運動麻痺とは、筋肉そのものに問題がなくても随意的に運動できない状態=「動かしたいのに動かせない」状態をいいます。障害は運動中枢→末梢神経→筋線維という運動経路のどこかに起こり、出血・腫瘍などが原因となります。国試では中枢性(腱反射亢進・病的反射出現・初期は筋萎縮なし)と末梢性(腱反射消失・病的反射なし・筋萎縮あり)の鑑別が最頻出です。
| 読み方 | うんどうまひ |
|---|---|
| 定義 | 筋の脱力がないのに随意的に運動できない状態(動かしたいのに動かせない) |
| 障害部位 | 運動中枢 → 末梢神経 → 筋線維までのどこか |
| 主な原因 | 出血・梗塞・腫瘍などによる運動経路の障害 |
| 強さによる分類 | 完全麻痺/不全麻痺 |
| 分布による分類 | 単麻痺・対麻痺・四肢麻痺・片麻痺 |
| 部位による分類 | 中枢性運動麻痺(上位運動ニューロン障害)/末梢性運動麻痺(下位運動ニューロン・神経筋接合部・筋障害) |
| 鑑別のキモ | 腱反射(亢進か消失か)・病的反射の有無・筋萎縮の有無 |
| 検査 | 神経学的診察+血液生化学検査・脊柱X線・髄液検査・脳CT・脳MRI |
| 治療 | 原因疾患への治療+リハビリテーション・理学療法 |
運動麻痺とは、筋肉に脱力があるわけではないのに、随意的に運動できない状態を指します。ひとことで言えば「動かしたいのに動かせない」状態です。単なる筋力低下(筋そのものの弱り)とは概念が異なる点に注意しましょう。
つまり「脳(運動中枢)から筋肉までの一本の指令ルート」のどこが切れても運動麻痺になる、という理解が出発点になります。
運動麻痺は3つの軸で分類します。「強さ」「分布」「障害部位」の3点セットで覚えるのが国試対策の王道です。
| 分類の軸 | 種類 | 内容 |
|---|---|---|
| 強さ | 完全麻痺 | 随意運動がまったくできない |
| 強さ | 不全麻痺 | 随意運動が部分的に可能(麻痺が不完全) |
| 分布 | 単麻痺 | 一側の上肢または下肢のみの麻痺 |
| 分布 | 対麻痺 | 両下肢の麻痺 |
| 分布 | 四肢麻痺 | 両側の上下肢の麻痺 |
| 分布 | 片麻痺 | 片側の上下肢の麻痺 |
| 障害部位 | 中枢性運動麻痺 | 上位運動ニューロンの障害 |
| 障害部位 | 末梢性運動麻痺 | 下位運動ニューロン・神経筋接合部・筋の障害 |
ここが運動麻痺で最も出題されるところです。腱反射・病的反射・筋萎縮の3項目で真逆になると押さえましょう。
語呂的には「中枢は反射が強くなって病的反射が出る/末梢は反射が消えて筋萎縮が出る」と覚えると混乱しません。
| 項目 | 末梢性運動麻痺 | 中枢性運動麻痺 |
|---|---|---|
| 障害部位 | 末梢神経障害(下位運動ニューロン・神経筋接合部・筋) | 上位運動ニューロン障害 |
| 深部腱反射 | 消失 | 亢進 |
| 病的反射 | みられない | 出現する |
| 筋萎縮 | あり | 原則として初期はなし |
運動麻痺をみたら、まず神経学的診察で麻痺の分布・強さ・反射所見を確認します。そのうえで原因を明らかにするために各種検査を行います。
とくに突然発症の片麻痺は脳血管障害(出血・梗塞)を強く疑い、脳CT/MRIによる緊急の原因検索が必要になります。
運動麻痺そのものを直接消す治療というより、原因疾患に対する治療が基本です。
鍼灸・あん摩マッサージ指圧の臨床でも、麻痺側の関節可動域維持や廃用予防といった観点で、リハビリと並走する形で関わることが多い領域です。
スライドの「国家試験ポイント」10項目を整理すると次のとおりです。