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脊髄反射と運動系の調節|伸張反射・H反射・屈曲反射・自原抑制・拮抗抑制を一気に整理せきずいはんしゃとうんどうけいのちょうせつ

運動は随意運動(大脳皮質運動野)反射運動(脊髄・脳幹)の組み合わせで成り立ち、そこに感覚入力・小脳・大脳基底核が加わって調節されています。その反射運動の中心が、伸張反射・屈曲反射(逃避反射)・自原抑制(Ib抑制)・拮抗抑制(相反性Ia抑制)という脊髄反射です。ここでは受容器・求心性線維・シナプス数・結果の4点セットで、混同しやすい反射をまとめて整理します。

脊髄反射と運動系の調節(伸張反射・屈曲反射・自原抑制)|脊髄反射と運動系の調節(伸張反射・屈曲反射・自原抑制) 1
分野鍼灸理論/生理学(運動系)
テーマ脊髄反射と運動系の調節
扱う反射伸張反射・H反射・屈曲反射(逃避反射)・自原抑制(Ib抑制)・拮抗抑制(相反性Ia抑制)
主な受容器筋紡錘(伸張反射・拮抗抑制)/ゴルジ腱器官(自原抑制)/侵害受容器=自由神経終末(屈曲反射)
主な求心性線維Ia群線維・Ib群線維・C線維など
反射中枢脊髄(頭部では脳幹)
遠心路α運動ニューロン
シナプス数伸張反射=単シナプス反射/屈曲反射・自原抑制・拮抗抑制=多シナプス(介在ニューロンを介する)
随意運動の中心大脳皮質運動野
調節に関与する要素感覚入力(視覚・体性感覚・前庭覚)・小脳・大脳基底核
代表的な臨床例膝蓋腱反射・アキレス腱反射・H波/M波

運動は「随意運動」と「反射運動」で調節される

運動はすべて中枢神経系によって制御されます。大きく分けると、自分の意思で行う随意運動と、無意識に起こる反射運動の2つです。随意運動は大脳皮質運動野が運動プログラムを作成し、脊髄や脳幹を経て筋へ指令を送ります。反射運動は脳を介さず脊髄や脳幹で処理されるため、きわめて素早く起こります。

さらに、運動の調節には次の3要素が加わります。感覚入力(視覚・体性感覚・前庭覚などの感覚情報が運動の調節と修正に働く)、小脳(協調性・バランス・タイミング・誤差の修正)、大脳基底核(運動の開始と抑制、スムーズな動作の選択・調整)。運動は中枢神経系のチームワークで成り立っています。

区分随意運動反射運動
定義自分の意思で行う運動無意識に起こる運動
中枢大脳皮質運動野脊髄・脳幹
経路運動野→脊髄・脳幹→筋刺激→脊髄/脳幹→筋(脳を介さない)
速さ比較的遅いきわめて速い
歩く・書く・物をつかむ熱い物から手を引く・瞬き・膝蓋腱反射
運動は随意運動と反射運動で調節され、感覚入力・小脳・大脳基底核が関与する
運動は随意運動と反射運動で調節され、感覚入力・小脳・大脳基底核が関与する

伸張反射(筋紡錘・Ia群線維・単シナプス反射)

伸張反射とは、筋肉が急に引き伸ばされると、同じ筋肉が反射的に収縮する反射です。受容器は筋内にある筋紡錘で、伸張の情報をIa群線維(求心路)が脊髄へ伝え、α運動ニューロン(遠心路)が同じ筋を収縮させます。

臨床では腱を叩いて誘発するため腱反射とも呼ばれますが、実際に感知しているのは腱ではなく筋紡錘である点に注意が必要です。

伸張反射は筋紡錘→Ia群線維→α運動ニューロンの単シナプス反射
伸張反射は筋紡錘→Ia群線維→α運動ニューロンの単シナプス反射

H反射(ホフマン反射)— 伸張反射を人工的に誘発する

H反射(ホフマン反射)は、末梢神経に電気刺激を与えてIa群線維を興奮させ、伸張反射と同じ経路を人工的に誘発したものです。Ia群線維の興奮が脊髄のα運動ニューロンを介して同じ筋の収縮を起こし、筋電図上にH波として現れます。

比較項目伸張反射H反射
きっかけ筋の急な伸張(腱を叩くなど)末梢神経への電気刺激
受容器筋紡錘が受容筋紡錘を介さずIa群線維を直接刺激
経路Ia群線維→α運動ニューロンIa群線維→α運動ニューロン(同じ)
性質自然に起こる反射人工的に誘発した伸張反射
記録腱反射として観察筋電図でH波として記録

屈曲反射(逃避反射)— 危険から身を守る多シナプス反射

屈曲反射逃避反射とも呼ばれる防御反射の一種です。痛みなどの侵害刺激を受けると、刺激を受けた側の屈筋が収縮し、同時に伸筋が弛緩して、危険な刺激から素早く手足を遠ざけます。

流れは「痛い(侵害刺激)→ 脊髄(反射中枢)→ 屈筋収縮+伸筋弛緩 → 手足を引っ込めて危険から回避」。伸張反射が単シナプスなのに対し、屈曲反射は介在ニューロンを介する点が最大の対比ポイントです。

屈曲反射(逃避反射)は侵害受容器→介在ニューロン→屈筋収縮・伸筋弛緩の多シナプス反射
屈曲反射(逃避反射)は侵害受容器→介在ニューロン→屈筋収縮・伸筋弛緩の多シナプス反射

自原抑制(Ib抑制)と拮抗抑制(相反性Ia抑制)— 筋を守る2つのブレーキ

反射には筋を収縮させるものだけでなく、抑制する(ブレーキをかける)ものがあります。代表が自原抑制拮抗抑制で、いずれも抑制性介在ニューロンが関与します。

①自原抑制(Ib抑制):筋の張力が強くなりすぎると、同じ筋の収縮を弱めて筋損傷を防ぐ反射。腱受容器であるゴルジ腱器官Ib群線維抑制性介在ニューロンα運動ニューロン抑制同じ筋の収縮を弱める

②拮抗抑制(相反性Ia抑制):ある筋(主動筋)が収縮すると、反対側の筋である拮抗筋を弛緩させ、スムーズな運動を可能にする反射。筋紡錘Ia群線維抑制性介在ニューロン拮抗筋のα運動ニューロン抑制拮抗筋が弛緩

比較項目自原抑制(Ib抑制)拮抗抑制(相反性Ia抑制)
受容器ゴルジ腱器官(腱受容器)筋紡錘
求心性線維Ib群線維Ia群線維
介在ニューロン抑制性介在ニューロン抑制性介在ニューロン
抑制される対象同じ筋のα運動ニューロン拮抗筋のα運動ニューロン
結果同じ筋の収縮を弱める拮抗筋が弛緩する
意義過度の張力による筋損傷を防ぐ主動筋収縮+拮抗筋弛緩でスムーズな運動
自原抑制はゴルジ腱器官・Ib群線維、拮抗抑制は筋紡錘・Ia群線維
自原抑制はゴルジ腱器官・Ib群線維、拮抗抑制は筋紡錘・Ia群線維

4つの脊髄反射を横断比較して覚える

国試では「受容器」「求心性線維」「シナプス数」「結果」の4点をすり替えた選択肢が出ます。次の表を丸ごと押さえておけば取りこぼしません。

反射受容器求心性線維介在ニューロン結果
伸張反射筋紡錘Ia群線維介さない(単シナプス)同じ筋が収縮(筋緊張維持・姿勢保持)
H反射(電気刺激でIa線維を直接興奮)Ia群線維介さない同じ筋が収縮(H波)
屈曲反射(逃避反射)侵害受容器(自由神経終末)C線維など介する(多シナプス)屈筋収縮+伸筋弛緩で逃避
自原抑制(Ib抑制)ゴルジ腱器官Ib群線維抑制性介在ニューロン同じ筋の収縮を弱める
拮抗抑制(相反性Ia抑制)筋紡錘Ia群線維抑制性介在ニューロン拮抗筋が弛緩する
国試ポイント
① 伸張反射=筋紡錘が受容器、Ia群線維→α運動ニューロン、介在ニューロンを介さない唯一の単シナプス反射。役割は筋緊張の維持と姿勢保持、代表例は膝蓋腱反射・アキレス腱反射。
② H反射(ホフマン反射)は電気刺激でIa群線維を興奮させ、伸張反射と同じ経路を人工的に誘発したもの。筋を直接刺激するM波と、反射経路を通るH波を混同しない。
③ 屈曲反射=逃避反射で防御反射の一種。侵害受容器(自由神経終末)が受容し、介在ニューロンを介する多シナプス反射。屈筋収縮+伸筋弛緩がセット(「伸筋収縮」は誤り)。反射中枢は脊髄、頭部では脳幹。
④ 自原抑制(Ib抑制)=ゴルジ腱器官・Ib群線維→抑制性介在ニューロン→同じ筋のα運動ニューロン抑制で収縮を弱め、筋損傷を防ぐ。「ゴルジ腱器官=自原抑制」で暗記。
⑤ 拮抗抑制(相反性Ia抑制)=筋紡錘・Ia群線維→抑制性介在ニューロン→拮抗筋のα運動ニューロン抑制で拮抗筋が弛緩。「筋紡錘=拮抗抑制」。自原抑制と受容器・線維を入れ替えた選択肢が定番の引っかけ。
⑥ 随意運動の中心は大脳皮質運動野、反射運動の中枢は脊髄・脳幹。加えて感覚入力・小脳(協調性・バランス・タイミング・誤差修正)・大脳基底核(運動の開始と抑制)が運動調節に関与する。
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