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脊髄・伝導路・反射と自律神経(副交感神経)まとめせきずいでんどうろはんしゃとじりつしんけい

脊髄は脳から続く中枢神経系の一部で、脊柱管の中を通る長さ約40cmの、感覚と運動の情報が行き交う重要な器官です。灰白質の前角・後角・側角や白質を通る錐体路・錐体外路などの伝導路、大脳を介さず素早く働く反射のしくみ、そして脊髄と深く関わる副交感神経の走行まで、国試頻出ポイントを1ページに整理しました。

脊髄・伝導路・反射と自律神経(副交感神経)|脊髄・伝導路・反射と自律神経(副交感神経) 1
脊髄の長さ約40cm(脊柱管内を走行)
脊髄神経31対(頸神経8・胸神経12・腰神経5・仙骨神経5・尾骨神経1)
脊髄円錐第1〜第2腰椎の高さで脊髄が終わる部分
馬尾脊髄円錐より下で神経根が束になり馬のしっぽ状に広がったもの
灰白質(H字型)前角=運動神経細胞、後角=感覚神経細胞、側角=自律神経細胞
白質前索(下行路)・側索(上行路+下行路)・後索(上行路)
錐体交叉延髄下部で錐体路の約80%が左右交叉する
副交感神経の起始脳幹由来(迷走神経)と仙髄S2〜S4由来(骨盤神経)の2系統

脊髄の位置と全体構造 ― 区分・脊髄神経31対・馬尾

脊髄は脳から続く中枢神経系の一部で、脊柱管の中を通る長さ約40cmの神経組織です。上から頸髄・胸髄・腰髄・仙髄・尾髄の5つに区分され、各髄節から左右対称に脊髄神経が出て体幹・四肢の感覚と運動を支配します。

脊髄神経は合計31対で、内訳は下表の通り。頸神経8対と腰神経5対は覚え間違いが多いポイントです。

区分髄節脊髄神経支配領域
頸髄(けいずい)C1〜C7頸神経8対(C1〜C8)首の動き・上肢の感覚運動
胸髄(きょうずい)T1〜T12胸神経12対(T1〜T12)体幹の感覚運動・内臓の働き
腰髄(ようずい)L1〜L5腰神経5対(L1〜L5)下肢の感覚運動
仙髄(せんずい)S1〜S5仙骨神経5対(S1〜S5)骨盤内臓・排尿排便
尾髄(びずい)Co1〜Co5尾骨神経1対(Co1)尾骨部の感覚運動
脊髄の区分(頸髄〜尾髄)と脊髄神経31対の内訳
脊髄の区分(頸髄〜尾髄)と脊髄神経31対の内訳

脊髄が細くなる場所 ― 脊髄円錐・馬尾・頸膨大と腰膨大

脊髄は脊柱管全体を満たしているわけではなく、第1〜第2腰椎の高さで先端が細くなって終わります。この終端部を脊髄円錐と呼びます。

脊髄円錐より下の脊柱管内には、腰髄・仙髄・尾髄から出る神経根が長く伸びて束になり、馬のしっぽのように広がっています。これを馬尾(ばび)といい、腰椎穿刺(ルンバール)が脊髄円錐より下位で安全に行える理由にもなっています。

また脊髄には太くなっている部分が2か所あり、上肢の神経が多く集まる頸膨大(C4〜T1付近)と、下肢の神経が多く集まる腰膨大(L1〜S3付近)です。

構造位置特徴
脊髄円錐第1〜第2腰椎の高さ脊髄本体の終わり。ここから下は神経根のみ
馬尾脊髄円錐より下(腰椎下部〜仙骨)腰髄・仙髄・尾髄神経根の束。馬の尻尾状
頸膨大C4〜T1付近上肢を支配する神経が多く集まる
腰膨大L1〜S3付近下肢を支配する神経が多く集まる
脊髄円錐から馬尾が形成される様子と脊髄神経31対
脊髄円錐から馬尾が形成される様子と脊髄神経31対

脊髄の横断面構造 ― 灰白質(前角・後角・側角)と白質(前索・側索・後索)

脊髄の横断面を見ると、中央に神経細胞体が集まる灰白質がH字型(蝶形)に、その周囲を神経線維の束である白質が取り囲んでいます。

灰白質は前角・後角・側角の3つの角に分かれ、それぞれ役割が異なります。特に側角は胸髄(T1〜L2)と仙髄(S2〜S4)にのみ存在し、自律神経(交感神経・副交感神経)の細胞体がある点が重要です。

白質は上行路(感覚を脳へ)と下行路(運動命令を末梢へ)の通り道で、前索・側索・後索に分かれます。

部位所在機能・特徴
前角(ぜんかく)灰白質の腹側運動神経細胞が存在。筋肉への命令を出す
後角(こうかく)灰白質の背側感覚神経細胞が存在。感覚情報を受け取る
側角(そっかく)灰白質の外側(胸髄T1〜L2・仙髄S2〜S4)自律神経細胞が存在。交感・副交感の中枢
前索(ぜんさく)白質の腹側下行路(運動命令が末梢へ)が走行
側索(そくさく)白質の外側上行路・下行路の両方が走行(痛覚・温度覚・運動など)
後索(こうさく)白質の背側上行路(触覚・位置覚・振動覚など深部感覚)が走行
脊髄横断面のH字型灰白質(前角・後角・側角)と白質(前索・側索・後索)
脊髄横断面のH字型灰白質(前角・後角・側角)と白質(前索・側索・後索)

神経根と脊髄神経 ― 前根=運動、後根=感覚

脊髄からは前後2本の神経根が出入りします。前根(ぜんこん)は前角から出る運動神経で、脊髄からの運動命令を末梢の筋肉へ送ります。後根(こうこん)は後角に入る感覚神経で、末梢からの感覚情報を脊髄・脳へ伝えます(ベル・マジャンディの法則)。

この前根と後根が合わさって1対の脊髄神経(混合神経=感覚+運動)となり、椎間孔から左右に出て全身へ分布します。

前根(運動)と後根(感覚)が合わさって脊髄神経になる
前根(運動)と後根(感覚)が合わさって脊髄神経になる

下行性伝導路① 錐体路 ― 随意運動を支配する主役

錐体路は大脳皮質の運動野(中心前回)から始まり、随意運動(自分の意志で動かす運動)を支配する最も重要な下行性伝導路です。経路は次の順で下行します。

延髄の腹側にある隆起(延髄錐体)を通過する際、錐体交叉と呼ばれる場所で神経線維の約80%が左右交叉します。このため大脳の運動野は反対側の身体を支配する形になり、内包(重要な運動伝導路が集中する部位)が障害されると反対側に片麻痺が生じます。

順序経路ポイント
1運動野(中心前回)大脳皮質の運動野から始まる
2内包重要な運動伝導路が集中(障害で反対側片麻痺)
3脳幹(中脳・橋)中脳・橋を通過
4延髄の錐体延髄腹側の隆起を通過
5錐体交叉延髄下部で約80%が左右交叉する
6脊髄前角細胞脊髄で運動ニューロンにシナプス
7骨格筋運動命令が筋肉へ伝わり随意運動が起こる
錐体路の経路(運動野→内包→脳幹→延髄錐体→錐体交叉→脊髄前角→骨格筋)
錐体路の経路(運動野→内包→脳幹→延髄錐体→錐体交叉→脊髄前角→骨格筋)

下行性伝導路② 錐体外路と運動ニューロン障害

錐体外路は錐体路以外の下行性運動路の総称で、多くは脳幹(中脳・橋・延髄)から起始し、姿勢保持・平衡機能・筋緊張の調節・協調運動を担います。錐体路(随意運動)と協力して身体の動きをコントロールしており、障害されるとパーキンソン病や不随意運動、姿勢異常が現れます。

また運動ニューロンの障害は、障害される部位によって症状が対照的になる点が国試頻出です。

経路/障害特徴
赤核脊髄路四肢の屈筋を促進
網様体脊髄路姿勢・筋緊張を調節
前庭脊髄路内耳からの情報を伝え平衡と姿勢を維持
視蓋脊髄路頭部・頸部の反射運動に関与
オリーブ脊髄路協調運動に関与
上位運動ニューロン障害痙性麻痺・筋緊張亢進・腱反射亢進・病的反射(バビンスキー徴候)陽性
下位運動ニューロン障害弛緩性麻痺・筋緊張低下・腱反射低下(消失)・筋萎縮
錐体外路(赤核脊髄路・網様体脊髄路・前庭脊髄路など)は姿勢と筋緊張を調節する
錐体外路(赤核脊髄路・網様体脊髄路・前庭脊髄路など)は姿勢と筋緊張を調節する

上行性伝導路(感覚路) ― 後索路・脊髄視床路・脊髄小脳路

伝導路には大脳から末梢へ運動命令を送る下行性伝導路(錐体路・錐体外路)と、身体から脳へ感覚情報を送る上行性伝導路があります。上行性伝導路は感覚の種類ごとに通り道が分かれているのが特徴です。

経路運ぶ感覚備考
後索路深部感覚(触覚・位置覚・振動覚)後索を上行し交叉は延髄で起こる
脊髄視床路温度覚・痛覚・触覚(表在感覚)側索・前索を上行し脊髄レベルで交叉
脊髄小脳路運動・姿勢に関する情報小脳へ送られ協調運動の調整に使われる
下行性伝導路(錐体路・錐体外路)と上行性伝導路(後索路・脊髄視床路・脊髄小脳路)
下行性伝導路(錐体路・錐体外路)と上行性伝導路(後索路・脊髄視床路・脊髄小脳路)

反射 ― 大脳を介さない脊髄反射弓

反射とは感覚刺激に対して無意識に起こる反応で、大脳皮質を介さず脊髄を反射中枢として素早く処理されるのが最大の特徴です。反射の情報は次の5段階(反射弓)をたどります。

代表例として、膝蓋腱をたたくと足が伸びる膝蓋腱反射(L2〜L4)や、アキレス腱をたたくと足が下がるアキレス腱反射(S1〜S2)があり、いずれも下位運動ニューロンや末梢神経の障害を調べる臨床検査として頻出です。

順序要素内容
1感覚受容器筋の伸張などの刺激を感知
2求心性神経(感覚神経)刺激情報を脊髄へ伝える
3反射中枢(主に脊髄)情報を処理し運動の命令を出す
4遠心性神経(運動神経)命令を効果器(筋)へ伝える
5効果器(筋・腺)反応が起こる(例:大腿四頭筋の収縮)
反射弓(感覚受容器→求心性神経→反射中枢→遠心性神経→効果器)と膝蓋腱反射・アキレス腱反射
反射弓(感覚受容器→求心性神経→反射中枢→遠心性神経→効果器)と膝蓋腱反射・アキレス腱反射

脊髄と自律神経 ― 側角と副交感神経(迷走神経・骨盤神経)

脊髄灰白質の側角には自律神経の細胞体があり、胸髄(T1〜L2)の側角からは交感神経(胸腰系)が、仙髄(S2〜S4)の側角からは副交感神経(仙髄由来)が起始します。副交感神経はこの仙髄由来のものに加え、脳幹から出る脳神経由来のものがあり、あわせて頭仙系と呼ばれます。

副交感神経は身体を「休む・消化する・排泄する」モードにする神経で、起始部によって支配する臓器が異なります。

由来支配神経支配臓器
脳幹由来迷走神経心臓・肺・消化器(胃腸など)
仙髄由来(S2〜S4)骨盤神経膀胱・直腸・生殖器
副交感神経は脳幹由来の迷走神経と仙髄由来の骨盤神経の2系統からなる
副交感神経は脳幹由来の迷走神経と仙髄由来の骨盤神経の2系統からなる
国試ポイント
① 脊髄神経は31対(頸神経8対・胸神経12対・腰神経5対・仙骨神経5対・尾骨神経1対)。合計数と内訳の暗記は頻出
② 前根=運動神経(遠心性)・後根=感覚神経(求心性)、灰白質では前角=運動・後角=感覚・側角=自律神経(交感・副交感)。方向と機能の対応を混同しないこと
③ 錐体路(随意運動)は延髄下部の錐体交叉で約80%が左右交叉する。内包が障害されると反対側に片麻痺が出る
④ 上位運動ニューロン障害は痙性麻痺・腱反射亢進・バビンスキー徴候陽性、下位運動ニューロン障害は弛緩性麻痺・腱反射低下(消失)・筋萎縮という対比が頻出
⑤ 反射は大脳皮質を介さず脊髄を反射中枢とする無意識の反応。膝蓋腱反射(L2〜L4)・アキレス腱反射(S1〜S2)など反射弓のルート(感覚受容器→求心性神経→反射中枢→遠心性神経→効果器)を押さえる
⑥ 副交感神経は脳幹由来の迷走神経(心臓・肺・消化器を支配)と仙髄S2〜S4由来の骨盤神経(膀胱・直腸・生殖器を支配)の2系統からなる頭仙系。胸腰髄(T1〜L2)の側角から出る交感神経(胸腰系)との対比で覚える
📖 脊髄・伝導路・反射と自律神経(副交感神経)をスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習