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細胞膜の構造・物質輸送のしくみと国試ポイントさいぼうまく

細胞膜はリン脂質二重層でできており、選択的透過性(必要なものだけを通す性質)をもつ。物質の移動には、エネルギーを使わない受動輸送(単純拡散・促通拡散・浸透)と、ATPを使って濃度勾配に逆らって移動させる能動輸送(Na⁺/K⁺ポンプなど)があり、国試では両者の違いやイオンチャネルの種類が頻出する。

解剖学(細胞膜)|解剖学(細胞膜) 1
読み方さいぼうまく
構成成分リン脂質二重層(頭部=親水基が外側・内側、尾部=疎水基が二重層内部)
主な性質選択的透過性(小さい分子・脂溶性物質は通しやすく、大きい分子・イオンは通しにくい)
受動輸送の種類単純拡散・促通拡散・浸透(いずれもエネルギー不要、高濃度→低濃度)
能動輸送の代表例Na+/K+ポンプ:ATPを1個消費し、3Na+を細胞外へ、2K+を細胞内へ輸送
エンドサイトーシス食作用(ファゴサイトーシス=固形物)・飲作用(ピノサイトーシス=液体)、いずれもATPを使う能動輸送の一種
国試での狙われ方各輸送方式のエネルギー要否・移動方向・代表例(Na+/K+ポンプの数値やイオンチャネルの種類)の組み合わせを問う設問が頻出

細胞膜の構造(リン脂質二重層)

細胞膜はリン脂質二重層でできており、リン脂質分子は親水基(頭部・水になじむ)疎水基(尾部・水をはじく)をもつ。二重層は親水基が外側・内側(水側)を向き、疎水基が層の内部で向かい合う構造になっている。膜にはチャネル・トランスポーター(担体)・ポンプなどの膜タンパク質が埋め込まれており、これらを介した物質輸送によって選択的透過性が生まれる。

構成要素特徴
親水基(頭部)水になじむ。膜の外側・内側の両表面に位置する
疎水基(尾部)水をはじく。二重層の内部で向かい合う
チャネルイオンなどを通す通り道(受動輸送)
トランスポーター特定の物質を運ぶ担体(受動輸送)
ポンプATPのエネルギーを使って物質を輸送する(能動輸送)
細胞膜の構造:リン脂質二重層と親水基・疎水基、輸送に関わる膜タンパク質
細胞膜の構造:リン脂質二重層と親水基・疎水基、輸送に関わる膜タンパク質

膜を通るもの・通らないもの(選択的透過性)

細胞膜は選択的透過性をもち、必要なものは通し、不要なものは通さない。小さい分子や脂溶性の物質は脂質二重層を直接通過できるが、大きい分子やイオンは電荷やサイズの関係で膜を通れず、膜タンパク質(チャネルやトランスポーター)の助けが必要になる。

区分物質の例理由
通りやすいO2・CO2・N2などの小さい分子脂質二重層を直接通過できる
通りやすいステロイド・脂溶性ビタミン・アルコールなどの脂溶性物質脂質とよく溶け合う
通りにくいタンパク質・多糖類などの大きい分子サイズが大きく膜を通れない
通りにくいNa+・K+・Ca2+・Cl-などのイオン電荷があるため脂質二重層を通れない
単独では通りにくい水(H2O)アクアポリン(チャネル)を使って通過する

この選択的透過性が、細胞内外の環境をコントロールする土台になっている。

膜を通るもの・通らないもの:分子の大きさ・脂溶性・電荷による違い
膜を通るもの・通らないもの:分子の大きさ・脂溶性・電荷による違い

受動輸送(エネルギー不要)の3種類

受動輸送は濃度差に従って、物質が高い方から低い方へ移動するしくみで、ATPなどのエネルギーを使わない。単純拡散・促通拡散・浸透の3種類がある。

種類しくみ特徴
①単純拡散小さな分子が膜を直接通過するチャネルやキャリアを使わない
②促通拡散チャネルやキャリア(膜タンパク質)を使って移動する特定の物質だけを選んで通す
③浸透水(H2O)が半透膜を通って移動する水は溶質の少ない方(低浸透圧)から多い方(高浸透圧)へ移動する

いずれも移動の駆動力は濃度差(または浸透圧差)であり、エネルギーは不要である。

受動輸送:単純拡散・促通拡散・浸透のしくみ
受動輸送:単純拡散・促通拡散・浸透のしくみ

イオンチャネル(受動輸送の主役)

イオンチャネルは細胞膜にあるタンパク質の通り道で、特定のイオンだけを選択的に通す。刺激によってゲートが開閉し、濃度差・電位差に従ってイオンが通過する(受動輸送、エネルギー不要)。

種類開く条件
電位依存性チャネル膜の電位変化(脱分極など)Na+チャネル、K+チャネル、Ca2+チャネル(神経の活動電位、筋収縮)
リガンド依存性チャネル特定の物質(リガンド)の結合アセチルコリン受容体、GABA受容体、グルタミン酸受容体(神経伝達、筋収縮の開始)
機械刺激依存性チャネル圧力・伸展などの物理的刺激皮膚の触圧覚受容チャネル、内耳の機械受容チャネル(触覚・聴覚・平衡感覚)
主に通すイオン働き
Na+(ナトリウムイオン)神経興奮の発生・伝達に重要
K+(カリウムイオン)静止電位の維持に重要
Ca2+(カルシウムイオン)筋収縮や神経伝達物質の放出を引き起こす
Cl-(塩化物イオン)細胞の興奮や抑制に関与
イオンチャネルの構造と3種類(電位依存性・リガンド依存性・機械刺激依存性)
イオンチャネルの構造と3種類(電位依存性・リガンド依存性・機械刺激依存性)

能動輸送(ATPを使う)とNa+/K+ポンプ

能動輸送は濃度の低い方から高い方へ、濃度勾配に逆らって物質を移動させるしくみで、ATPを消費してポンプ(輸送体タンパク質)を動かす。代表例がNa+/K+ポンプである。

ステップ内容
細胞内のNa+が3個ポンプに結合する
ATPを分解してエネルギーを得て、形が変化しNa+を細胞外へ放出する
細胞外のK+が2個ポンプに結合する
形がもとに戻り、K+を細胞内へ放出する

1サイクルでATPを1個消費し、3Na+を細胞外へ、2K+を細胞内へ輸送する。この結果、Na+は細胞外に多く、K+は細胞内に多い状態が常に維持される。他にCa2+ポンプ(筋収縮の調節)、H+ポンプ(胃酸分泌)、グルコースのNa+共輸送(小腸・腎臓でのグルコース吸収)などがある。

受動輸送能動輸送
移動方向高→低低→高
エネルギー不要ATPが必要
単純拡散・促通拡散・浸透・イオンチャネルNa+/K+ポンプ、Ca2+ポンプなど
能動輸送の代表例:Na+/K+ポンプのサイクル(3Na+を細胞外へ、2K+を細胞内へ)
能動輸送の代表例:Na+/K+ポンプのサイクル(3Na+を細胞外へ、2K+を細胞内へ)

食作用・飲作用(エンドサイトーシス)

大きな物質や液体は膜を直接通れないため、膜がくぼみを作って包み込み細胞内へ取り込む。これをエンドサイトーシスといい、食作用(ファゴサイトーシス)飲作用(ピノサイトーシス)があり、どちらもATPを使う能動輸送の一種である。

食作用(ファゴサイトーシス)飲作用(ピノサイトーシス)
取り込むもの固形の大きな物質(細菌、異物など)液体や小さな物質(栄養素、ホルモンなど)
大きさの目安大きい(数百nm以上)小さい(数nm〜数十nm)
小胞の名前ファゴソームピノソーム
主な役割異物の除去・防御(免疫の最前線)栄養の取り込み・調整
代表例白血球(マクロファージ)が細菌を食べるほとんどの細胞での栄養素・ホルモン・成長因子の取り込み

食作用の代表例である白血球(マクロファージ)は、①細菌などの異物を発見→②偽足を伸ばして包み込む→③ファゴソーム形成→④リソソームと融合→⑤分解し老廃物を排出、という過程で異物を排除する。

食作用(ファゴサイトーシス)と飲作用(ピノサイトーシス)のしくみと違い
食作用(ファゴサイトーシス)と飲作用(ピノサイトーシス)のしくみと違い
国試ポイント
① 細胞膜はリン脂質二重層でできており、外側・内側とも親水基が水側を向き、内部は疎水基が向かい合う
② 膜は選択的透過性をもち、小さい分子(O2・CO2・N2)や脂溶性物質(ステロイドなど)は通りやすく、大きい分子・イオン(Na+・K+・Ca2+・Cl-)は通りにくい。水はアクアポリン(チャネル)を介して通過する
③ 受動輸送(単純拡散・促通拡散・浸透)はエネルギー不要で、高濃度→低濃度へ移動する
④ 能動輸送はATPを使い、低濃度→高濃度へ移動させる。代表例はNa+/K+ポンプで、1サイクルにATPを1個消費し3Na+を細胞外へ・2K+を細胞内へ輸送する結果、Na+は細胞外に多く、K+は細胞内に多い状態が維持される
⑤ イオンチャネルには電位依存性・リガンド依存性・機械刺激依存性の3種類があり、いずれも受動輸送でエネルギーを使わない
⑥ 食作用(ファゴサイトーシス=固形物を取り込む)と飲作用(ピノサイトーシス=液体・小さな物質を取り込む)は、どちらも膜がくぼんで小胞を作るエンドサイトーシスで、ATPを使う能動輸送の一種である
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