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先天性股関節脱臼の病態・原因・時期別症状・診断・治療

先天性股関節脱臼は、先天的に大腿骨頭が臼蓋(寛骨臼)から外れている状態です。生まれたばかりの赤ちゃんにみられ、女児に多く(男:女=1:5〜9)、冬生まれや逆子(骨盤位)でリスクが高まります。早期発見・早期整復で良好な予後が期待できるため、時期ごとの所見を知っておくことが重要です。

先天性股関節脱臼|先天性股関節脱臼 1
読み方せんてんせいこかんせつだっきゅう
病態先天的に大腿骨頭が臼蓋(寛骨臼)から外れている状態
発生頻度約0.1〜0.25%(およそ1000〜400人に1人)
性差女児に多い(男:女=1:5〜9)
好発生まれたばかりの赤ちゃん/冬生まれ・逆子(骨盤位)で多い
主な所見股位異常・クリック音、アリス徴候、大腿皮膚溝の左右差、トレンデレンブルグ徴候、跛行
治療おむつ指導・抱き方指導、リーメンビューゲル装具(フォン・ローゼン装具)、牽引、ギプス固定、手術
予後早期発見・早期整復で良好。発見が遅れると遺残性亜脱臼・変形性股関節症の恐れ

先天性股関節脱臼とは(概念)

先天性股関節脱臼とは、先天的に股関節が外れている状態をいいます。正常な股関節では大腿骨頭が臼蓋(寛骨臼)にしっかりはまっていますが、本疾患では骨頭が臼蓋から外れています。

正常な股関節と先天性股関節脱臼の比較(骨頭が臼蓋から外れる)
正常な股関節と先天性股関節脱臼の比較(骨頭が臼蓋から外れる)

発生頻度と性差(基礎知識)

発生頻度は約0.1〜0.25%で、およそ1000〜400人に1人にみられます。生まれたばかりの赤ちゃんにみられ、女児に圧倒的に多いのが特徴です。

項目内容
発生頻度約0.1〜0.25%(約1000〜400人に1人)
対象生まれたばかりの赤ちゃん
性差男:女=1:5〜9(女児に多い)

発生しやすい背景(逆子・季節・体質)

発症の背景には、出生時の状況や体質・地域差が関係します。

冬生まれ・逆子(骨盤位)・体質や地域差が発生しやすい背景になる
冬生まれ・逆子(骨盤位)・体質や地域差が発生しやすい背景になる

原因と病態(不安定な股関節から脱臼へ)

主な要因は、家族性、女児、骨盤位分娩、関節(靭帯)のゆるさなどです。股関節の不安定性が進行すると、次のように悪化していきます。

段階状態
不安定な股関節関節がゆるく不安定な状態
亜脱臼関節のずれが一部進行した状態
脱臼関節が外れて元に戻らない状態

新生児期の主な症状(股位異常・クリック音)

新生児期には、次のようなサインがみられることがあります。気になるサインがあれば専門医へ相談します。

新生児期の主な症状:股位異常とクリック音
新生児期の主な症状:股位異常とクリック音

乳児期の主な所見(アリス徴候・皮膚溝の左右差)

乳児期には、膝の高さや皮膚のしわ(皮膚溝)の左右差が手がかりになります。次の3つのポイントをチェックして早期発見につなげます。

所見内容
アリス徴候片側の膝が下がっている(膝の高さの左右差)
大腿皮膚溝の左右差皮膚のしわ(皮膚溝)に左右差がある(浅い側・深い側)
寛骨臼の空虚はまるべき大腿骨頭が臼蓋にはまっていない
乳児期の主な所見:アリス徴候・大腿皮膚溝の左右差・寛骨臼の空虚
乳児期の主な所見:アリス徴候・大腿皮膚溝の左右差・寛骨臼の空虚

歩行開始後の症状(歩行の遅れ・トレンデレンブルグ徴候・跛行)

歩き始めた後には、歩行の遅れや歩き方の異常が現れることがあります。

歩行開始後の症状:歩行の遅れ・トレンデレンブルグ徴候・跛行
歩行開始後の症状:歩行の遅れ・トレンデレンブルグ徴候・跛行

治療(保存的治療から手術まで)

年齢や状態に合わせて適切な治療を選択します。新生児期はまず生活指導や装具から始め、乳児期以降は装具・牽引・ギプス・手術を段階的に用います。

新生児期の保存的治療:足を開いてM字にするおむつ指導、股関節を開いた姿勢でしっかり支える抱き方指導、股関節を安定させる装具(フォン・ローゼン装具)。装具は医師の指示のもと正しく使用し、定期的に診察・調整します。

乳児期以降の治療内容
リーメンビューゲル装具股関節を開排位に保持して安定させる装具
牽引股関節を引っぱって整復しやすくする治療
ギプス固定整復後にギプスでしっかり固定して保持する
手術(必要な場合)整復や変形の改善を目的として行うことがある
乳児期以降の治療:装具・牽引・ギプス・手術
乳児期以降の治療:装具・牽引・ギプス・手術

予後と後遺症

早期発見・早期整復ができれば良好な予後が期待できます。定期的なフォロー(定期受診・発育チェック・経過観察)が安心につながります。

一方で発見が遅れると、次のような後遺症が残る可能性があります。

国試ポイント
① 女児に多い(男:女=1:5〜9)/冬生まれ・逆子(骨盤位)・家族歴でリスク上昇
② 乳児期の代表所見はアリス徴候(膝の高さの左右差)・大腿皮膚溝の左右差・開排制限
③ 歩行開始後はトレンデレンブルグ徴候陽性(片脚立ちで反対側の骨盤が下がる)・跛行・歩行の遅れ
④ 治療はリーメンビューゲル装具が基本。効果不十分なら牽引・ギプス固定・手術へ段階的に進む
⑤ 早期発見・早期整復で予後良好。遅れると遺残性亜脱臼・変形性股関節症のリスク
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