「要穴」という言葉は、中国最古の医療書のひとつ『小品方』の「灸法要穴」が最古の用例で、当時は現代の「代表的なツボ」ではなく「重要・必要なポイント」という意味でした。その後、朝鮮の『東医宝鑑』の臓腑要穴で現在に近い意味となり、日本では1950年『誰にでもわかる経絡治療講話』で五要穴・八会穴・四総穴が体系化されました。ここでは要穴の歴史と、五行穴(井・榮・輸・経・合)の五行配当・主治・四時配当までまとめます。
| 読み方 | ようけつのれきしとごぎょうけつ(井=せい/榮=えい/輸=ゆ/経=けい/合=ごう) |
|---|---|
| 要穴の最古の用例 | 『小品方』の「灸法要穴」(中国最古の医療書の一つ)。当時の意味は「重要・必要のポイント」で、現代の要穴(代表的なツボ)とは意味が違う |
| 現在に近い意味の初出 | 朝鮮の『東医宝鑑』の「臓腑要穴」。五陰経の五行穴・六陽経の五行穴・原穴・下合穴を含む |
| 日本での体系化 | 1950年『誰にでもわかる経絡治療講話』で五要穴・八会穴・四総穴が整理され、現在の教科書の基礎になった |
| 中国での発展 | 要穴 → 特定要穴 → 特定穴。日本の書籍が翻訳され中国で一般化し、文化大革命期の普及・簡素化を経て現在は「特定穴」 |
| 五行穴の種類 | 井・榮・輸・経・合の5種類。別名:五兪穴・五輸穴 |
| 五行配当 | 陰経=井(木)・榮(火)・輸(土)・経(金)・合(水)/陽経=井(金)・榮(水)・輸(木)・経(火)・合(土) |
| 五行穴の主治 | 井=心下満、榮=身熱、輸=体重節痛、経=喘咳寒熱、合=逆気而泄 |
| 四時の配当(『霊枢』) | 冬→井、春→榮、夏→輸、長夏→経、秋→合 |
| 国試での狙われ方 | 最古の用例の書名、『東医宝鑑』の臓腑要穴、五行穴の陰陽別五行配当、五主治の対応、輸・兪・腧の使い分け、『難経』63〜65難・68難・74難 |
「要穴」は、はじめから現代のような意味だったわけではありません。『小品方』の「灸法要穴」が最古の用例で、そこでの「要穴」は「重要・必要なポイント」という一般的な意味でした。現在の「代表的なツボ」という意味に近づくのは、朝鮮の『東医宝鑑』の臓腑要穴からです。
| 時代・地域 | 書物・出来事 | 要穴に関する内容 |
|---|---|---|
| 中国(最古) | 『小品方』 | 「灸法要穴」=要穴の最古の用例。意味は「重要・必要」 |
| 朝鮮 | 『東医宝鑑』 | 臓腑要穴=五陰経の五行穴・六陽経の五行穴・原穴・下合穴 |
| 日本・1950年 | 『誰にでもわかる経絡治療講話』 | 五要穴・八会穴・四総穴を体系化 |
| 中国・近現代 | 日本書籍の翻訳/文化大革命期 | 要穴→特定要穴→特定穴へ。普及・簡素化 |
五行穴は井(せい)・榮(えい)・輸(ゆ)・経(けい)・合(ごう)の5種類で、別名を五兪穴・五輸穴といいます。全身の気の流れを調える重要なツボで、四肢末端から体幹方向へ、水が湧き出て大河に合流するイメージで並びます(井=井戸、榮=芽吹き、輸=橋、経=川の流れ、合=合流)。
読み方は「せい・えい・ゆ・けい・ごう」。順番を問う問題が定番なので、井→榮→輸→経→合の並びは必ず声に出して覚えましょう。
五行穴には五行(木・火・土・金・水)が配当されますが、陰経と陽経で配当がズレるのが最大のポイントです。陰経は井が「木」から始まり、陽経は井が「金」から始まります。
覚え方は、陰経=木火土金水(相生の順にそのまま)、陽経=金水木火土(陰経より2つ先へずらす)。国試では「陽経の輸穴の五行は?」→木、のように単発で問われます。
| 五行穴 | 陰経の五行 | 陽経の五行 |
|---|---|---|
| 井(せい) | 木 | 金 |
| 榮(えい) | 火 | 水 |
| 輸(ゆ) | 土 | 木 |
| 経(けい) | 金 | 火 |
| 合(ごう) | 水 | 土 |
五行穴にはそれぞれ代表的な主治があり、古典の言い回しのまま国試に出ます。漢字4文字前後の短い語なので、そのまま暗記してしまうのが効率的です。
また『霊枢』では、五行穴が四時(季節)に対応して配当されるとされます。冬→井、春→榮、夏→輸、長夏→経、秋→合で、五行配当の順とは一致しない点に注意してください。
| 五行穴 | 代表的な主治 | 主治の意味(イメージ) | 四時の配当(『霊枢』) |
|---|---|---|---|
| 井 | 心下満 | みぞおちのつかえ・膨満感 | 冬 |
| 榮 | 身熱 | からだの熱・発熱 | 春 |
| 輸 | 体重節痛 | からだが重く関節が痛む | 夏 |
| 経 | 喘咳寒熱 | ぜんそく・咳・悪寒発熱 | 長夏 |
| 合 | 逆気而泄 | 気が逆上して下痢する | 秋 |
読みはどれも同じ「しゅ」ですが、指す範囲が異なります。書き分けの問題は落としやすいので確実に押さえましょう。
そして、現在の五行穴の理解に最も大きな影響を与えたのが『難経』です。五行相生・五行相克・臓腑経絡の主治といった古典理論をもとに、五行穴の特性と主治が整理されました。国試で引用されやすいのは63〜65難・68難・74難です。
| 表記 | 読み | 指す範囲 |
|---|---|---|
| 腧穴 | しゅけつ | 全体のツボ(総称) |
| 兪穴 | しゅけつ | 背部兪穴 |
| 輸穴 | しゅけつ | 五行穴など |