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捻挫の病態・症状・診断・治療

捻挫とは、関節に外力(ひねりの力)が加わって起こる関節包・靭帯の軽度損傷です。関節包や靭帯が伸ばされたり微細に損傷しますが、骨折はなく、関節面の位置関係も保たれているのが脱臼との決定的な違いです。日常生活でもスポーツでもよくみられ、発生部位は足関節が最も多く、主症状は痛み・腫脹・運動制限。保存療法の基本はRICE療法で、重度例では靭帯再建術と後療法が行われます。

捻挫|捻挫 1
読み方ねんざ
英語・分類Sprain(関節に外力が加わって起こる軽度損傷)
損傷される組織関節包・靭帯(関節支持組織)/骨・軟骨は通常傷つかない
関節面の位置関係保たれている(=脱臼との違い)
好発部位足関節が最も多い。次いで膝関節・肩関節・肘関節・手指
発生状況スポーツ外傷で多いが、日常生活(転倒・段差など)でもよく起こる
主症状痛み(疼痛)・腫脹・運動制限。ほかに圧痛・軽度の不安定感
診断ストレスX線で健側(正常側)と患側(捻挫側)を比較し、関節の開き=靭帯のゆるみを評価
治療保存療法の基本はRICE療法(Rest・Ice・Compression・Elevation)。重度は靭帯再建術+後療法
予後適切な治療と後療法で概ね良好。スポーツ復帰も可能。放置すると慢性的な不安定感・再発のリスク

捻挫とは? 関節に外力が加わって起こる軽度損傷

捻挫とは、関節に外力が加わって起こる軽度の損傷です。関節はもともと安定して動く範囲をもっていますが、その範囲を超える「ひねりの力(外力)」が加わることで、関節を支えている組織が傷つきます。

捻挫は軽度のケガではありますが、正しく理解して適切に対処することが大切です。放置すると慢性的な不安定感や再発につながります。

正常な関節に外力(ひねりの力)が加わり、関節包・靭帯が軽度に損傷する。骨折はない。
正常な関節に外力(ひねりの力)が加わり、関節包・靭帯が軽度に損傷する。骨折はない。

捻挫で傷つく組織 ― 関節支持組織(関節包・靭帯)

捻挫では関節支持組織が傷つきます。具体的には関節包・靭帯の損傷が起こり、骨・軟骨は通常傷つかないのが特徴です。ここは国試でも狙われる基本事項です。

組織説明捻挫での扱い
関節包関節を包む膜損傷する(伸展・微細損傷)
靭帯骨と骨をつなぐ組織損傷する(伸展・微細損傷、重度では断裂)
関節を構成する硬い組織通常傷つかない(骨折はない)
軟骨関節面をおおう組織通常傷つかない
捻挫で傷つくのは関節包(関節を包む膜)と靭帯(骨と骨をつなぐ組織)。骨・軟骨は通常傷つかない。
捻挫で傷つくのは関節包(関節を包む膜)と靭帯(骨と骨をつなぐ組織)。骨・軟骨は通常傷つかない。

脱臼との違い ― 関節面の位置関係が保たれているか

捻挫と脱臼を分けるポイントは関節面の位置関係です。捻挫では関節面は正常で、位置関係が保たれているのに対し、脱臼では関節面がズレて位置関係が失われている状態になります。「捻挫は位置関係が保たれる」と覚えましょう。

比較項目捻挫(ねんざ)脱臼(だっきゅう)
関節面正常ズレている
位置関係保たれている失われている
主な損傷組織関節包・靭帯の軽度損傷関節面の転位を伴う(支持組織損傷も伴う)
骨折ない
捻挫は関節面が正常で位置関係が保たれる。脱臼は関節面がズレて位置関係が失われる。
捻挫は関節面が正常で位置関係が保たれる。脱臼は関節面がズレて位置関係が失われる。

発生状況 ― 日常生活でもスポーツでもよくみられる

捻挫は日常生活でもスポーツでもよくみられるケガです。

「スポーツ選手だけのケガ」ではなく、一般の人にも日常的に起こる点が重要です。

捻挫は日常生活(転倒・すべり)でもスポーツでもよく起こる。スポーツ外傷では特に多い。
捻挫は日常生活(転倒・すべり)でもスポーツでもよく起こる。スポーツ外傷では特に多い。

好発部位 ― 足関節が最も多い

発生部位では足関節(足首)の捻挫が最も多いのが特徴です。国試では「捻挫の好発部位=足関節」は頻出ポイントです。

部位頻度・位置づけ
足関節最も多い(いちばん多い)
膝関節みられる
肩関節みられる
肘関節みられる
手指みられる
捻挫の発生部位は足関節が最も多く、次いで膝関節・肩関節・肘関節・手指にみられる。
捻挫の発生部位は足関節が最も多く、次いで膝関節・肩関節・肘関節・手指にみられる。

症状 ― 痛み・腫脹・運動制限が主症状

捻挫の主な症状は痛み・腫脹(腫れ)・運動制限です。これに加えて圧痛や軽度の不安定感がみられます。

症状内容
痛み(疼痛)患部に強い痛みがある
腫れ(腫脹)患部が腫れる
運動制限関節の動きが制限される
圧痛押すと痛みがある
軽度の不安定感関節がグラつく感じがする
主症状は痛み・腫脹・運動制限。ほかに圧痛、軽度の不安定感がみられる。
主症状は痛み・腫脹・運動制限。ほかに圧痛、軽度の不安定感がみられる。

診断 ― ストレスX線で健側と比較して靭帯損傷を評価

捻挫の診断にはストレスX線を用います。関節にストレス(足関節なら内反)を加えた状態で撮影し、健側(正常側)と患側(捻挫側)を左右で比較して靭帯のゆるみをチェックします。

この左右差から靭帯損傷の程度を評価します。「健側と比較して評価する」のが最大のポイントです。

撮影側ストレス所見
患側(捻挫側)内反ストレス関節の開きが大きい → 靭帯のゆるみあり
健側(正常側)内反ストレス関節の開きが小さい(正常)
ストレスX線。患側は関節の開きが大きく、健側は小さい。左右を比較して靭帯のゆるみを評価する。
ストレスX線。患側は関節の開きが大きく、健側は小さい。左右を比較して靭帯のゆるみを評価する。

治療① 保存療法の基本はRICE療法

捻挫の保存療法の基本はRICE療法です。受傷直後の適切な処置が回復を大きく左右します。

頭文字英語日本語内容
RRest安静患部を動かさず休ませる
IIce氷冷(冷却)氷で冷やして炎症を抑える
CCompression圧迫包帯などで圧迫して腫れを軽減する
EElevation挙上心臓より高くして腫れを抑える
RICE療法=Rest(安静)・Ice(氷冷)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)。
RICE療法=Rest(安静)・Ice(氷冷)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)。

治療② 重度は手術(靭帯再建)、そして後療法へ

重度の捻挫では靭帯が完全断裂することがあり、放置すると関節が不安定になります。この場合は手術(靭帯再建術)によって不安定性を改善します。

手術・保存療法いずれの場合も、その後の後療法(リハビリ)が重要で、可動域・筋力を回復させます。正しい治療で予後は概ね良好であり、スポーツ復帰も可能です。逆に放置すると慢性的な不安定感や再発のリスクが残ります。

段階内容目的・結果
重度の捻挫靭帯が完全断裂放置すると関節が不安定に
手術(靭帯再建)断裂した靭帯を再建する不安定性を改善
後療法・リハビリ可動域訓練・筋力訓練(バランス訓練など)可動域・筋力を回復
予後適切な治療+後療法概ね良好。スポーツ復帰も可能
重度(靭帯完全断裂)は手術で不安定性を改善し、後療法で可動域・筋力を回復。予後は概ね良好。
重度(靭帯完全断裂)は手術で不安定性を改善し、後療法で可動域・筋力を回復。予後は概ね良好。
国試ポイント
① 捻挫は関節包・靭帯の軽度損傷。骨・軟骨は通常傷つかず、骨折はない。
② 脱臼との違いは関節面の位置関係。捻挫は「関節面正常・位置関係は保たれている」、脱臼は「関節面がズレて位置関係が失われる」。
③ 捻挫の好発部位は足関節が最も多い(次いで膝・肩・肘・手指)。スポーツ外傷で多いが日常生活でもよく起こる。
④ 主症状は痛み・腫脹・運動制限の3つ。ほかに圧痛・軽度の不安定感。
⑤ 診断はストレスX線。健側(正常側)と患側を比較し、関節の開きの左右差で靭帯のゆるみを評価する。
⑥ 保存療法の基本はRICE療法(Rest安静・Ice氷冷・Compression圧迫・Elevation挙上)。重度=靭帯完全断裂では靭帯再建術+後療法で、予後は概ね良好。
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