リハビリテーションは「ただ病気を治すこと」ではなく、QOL(生活の質)・自立・社会参加を支え、その人らしい生活に戻すための総合的な支援です。国家試験ではICFの6要素と双方向性、ICIDHの障害3レベル(機能障害・活動制限・参加制約)、そして時期別(予防期・急性期・回復期・維持期)の目的の違いが繰り返し狙われます。ここではその全体像を一枚絵のように整理します。
| 読み方 | りはびりてーしょんいがく |
|---|---|
| 目的 | 人間らしく生きるための支援(QOL向上・自立・社会参加) |
| 基本理念 | ノーマライゼーション/自立生活(IL) |
| 障害のとらえ方 | ICF(WHO・双方向モデル)/ICIDH(機能障害→活動制限→参加制約) |
| ICFの6要素 | 健康状態・心身機能/身体構造・活動・参加・環境因子・個人因子 |
| 3つのアプローチ | 治療的(回復)・代償的(工夫・道具)・環境的(環境調整) |
| 時期区分 | 予防期→急性期→回復期→維持期(生活期) |
| 主な専門職 | PT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)ほかチーム医療 |
| 国試での狙われ方 | ICFとICIDHの用語対応、時期ごとの目的・場所、アプローチの分類問題 |
リハビリテーションの語源は「re(再び)+habilis(適した)」で、本来あるべき状態への回復=全人間的復権を意味します。目的は障害を消すことではなく、QOL・自立・社会参加を実現することです。
その根本には2つの考え方があります。
「支援を受けながら、自分で選び、自分の人生をつくる」ことが自立生活の本質で、「全部を一人でやること=自立」ではない点が引っかけになります。
ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)はWHOが2001年に採択した、生活機能と障害をとらえるモデルです。最大のポイントは、すべての要素が相互に影響しあう(双方向性)こと。矢印は一方通行ではありません。
たとえばケガで歩きにくくても、手すり(環境因子)や家族のサポートがあれば外出や社会参加がしやすくなる——このように環境を変えるだけで「参加」が改善しうる、というのがICFの発想です。障害を「悪いもの」ではなく「状態」としてとらえ、その人に合った支援を見つけやすくします。
| ICFの構成要素 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 健康状態 | 病気・けが・加齢など | 脳卒中、大腿骨頸部骨折 |
| 心身機能・身体構造 | 体の働きや形態 | 片麻痺、関節可動域制限、失語 |
| 活動 | 生活行為(個人レベル) | 歩行、食事、更衣、入浴 |
| 参加 | 社会への関わり(社会レベル) | 就労、家庭内の役割、地域活動 |
| 環境因子 | 物的・人的・社会的環境 | 手すり、車椅子、家族の支援、制度 |
| 個人因子 | 年齢・性別・価値観・生活歴など | 高齢、職業、性格、趣味 |
ICFの前身がICIDH(国際障害分類、1980年)です。障害を3つのレベルに分けてとらえ、機能障害→能力低下→社会的不利という一方向の流れで説明しました。現在はICFに置き換わっていますが、国試では用語の対応がよく問われます。
| レベル | ICIDHの用語 | ICFの対応語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| ① | 機能障害(インペアメント) | 心身機能・身体構造の障害 | 身体の機能や構造に問題がある状態 | 脳卒中による麻痺、関節の変形、視力低下 |
| ② | 能力低下=活動制限(ディスアビリティ) | 活動制限 | 日常生活の行為が制限される状態 | 麻痺のため歩けない、痛みで手が上がらない |
| ③ | 社会的不利=参加制約(ハンディキャップ) | 参加制約 | 社会生活や役割への参加が制限される状態 | 就労できない、通学できない、地域活動に参加できない |
リハビリテーションは「治す」だけでは完結せず、治療的・代償的・環境的の3つを組み合わせます。分類問題(「手すりの設置はどのアプローチか」など)が頻出です。
| アプローチ | ねらい | 主な内容 | 例 |
|---|---|---|---|
| ①治療的(医学的) | 障害そのものに働きかけ機能回復を目指す | 手術、薬物療法、理学療法、作業療法、言語療法 | 脳卒中の麻痺に対する運動療法、痙縮の治療 |
| ②代償的 | 残存機能や道具で「できる」ようにする | ADL訓練(セルフケア)、利き手交換、装具療法 | 片麻痺者が非麻痺側で書く、短下肢装具で歩行 |
| ③環境的 | 環境・社会を調整し参加しやすくする | 住宅改修、福祉用具、福祉制度の活用、家族・職場支援 | 手すり設置、段差解消、訪問サービス利用 |
リハビリは時期(フェーズ)によって目的・内容・行う場所が変わります。最終ゴールは「生活に戻ること」=その人らしく社会の中で暮らすことです。急性期の早期離床・廃用症候群の予防、回復期の集中的訓練とADL自立、維持期(生活期)の在宅・社会参加の継続という対応関係を覚えておきましょう。
| 時期 | 目的 | 主な内容 | 場所の例 |
|---|---|---|---|
| ①予防期 | 疾病や障害の発生を予防し健康を維持 | 生活習慣病予防、転倒・フレイル予防、健康教育・運動指導 | 健診センター、地域、スポーツ施設、家庭 |
| ②急性期(発症直後) | 合併症の予防と早期回復 | 早期離床、廃用症候群の予防、呼吸・循環管理、関節可動域訓練、体位変換 | 急性期病院(一般病棟・ICU) |
| ③回復期 | 機能回復を最大限に図り、ADLの自立を目指す | 集中的リハ(PT・OT・ST)、ADL訓練(食事・更衣・排泄)、家屋評価、福祉用具検討 | 回復期リハビリテーション病棟・病院 |
| ④維持期(生活期) | 生活の質を維持し、社会参加・在宅生活を継続 | 社会復帰(就労・趣味・地域活動)、訪問リハ、介護予防・再発予防、介護保険サービス | 自宅、通所リハ、訪問リハ、介護施設、地域 |