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リンパ系の走行・構造と国試ポイントりんぱけい

リンパ系は、毛細血管からしみ出た組織液(約10%は血管に回収されない分)を回収し、リンパ節でろ過・免疫チェックしながら心臓へ戻す循環系です。胸管右リンパ本幹という2本の太い本幹を通り、最終的に静脈角で血管系に合流します。脾臓・胸腺・扁桃・パイエル板といった付属のリンパ組織とあわせて、国試では走行・分布範囲・数値が頻出します。

リンパ系|リンパ系 1
読み方りんぱけい
起点毛細リンパ管(組織のすき間に網目状に分布、先端は盲端)
主な走行経路毛細リンパ管→リンパ管→リンパ節→リンパ本幹(胸管・右リンパ本幹)→静脈角→静脈
主なリンパ本幹胸管(人体最大、長さ約40〜45cm、右上半身以外を担当、約75%)/右リンパ本幹(右上半身のみ担当、約25%)
合流部位左静脈角(左内頸静脈+左鎖骨下静脈)/右静脈角(右内頸静脈+右鎖骨下静脈)
主な付属リンパ組織脾臓(最大のリンパ器官)・胸腺(T細胞成熟の場)・扁桃(ワルダイエル咽頭輪)・パイエル板(回腸の集合リンパ小節)
国試での狙われ方組織液の回収率(約90%は血管へ・約10%はリンパ管へ)、リンパ管の弁の有無、胸管と右リンパ本幹の担当範囲・注ぐ静脈角、脾臓の位置と構造、腋窩・鼠径・頸リンパ節の担当領域、乳びの吸収経路など数値・部位が頻出

組織液からリンパ液へ―リンパ系の成り立ち

動脈血が毛細血管を流れる際、血液の一部が血管壁からしみ出して組織液となり、細胞に酸素・栄養素・ホルモンを届ける。組織液の約90%は毛細血管(静脈側)へ戻るが、約10%は血管に再吸収されず組織内に残る。この残った組織液を回収するのが毛細リンパ管であり、回収された時点で名称は「リンパ液」に変わる。

組織液の約90%は血管へ、約10%はリンパ管へ回収されリンパ液になる
組織液の約90%は血管へ、約10%はリンパ管へ回収されリンパ液になる

リンパ系の走行―毛細リンパ管からリンパ節、リンパ本幹まで

リンパの流れは①毛細リンパ管→②リンパ管→③リンパ節→④リンパ本幹→⑤静脈角→⑥静脈(心臓)という一方向の経路をたどる。

段階特徴
毛細リンパ管組織のすき間に網目状に分布。先端が閉じた盲端、壁が薄く隙間が大きいため組織液・タンパク質・脂肪・異物・がん細胞も取り込みやすい
リンパ管毛細リンパ管が合流したもの。内側にがあり逆流を防ぐ(静脈と同様の構造)。心臓のようなポンプがないため、骨格筋の収縮・動脈の拍動・呼吸運動の力を利用して流れる
リンパ節リンパ管の途中にある検問所(濾過装置)。細菌・ウイルス・異物・がん細胞を捕捉し、B/Tリンパ球が反応する
リンパ本幹多数のリンパ管が合流した太い管。胸管と右リンパ本幹の2本
静脈角リンパ系のゴール。左右の静脈角でそれぞれ静脈へ合流する

リンパの流れを助ける要素として、骨格筋ポンプ作用(最重要)・動脈拍動による作用・呼吸運動の3つがある。ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれるほど骨格筋ポンプの働きが重要。

リンパ管には弁があり、骨格筋・動脈拍動・呼吸運動の力で心臓へ向かう
リンパ管には弁があり、骨格筋・動脈拍動・呼吸運動の力で心臓へ向かう

胸管と右リンパ本幹―担当範囲と静脈角への合流

全身のリンパは最終的に胸管右リンパ本幹の2本の本幹に集約されて静脈へ戻る。担当範囲が左右非対称である点が国試の頻出ポイント。

項目胸管右リンパ本幹
大きさ人体最大のリンパ管(約40〜45cm)小さい
始まり乳び槽(第1〜2腰椎前方付近)右頭頸部・右上肢・右胸部のリンパ管が合流
担当範囲右上半身以外のすべて(両下肢・骨盤・腹部・左胸部・左上肢・左頭頸部)=全身の約75%右上半身のみ(右頭頸部・右上肢・右胸部)=全身の約25%
走行乳び槽→横隔膜を通過→胸腔内を上行→頸部→左静脈角右頸リンパ本幹→右リンパ本幹→右静脈角
注ぐ場所左静脈角(左内頸静脈+左鎖骨下静脈の合流部)右静脈角(右内頸静脈+右鎖骨下静脈の合流部)

左右非対称になる理由は発生学的なもので、胎生期には左右対称だったリンパ管が発生過程で右側の一部が退縮し、胸管が非常に大きく発達したためとされる。

臨床との関係:胸管損傷→乳び胸、胃がんなど腹部臓器のがんが胸管を経て左鎖骨上リンパ節(ウィルヒョウ転移)に転移することが重要。

胸管は右上半身以外の約75%、右リンパ本幹は右上半身の約25%を担当
胸管は右上半身以外の約75%、右リンパ本幹は右上半身の約25%を担当

リンパ節とリンパ管の分類―濾過機能と浅・深リンパ管

リンパ節は細菌・ウイルス・異物・がん細胞をリンパ液から捕捉し、マクロファージが処理、B/Tリンパ球が免疫応答を起こす濾過装置。ある部位から最初に流れ着くリンパ節を所属リンパ節、がん細胞が最初に到達するリンパ節をセンチネルリンパ節と呼び、がんの転移診断で重要視される。

所属リンパ節担当領域
頸リンパ節頭頸部・顔面
腋窩リンパ節上肢・乳房(乳がん転移で重要)
鼠径リンパ節下肢・外陰部(下肢・会陰部疾患で重要)
腹腔リンパ節周辺胃など腹部臓器

リンパ管は分布部位により2種類に分かれる。

種類走行回収するもの
浅リンパ管皮静脈(大伏在静脈・小伏在静脈・橈側皮静脈・尺側皮静脈など)に沿う皮膚・皮下脂肪・表在組織のリンパ液
深リンパ管深部静脈(大腿静脈・膝窩静脈・鎖骨下静脈・上腕静脈など)に沿う筋肉・関節・骨・神経・内臓など深部組織のリンパ液

両者は交通枝で連絡しており、一方が障害されても他方に迂回できる。ただし乳がん術後の腋窩リンパ節切除のように障害が大きいと交通路だけでは処理しきれず上肢リンパ浮腫が生じる。

浅リンパ管は皮静脈に、深リンパ管は深部静脈に沿って走行する
浅リンパ管は皮静脈に、深リンパ管は深部静脈に沿って走行する

脂肪の吸収経路―乳び・乳び槽と小腸絨毛

小腸絨毛では、ブドウ糖・アミノ酸・水溶性ビタミンは毛細血管へ吸収されるが、脂肪と脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は水に溶けにくいため、絨毛中心の中心リンパ管(乳び腔)から吸収される。吸収された脂肪はカイロミクロンという粒子として乳び腔→リンパ管→腸リンパ本幹→乳び槽→胸管→左静脈角という経路をたどる。

脂肪は中心リンパ管(乳び腔)から吸収され、乳び槽・胸管を経て左静脈角へ注ぐ
脂肪は中心リンパ管(乳び腔)から吸収され、乳び槽・胸管を経て左静脈角へ注ぐ

脾臓・胸腺・扁桃・パイエル板―付属のリンパ組織

リンパ系には血管系のようにリンパを検査する「脾臓」、免疫細胞を育てる「胸腺」、粘膜を防御する「扁桃・パイエル板」といった付属器官がある。

器官位置・特徴働き
脾臓人体最大のリンパ器官。左季肋部(左上腹部)、第9〜11肋骨の後方付近。白脾髄(リンパ球が多い)と赤脾髄(赤血球が多い)からなる古い赤血球の破壊(赤血球寿命約120日)・血液の貯蔵・免疫機能(血液を監視)。摘出すると感染症リスク上昇(特に肺炎球菌・髄膜炎菌・インフルエンザ菌に注意)
胸腺胸骨の裏側、心臓の前上方。思春期以降に脂肪組織へ置換(胸腺退縮)する一次リンパ性器官骨髄由来の未熟T細胞を教育・成熟させ、自己と非自己を区別できる正常なT細胞のみ生き残らせる
扁桃(ワルダイエル咽頭輪)咽頭扁桃(アデノイド)・口蓋扁桃・舌扁桃・耳管扁桃の4つが輪状に配置口や鼻から侵入する病原体を最前線で監視し抗体産生・感染防御
パイエル板回腸に存在する集合リンパ小節腸内の異物・病原体を監視し、B細胞を活性化してIgA(粘膜免疫の中心となる抗体)を産生

脾臓は「血液を監視」、リンパ節は「リンパ液を監視」する点が対比として問われやすい。

脾臓は最大のリンパ器官で、白脾髄と赤脾髄からなる
脾臓は最大のリンパ器官で、白脾髄と赤脾髄からなる
国試ポイント
① 組織液の約90%は毛細血管へ戻り、約10%は毛細リンパ管に回収されてリンパ液になる(回収されないとリンパ浮腫の原因に)
② 毛細リンパ管は先端が閉じた盲端、リンパ管には逆流を防ぐ弁があり、心臓のようなポンプはなく骨格筋ポンプ・動脈拍動・呼吸運動で流れる
③ 胸管は人体最大のリンパ管(約40〜45cm)で右上半身以外の約75%を担当し左静脈角へ、右リンパ本幹は右上半身のみの約25%を担当し右静脈角へ注ぐ
④ 胸管は乳び槽(第1〜2腰椎前方付近)から始まり、横隔膜を通過して頸部へ上行する
⑤ 脂肪・脂溶性ビタミン(ADEK)は中心リンパ管(乳び腔)からカイロミクロンとして吸収され、乳び槽・胸管を経て左静脈角へ注ぐ
⑥ 脾臓は人体最大のリンパ器官(左季肋部、第9〜11肋骨後方)で血液を監視し、リンパ節はリンパ液を監視する点が対比で問われる
・ 腋窩リンパ節は乳がん転移、鼠径リンパ節は下肢・会陰部疾患、左鎖骨上リンパ節は胃がんなど腹部がんのウィルヒョウ転移で重要
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