとめた「症状名」として扱われます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 病名 | 例:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、圧迫骨折など原因がはっきりしたもの |
| 症状名(腰痛症) | 原因がはっきりしない腰の痛みをまとめた名前 |
腰痛の原因は非常に多く、腰椎・椎間板・椎間関節・靱帯・筋肉・筋膜などさまざまな組織が関与します。そのため原因を特定できるのは半数以下、報告によっては1割程度とされ、原因不明の場合に「腰痛症」として扱われます。
腰痛は1つの原因ではなく、いろいろな原因で起こります。原因は次のようなカテゴリで整理すると理解しやすくなります。
| カテゴリ | 例・イメージ |
|---|---|
| 退行変性 | 加齢による椎間板・椎骨の変性 |
| 骨代謝異常 | 骨そのものの代謝の異常 |
| 外傷 | 骨折など外からの力による損傷 |
| 炎症 | 椎体・椎間板などの炎症 |
| 腫瘍 | 腫瘍性の病変(要注意) |
| 姿勢不良・筋疲労 | デスクワークなどの姿勢・筋の疲労 |
| 先天性要因 | 生まれつきの構造的要因 |
腰痛症は腰部の痛みが中心で、原則として脚(下肢)のしびれや痛みなどの神経症状を伴いません。下肢の神経症状があるものは腰痛症とは別の疾患として扱います。経過によって急性・慢性・再発性の3つに分けて考えます。
| 分類 | 定義(発症からの経過) |
|---|---|
| 急性 | 発症から4週間以内 |
| 慢性 | 4週間超〜3か月以内 |
| 再発性 | 繰り返し起こす腰痛 |
急性腰痛症は動くと痛み、安静で軽快するのが特徴です。腰殿部や大腿の後面・側面まで痛むこともありますが、原則として下肢の神経症状は伴いません。急性腰痛症の代表が、突然の強い腰痛で動けなくなるぎっくり腰です。
いつものぎっくり腰と違う腰痛には注意が必要です。次のような特徴があるときは、重大な疾患が隠れている可能性があります。
これらの場合、内臓疾患・悪性腫瘍・感染症などが背景に隠れていることがあり、見逃さないよう注意します。
| 危険なサイン | 隠れている可能性のある疾患 |
|---|---|
| 安静や鎮痛薬でも改善しない | 内臓疾患 |
| 徐々に進行する | 悪性腫瘍 |
| 発熱を伴う | 感染症 |
慢性腰痛症は、6か月以上続く原因不明の腰痛を指します(※スライド4の3分類とは別の枠組みで、慢性は長く続くものとして解説)。明らかな原因疾患があるものは含めず、複合的な要因が関与します。身体的要因に加えて心理・ストレスなどの要因も関係するのが特徴です。
慢性腰痛は体と心の両方が関係します。身体的要因と心理的要因が組み合わさって痛みが続くと考えられています。
| 要因の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 身体的要因 | 微小外傷、筋緊張、肥満、不良姿勢 |
| 心理的要因 | ストレス、いらいら、抑うつ |
まず原因を調べ、適切な治療を選びます。神経学的検査、X線・血液検査などで原因を検索し、原因を絞り込んだうえでまずは保存療法を中心に対応します。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 神経学的検査 | 反射などで神経の状態を確認 |
| X線・血液検査 | 画像・血液で原因を調べる |
| 原因検索 | 隠れた原因を絞り込む |
| 保存療法 | 安静、軟性コルセット、消炎鎮痛薬、ストレッチ・水中歩行、トリガーポイント注射、硬膜外ブロック など |