慢性糸球体腎炎は、血尿やたんぱく尿が1年以上続く腎臓の病気です。症状が軽く血圧・腎機能が保たれる潜在型と、たんぱく尿が高度で腎機能が低下していく進行型があり、原因疾患としてはIgA腎症が最も多く見られます。
| 読み方 | まんせいしきゅうたいじんえん |
|---|---|
| 分類 | 潜在型・進行型(原発性糸球体腎炎の一つ) |
| 持続期間の目安 | 血尿または蛋白尿が通常1年以上持続 |
| 主な原因疾患 | IgA腎症(慢性糸球体腎炎の中で最多) |
| 好発・発見契機 | 学校健診(尿検査)で発見されることが多い |
| 主症状 | 潜在型:たんぱく尿・血尿(軽度)/進行型:たんぱく尿・血尿(高度)・高血圧・腎機能障害 |
| 検査所見 | たんぱく尿・血尿、BUN/クレアチニン上昇、クレアチニンクリアランス低下、(IgA腎症では)血清IgA高値、補体価(C3)低下 |
| 確定診断 | 腎生検 |
| 治療 | 潜在型:生活・食事制限は基本不要/進行型:食事療法・降圧薬・利尿薬・免疫抑制薬など |
慢性糸球体腎炎は、腎臓の糸球体で軽度の炎症が長期間持続する疾患です。血尿またはたんぱく尿が通常1年以上続く状態を指し、急性糸球体腎炎と並ぶ原発性糸球体腎炎の代表的な病型に分類されます。
臨床的には、症状が軽く血圧・腎機能が保たれる潜在型と、たんぱく尿が高度になり腎機能が低下していく進行型の2つに分けて理解すると整理しやすくなります。
| 項目 | 潜在型 | 進行型 |
|---|---|---|
| たんぱく尿 | 軽度(±~1+程度) | 高度(++~+++) |
| 血尿 | 軽度(±~1+程度) | 中等度以上(++~+++) |
| 血圧 | 正常 | 高血圧 |
| 腎機能 | 正常 | 低下(悪化しやすい) |
| 発見契機 | 学校健診で見つかりやすい | 進行に伴い症状が顕在化 |
慢性糸球体腎炎は学校健診(尿検査)で発見される頻度が高い疾患です。原因疾患としてはIgA腎症が最も多く、成人では慢性糸球体腎炎の30~40%、小児では20%以上を占めるとされています。
慢性糸球体腎炎の症状は病型によって大きく異なります。潜在型はたんぱく尿・血尿のみで自覚症状に乏しく、進行型ではこれに加えて高血圧・腎機能障害が現れます。
| 病型 | 主な症状 |
|---|---|
| 潜在型 | たんぱく尿・血尿(軽度) |
| 進行型 | たんぱく尿・血尿(高度)・高血圧・腎機能障害 |
尿検査でたんぱく尿・血尿を確認し、血液検査ではBUN・クレアチニン(Cr)の上昇、クレアチニンクリアランスの低下をみます。IgA腎症では血清IgAの高値、補体価(C3)の低下がみられることがあります。確定診断には腎生検を行います。
治療は病型によって大きく異なります。潜在型は生活・食事制限が基本不要な一方、進行型では食事療法や薬物療法が重要になります。
| 病型 | 治療の要点 |
|---|---|
| 潜在型 | 生活・食事制限は基本不要。ただし激しいスポーツや過労は避ける |
| 進行型 | 腎機能に応じた生活制限、たんぱく質制限・塩分制限・高エネルギー食、高血圧・浮腫には降圧薬・利尿薬 |
| 中等度以上のたんぱく尿 | 抗血小板薬・抗凝固薬・副腎皮質ステロイド薬・免疫抑制薬を検討 |
潜在型は予後良好で、長年にわたり腎機能が保たれることが多いとされます。一方、進行型は腎機能が悪化しやすく、重症例では数年以内に腎不全に至ることもあるため注意が必要です。
国試では、小児に多く溶連菌感染後に発症する急性糸球体腎炎(ASO高値・補体低下、多くは3か月以内に寛解)と、血尿・たんぱく尿が1年以上続きIgA腎症を主体とする慢性糸球体腎炎の違いがよく問われます。
| 急性糸球体腎炎 | 慢性糸球体腎炎 | |
|---|---|---|
| 好発 | 3~12歳・男児に多い | 学校健診で発見されやすい |
| 原因 | A群溶連菌感染後(免疫複合体の沈着) | IgA腎症が最多 |
| 持続期間 | 多くは3か月以内に完全寛解 | 血尿・たんぱく尿が1年以上持続 |
| 検査所見 | ASO高値・補体価低下 | (IgA腎症では)血清IgA高値・補体価低下 |
| 予後 | 一般に良好(成人30~40%、小児20%以下で慢性化) | 潜在型は良好、進行型は腎不全に注意 |